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【獣医師監修シリーズ】
肥満と病気
#5 猫にだって運動は必要


猫の運動量について

猫は1日に12~16時間は寝ており、1日の大半を睡眠で過ごしています。そのため、特に室内飼いの猫ちゃんだと運動不足になりがちです。短毛種(アメリカンショートヘア、アビシニアンなど)は活発な性格が多いため、1日20分~30分、長毛種(ペルシャ、ノルウェージャンフォレストキャットなど)はそれよりも少なめの1日10分~15分程度、おもちゃ等を使って運動をしてあげられるといいでしょう。運動不足による肥満が深く関係する病気の一つに「尿石症」があります。

肥満は尿石症の原因にも!

尿石症とは、膀胱や尿道に砂や石が形成される病気です。肥満になるとトイレや水を飲むのも億劫になります。水分量が減り、尿が濃くなることで砂や石が形成されやすくなります。

症状

  • 尿が少しずつしか出ない
  • 排尿姿勢を何度もとる
  • 血尿
  • 尿にキラキラしたものが混ざっている
  • 尿が混濁
  • 陰部を気にして舐める

排尿姿勢をとっても全く尿が出ていないときは、尿道閉塞を起こしている可能性があります。特に雄猫は尿道が狭く、緊急的な処置が必要になり生命に関わる場合もあるため、早めに病院に連れて行きましょう。

結石の種類

尿に含まれるミネラル成分が砂のように結晶化し、それらが集まって形成されたものが結石となります。結晶の成分(性状)ごとの、代表的な種類は以下のとおりです。

膀胱炎などの感染症から発生することもあるので、日頃から排尿状態や尿の色などを注意してみておきましょう。

治療

療法食(病院で処方される治療用フード)

ストルバイト結石などの、アルカリ性で軽度なものは食事療法で改善することがあります。膀胱結石など大きくなってしまった場合などは、少なくとも3ヶ月以上は療法食の処方が必要です。シュウ酸カルシウム結石(酸性)などは療法食で溶かすことができません。

外科治療

シュウ酸カルシウム結石など療法食で溶かすことができないものや、大きな結石になっている場合は手術が必要です。結石ができる主な部位での手術例です。

・膀胱結石・・・膀胱を切開して結石を取り除きます。

・腎結石・・・小さな結石は経過観察ですが、大きくなってしまったものは腎臓を切開して結石を取り除きます。

・尿管結石・・・尿管を切開し結石を取り除きますが、尿管は細く手術の難易度が上がります。

結石を摘出する手術の他、体外からの衝撃波で結石を砕く方法や、腎臓と膀胱のバイパスを設置することにより尿管を迂回する、SUBシステム設置術という救済的な治療法もあります。

尿道閉塞を起こすと緊急的な処置が必要となり、腎臓に障害を与えてしまうことがあります。そうなると数日間の入院治療が必要になり、費用が高額になる場合もあります。

・膀胱結石の場合、手術代で130,000円、入院治療費や検査で175,844円(入院10日間)、合計305,844円を要する場合がありました(当社調べ)

・尿管結石によるSUBシステムの設置の場合、設置代で250,000円、入院治療費や検査で411,419円(入院6日間)、合計661,419円を要する場合がありました(当社調べ)

予防

一度尿石症を発症すると、その後も再発しやすくなります。

食事管理

普段から療法食を与えて尿石症ができづらい環境を作ってあげましょう。(定期的な尿検査が必要になります。)

水分補給

水をあまり飲まなくなると、尿が濃縮されて濃くなり、結石ができやすくなります。普段からウェットフードなど水分を含んだ食事を与えるといいでしょう。

肥満にならないように注意

室内だとなかなか運動させることができなくて困っている飼い主さんも多くいらっしゃると思いますので、ここでは運動方法についても紹介します。

  • キャットタワー

猫の運動不足解消には、上下運動が良いと言われています。上下運動で足腰を鍛えることができます。シニアの猫ちゃんには低めのキャットタワーもあります。(リフォームや注文住宅のお家などではキャットウォークの設置を検討してもいいかもしれません。)

  • おもちゃ

飼い主さんも一緒になって遊んであげましょう。紐状のおもちゃは、猫の狩猟本能を刺激するため最適です。しかし、羽などがついていると、飲み込んでしまう危険性もあるため、誤飲に注意しながら遊びましょう。(ペットの誤飲について詳しく知りたい方はこちら)おうちに一人でいる時も遊べるおもちゃを用意してあげられるとベストです。

  • 多頭飼いすることにより遊び相手を増やす

猫同士の相性にもよりますが、飼い主さんがいない間でも勝手にじゃれたり追いかけたりするのでいい運動になります。

さて、肥満シリーズも今回で最終章となりました。いかがでしたでしょうか?肥満は体にいろんな影響を与え、病気に繋がります。自分の子は肥満なのか分からない、そう思った方はぜひ肥満シリーズ①の「ボディコンディションスコア(BCS)」を参考にしてみてください。

大切な家族が病気にならないように、日ごろから食事管理、運動には十分気を付けて生活し、肥満と病気を予防しましょう!

ペット&ファミリー損保所属獣医師


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