【獣医師監修】子犬の食事はどう与える?週齢・月齢別の食事内容・回数からフードの切り替えまで
2023.11.09 作成

【獣医師監修】子犬の食事はどう与える?週齢・月齢別の食事内容・回数からフードの切り替えまで

獣医師/ペット栄養管理士

森井知里

森井知里

子犬の食事(餌)は、成長や発達、健康維持にとって大切なもの。子犬は約1年かけて成犬(小型・中型犬は8~12か月、大型犬は12~24か月)になりますが、この時期の栄養は免疫系・身体構造・成長速度・骨格の発達に大きく影響します。子犬と暮らし始めたばかりで、どのような食事(餌)をどのように与えればよいのか迷う飼い主さんのために、食事内容や頻度、与え方など子犬の食事の基本を解説します。

もくじ

    【犬の食事の与え方】哺乳期<生後2週頃まで>

    【獣医師監修】子犬の食事はどう与える?週齢・月齢別の食事内容・回数からフードの切り替えまで
    (namaki/shutterstock)

    出産直後の母乳(初乳)は免疫の鍵

    出産後2~3日間に分泌される母乳を初乳といいます。初乳は高栄養(高タンパク、高脂肪、高免疫グロブリン、抗菌成分であるラクトフェリン、ビタミンAやカルシウム等のミネラルが豊富)であり、子犬は初乳を通して母親から免疫を受けとります。

    授乳の回数

    生後2~3週間までは、1日あたり4~6回の授乳が必要となります。

    代用乳も活用する

    何らかの事情で母乳を飲ませられない場合は、代用乳を用います。おすすめは市販の犬用ミルクです。

    液体・リキッド、粉末タイプなどがありますが、どれも生乳を原料とし、製造過程で乳糖を大幅にカットしてあるため、乳糖不耐症の犬にも与えられます。

    人用の牛乳は与えない

    初乳の後に分泌される母乳は、牛乳より高濃度、高タンパク、高脂肪、高エネルギー。高乳糖・低エネルギーな牛乳とは成分が異なります。

    また、犬は牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素「ラクターゼ」の保有量が少ないために、牛乳を飲んで下痢や腹痛を起こすことがあります(乳糖不耐症)。代用乳として、人用の牛乳を与えることは避けましょう。

    獣医師の88%が推奨するペット保険「げんきナンバーわんスリム」ペット&ファミリー損保

    【犬の食事の与え方】離乳期<生後4、5週~生後6か月頃>

    【犬の食事の与え方】離乳期<生後4、5週~生後6か月頃>
    (Switlana Sonyashna/shutterstock)

    離乳のタイミング

    生後4~5週目頃には乳歯が生え、離乳が始まります。この時期の子犬は、母犬が食べているフードに興味をもつようになります。

    離乳の進め方

    子犬用のドライフードにぬるま湯や犬用ミルクを加えた粥状のものや、ウェットフードタイプの離乳食を与えます。状況を見ながら、少しずつぬるま湯や水の量を減らしていきましょう。

    次第に食べる量が増え、生後6週目頃には離乳が可能なくらいの量のドライフードが食べられるようになります。

    一般的にペットショップやブリーダーなどからのお迎えは、離乳が済んでいる時期となります。その場合、最初のうちは子犬が家に来る前に食べていたフードを与えるようにしましょう。

    迎えたばかりの子犬は、急な環境の変化で精神的なストレスを感じ、食欲が低下することがあるためです。

    フードを切り替える際は、子犬用・成長期用のもので「総合栄養食」と表示のあるフードを選びましょう。いつものフードに新しいフードを少量ずつ混ぜ、1週間ほどかけて段階的に切り替えてください。

    食事回数

    子犬の頃は消化機能がまだまだ未熟なため、消化吸収がうまくできません。空腹による低血糖もおこりやすいため1回分の量を少なくし、食事の回数を多くします。

    理想としては、離乳が始まってから生後3か月までは1日あたり4~5回と回数を多くし、生後3か月から6か月は1日3~4回ほどにするとよいでしょう。

    【犬の食事の与え方】離乳後の成長中期<生後6か月〜1歳頃>

    【犬の食事の与え方】離乳後の成長中期<生後6か月〜1歳頃>
    (Africa Studio/shutterstock)

    子犬は生後6か月で大きく成長する

    大きく成長するのは生後6か月目であり、体重は出生時の40~60倍になります。その時期を過ぎると成長のスピードはゆっくりになります。

    食事回数

    生後6か月~1歳頃までの食事の回数は、1日あたり2~3回が目安。その後、徐々に1日2回に減らすことが一般的です。

    成犬用フードへの切り替えタイミングの目安

    成犬用フードへの切り替えタイミングの目安
    (innakreativ/shutterstock)

    犬の大きさや、成長の速度に合わせて成犬用フードへ切り替えます。切り替えの時期は犬の大きさによって次のように変わります。

    超小型犬:8か月
    小型犬:12か月
    中型犬:18か月
    大型犬:24か月
    超大型犬:24か月

    子犬の食事を突然変更すると、胃腸の調子が悪くなることがあります。成犬用フードに切り替えるときや製品を変えるときは、1週間かけて徐々に新しいものに変えていくほうがよいでしょう。

    食事の変更方法

    食事の変更方法
    (eva_blanco/shutterstock)

    フードを切り替える際の割合目安は次のとおりです。

    1日目と2日目:現在の食事75%に新しい食事を25%混ぜる
    3日目と4日目:現在の食事50%に新しい食事を50%混ぜる
    5日目と6日目:現在の食事25%に新しい食事を75%混ぜる
    7日目:新しい食事を100%にする

    フードを切り替えた際、下痢をしたり食べなかったりする場合は関連記事をご参考にしてください。

    【関連記事】
    【獣医師監修】子犬の下痢で飼い主さんが知っておきたいポイント。原因と対処法を解説
    【獣医師監修】犬猫の食欲不振はなぜ?ご飯を食べないときに考えること|vol.17

    大型犬は要注意

    大型犬は要注意
    (HTeam/shutterstock)

    大型犬が子犬期に過剰な栄養摂取をすると、筋骨格系の異常などの整形外科疾患をひきおこすことがあります。整形外科疾患のリスクを減らすために、カルシウムやエネルギー含量が調整された子犬用のフードを適切な量与えましょう。

    食べてはいけないもの(誤食)に気を付けて

    食べてはいけないもの(誤食)に気を付けて
    (Ronald Rigo Fassarella/shutterstock)

    以下の中毒症状を起こす可能性が高いものは与えないようにしましょう。

    玉ねぎ(ねぎ類)、にら・ニンニク、アボカド、グレープフルーツ、ブドウ・レーズン、アーモンド・ピーナッツ、イカ、キシリトールを含む食べ物、チョコレート・ココア、コーヒー、アルコール類

    獣医師の88%が推奨するペット保険「げんきナンバーわんスリム」ペット&ファミリー損保

    まとめ

    子犬の食事(餌)は、子犬の成長や発達、成犬になってからの健康維持に影響します。成長段階に応じて食事内容を選び、食事の与え方を工夫しましょう。食事の与え方に迷ったときはかかりつけの動物病院に相談しましょう。

    子犬の飼い方 関連記事

    お世話・飼い方

    医療費・予防接種

    ペットの医療費(治療費)はいくらかかる?もしもに備えるペット保険とは?

    犬の予防接種を知ろう!ワクチンの種類・費用・接種の注意点を解説

    飼い方

    子犬をお風呂に入れていい時期は?タイミングの見極め方とお風呂嫌いにしないコツ

    【獣医師監修】子犬の食事、週齢・月齢別の食事内容・回数からフードの切り替えまで

    【獣医師監修】子犬のお散歩はいつから?ワクチン接種が関係する?お散歩デビューのポイント解説

    【獣医師監修】子犬のおやつはいつから、何をあげられる?子犬のおやつの与え方を解説

    【獣医師監修】子犬の歯磨きはいつから?やり方、タイミング、頻度を解説

    【獣医師監修】子犬の爪切りはいつから始める?爪切りの仕方と注意点を解説

    【獣医師監修】子犬がトイレで寝るのはなぜ?理由とやめさせる方法を解説

    【獣医師監修】子犬のお留守番はいつから?トレーニングや準備、お留守番の注意点を解説 (3月12日公開)

    不調・いつもと様子が違う

    【獣医師監修】子犬がご飯を食べない!原因の見つけ方と対処法を解説

    【獣医師監修】子犬が吐くのはなぜ?考えられる理由と病院受診のポイント

    【獣医師監修】子犬のくしゃみの原因は?考えられる病気や対処法を獣医師が解説

    しつけ方

    【獣医師監修】子犬のしつけ方を解説!事前準備と正しいしつけ方

    【ドッグトレーナー監修】子犬の鳴き声、どうしたらいい?愛犬とのコミュニケーションについて解説

    【獣医師監修】子犬の甘噛み、噛み癖がつく前にやっておきたいしつけの方法

    【獣医師監修】マズルコントロールはしつけに必要?知っておきたいマズルの知識

    【獣医師監修】子犬のクレートトレーニング、ハウスのしつけ方

    お迎え前の準備

    【獣医師監修】新しく犬を迎えた初日の過ごし方、迎えるために準備すること

    はじめて犬を飼う人が準備すべきこと、心構え・必須アイテムを解説

    【獣医師監修】ケージとクレート(キャリー)の違いは?子犬のケージの選び方

    ペット保険は入るべき?「加入する・加入しない」の判断ポイントを解説

    お迎えする前に知っておきたいこと

    犬をお迎え(購入)する際の注意点まとめ!トラブルを防ぐために知っておきたいポイント

    【獣医師監修】保護犬権を飼うメリットは?迎え入れ方や必要な準備を解説

    ペットの医療費(治療費)はいくらかかる?もしもに備えるペット保険とは?

    著者・監修者

    森井知里

    獣医師/ペット栄養管理士

    森井知里

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社
    (獣医師によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)

    日本ペット栄養学会

    略歴 1992年 三重県に生まれる
    2011年 麻布大学獣医学部動物応用科学科に入学
    2013年 麻布大学獣医学部獣医学科に転学科
    在学中、料理教室で講師を務める
    2018年 獣医師国家資格取得
    2018年 東京都内動物病院に勤務
    2019年~2021年 千葉県内動物病院に勤務
    2022年~2023年 東京大学附属動物医療センターで内科系研修医として勤務
    2023年4月~ yourmother合同会社に勤務

    資格 獣医師免許
    ペット栄養管理士

    ページトップに戻る