ペット保険のペット&ファミリー損保【公式】 T&D保険グループ

【獣医師監修】知っておきたいシニア期の犬猫の認知機能低下と介護について~これからも大切な家族へ~


【獣医師監修】知っておきたいシニア期の犬猫の認知機 能低下と介護について~これからも大切な家族へ~

シニア期のペットのご家族へ

最近、愛犬・愛猫にこのような様子はありませんか?夜に大声で鳴く、排泄を失敗する、睡眠サイクルが変わる、遊びの回数が減るなど…これらの様子が思い当たる場合に、7歳を超えるシニア期の犬猫では認知機能の低下(認知症)と診断される可能性があります。

犬猫の認知症とは

認知症(認知機能不全症候群)は、脳の障害や病気など様々な原因により、認知機能が低下して日常生活に支障が出る状態のことをさします。人間の病気としても有名ですが、高齢の犬猫においても認知機能が低下することがあります。犬猫の認知症は新しい研究分野であるため、その発症メカニズムについては未だ全容が明らかになっていません。

犬猫の場合は、認知症では以下のような様子が認められることがあります。

行動の変化

夜に大声で鳴く、トイレ以外の場所での粗相、昼夜逆転や起床時間の変化、同じ場所を徘徊する、遊びの回数減少、段差を越えられない、家の中で迷子になる等

聴覚、視覚の低下

飼い主さんの声に反応しない、物にぶつかる等

犬猫の認知症の診断

犬猫の場合は、人間のように自覚症状を訴える、家族や医師と会話をするといった方法で認知症に気づくことができないため、飼い主さんが日頃から犬猫の様子をよく観察していることが認知症を診断するヒントになります。飼い主さんが犬猫の行動の変化に気がついて動物病院で診察、検査を受けて、様々な病気の可能性を除外した結果、認知症と診断されます。

例えば、犬の甲状腺機能低下症、脳腫瘍や前庭障害、白内障、猫の腎臓病、甲状腺機能亢進症等は、高齢の犬猫で多く見られる病気であり、一見すると認知症と似た様子が見られることがあります。また、認知症との鑑別が難しい病気として、行動学的疾患(分離不安症、常同障害)でも徘徊や夜鳴きが見られることがあります。

認知症と他の病気では、治療方法や予後が異なる可能性があるため、犬猫の様子に変化が認められた時は、早めに動物病院へ相談しましょう。

犬猫の認知症の治療

現在、犬猫の認知症は、残念ながら完治させる治療薬はありません。

そのため、認知症のケアは、症状の進行を抑制すること、問題となる行動を改善することがメインとなります。 認知症予防・発症初期では、抗酸化作用があるDHAやEPA等のオメガ3脂肪酸を含むサプリメントや、認知機能維持を目指して栄養学的に設計されたフードを与えることがあります。また、認知症が進行した結果、昼夜逆転や夜鳴きの症状で飼い主さんの介護が困難な場合は、犬猫の睡眠時間をコントロールできるよう動物病院で抗不安薬や鎮静剤を処方してもらうこともあります。

ご家族ができる日々のケア

飼い主さんが毎日の生活でできる犬猫の認知症のケアは、以下のようなことが挙げられます。

環境整備

・犬猫が歩き回っても迷子になったりケガをしたりしないよう、家の中にサークルを作り、その中で遊ばせる。

・排泄の失敗に備えて、オムツを着用する。

・家の中でぶつかったり転んだりしてもケガをしないように低反発のクッションやマットレスを使用する。

生活習慣

・昼寝をさせないよう日中によく遊ぶ、声をかける。日光浴をさせたり、部屋の明るさを調節をして昼夜逆転や夜鳴きを防ぎ、起床リズムを保つ。

・しつけや遊ぶ際に積極的に声をかける。音が鳴るおもちゃ・知育おもちゃを使う、複数のおもちゃで交互に遊んだりして、脳へ刺激を与える。

・散歩中に転倒した際にケガをしないよう、ハーネスを使用する。散歩はゆっくり、短時間で回数を増やす。

犬猫の認知症のケアが大変な時は…

ここまで、犬猫の認知症とケアについてお伝えいたしました。アドバイスをすることができても、実際にお家で愛犬・愛猫のお世話をするのは飼い主さんであり、その悩みや大変さは当事者にしかわからないことが沢山あります。

獣医療の発展や飼育環境の改善により犬猫が高齢化している現在、シニア期の犬猫の介護に悩む人は、少なくはありません。

犬猫の介護が大変な時には、かかりつけの動物病院に相談をして、適切なアドバイスを貰ったり、民間のペットシッターや、犬猫用の介護ホームのサービスを利用する等、飼い主さんの心と体の負担を少なくする方法を考えることも大切です。

愛犬・愛猫は、認知症になる以前から家族の一員として過ごしてきた大切なパートナーであり、そのおかげで私達は何物にも変えられない幸せな時間を過ごすことができました。

そのことを思い出して、少しでも穏やかで、楽しい時間が続くよう、飼い主さんも笑顔でお過ごしください。

【関連記事】

【獣医師監修】シニア期っていつから?備えておくとよいこととは~7歳を迎える前の方へ~

【獣医師監修】身体的な衰えに対して何ができる?~シニア期のペットの介護~

ペット&ファミリー損保所属獣医師


一覧に戻る