
猫の咳は毛玉を吐く仕草と似ていますが、実は体からの大切なSOSかもしれません。愛猫が「カッカッ」と苦しそうに背中を丸める姿を見ると不安に思う飼い主さんも多いことでしょう。愛猫が一日でも長く穏やかに過ごせるように咳の原因や受診までの流れを解説します。
もくじ

猫は咳をする際、独特の姿勢をとります。それが吐き戻しや逆くしゃみとよく似ているため、混同する飼い主さんは多いです。
猫が毛玉や食べたものを吐こうとするとき、首を低く前方に伸ばしてお腹(腹壁)が大きく波打つように動くのが特徴です。
「カッカッ」という乾いた音の後に、胃の内容物や毛玉が出てくる場合は吐き戻しですが、何も出ない空吐きの場合もあります。
吐き戻しは消化器に関連する動きであり、咳は呼吸器に関連する動きという違いがあります。
鼻から急激に空気を吸い込むことで、「ブーブー」「ガーガー」と豚のような鳴き声に似た音を出すのが、逆くしゃみです。発作的に起こりますが、多くは一過性で数十秒から1分程度で治まります。
逆くしゃみ自体は病気ではないことが多いですが、頻繁に繰り返すようなら鼻や喉の奥(咽頭)に異常がある可能性もあります。
咳との違いは、「咳は空気を吐き出している」、「逆くしゃみは、空気を吸い込んでいる」という点になります。

ヘルペスウイルスやカリシウイルス、細菌などへの感染が原因で猫風邪(上部気道感染症)を引き起こします。気管や気管支に炎症が起きることで咳が出て、放置すると慢性化し、肺にまで影響が及ぶことがあります。
鼻水や目やにをともなうことが多く、子猫で重症化しやすい病気です。
猫にも喘息(ぜんそく)があります。ハウスダストや花粉、タバコの煙などが刺激となり、気道が狭くなって咳が出ます。ひどいと呼吸困難に陥ることもあるため、注意が必要です。
フィラリア症は犬だけでなく猫にも感染します。猫はわずかな寄生でも重症化しやすく、突然の咳や呼吸困難、最悪の場合は突然死を招く恐れがあります。
食べ物や植物の破片などが、喉や気管に詰まることで激しい咳が出ることがあります。
心筋症などの心疾患が進行し、肺に水が溜まった状態です。肺で酸素交換ができなくなるため、苦しそうな咳や呼吸数が増加します。
肺がんや、胸の中にできるリンパ腫などが気道を圧迫したり、炎症を起こしたりすることで咳が出ます。

猫の咳には「様子を見てよいもの」はほとんどなく、特に以下のサインが見られる場合は緊急事態です。すぐに動物病院に向かいましょう。
舌や口の粘膜が青紫色になっているのは、酸素が全身に行き渡っていない証拠です。
猫は本来、鼻で呼吸する動物です。激しい運動や興奮によって一時的に口を開けて「ハァハァ」と呼吸する以外に、パンティングが止まらない場合は緊急事態です。
非常に苦しい状態です。
激しさはないものの、ときどき咳をする様子が見られる場合は、慢性化した気管支炎や心疾患、腫瘍などの可能性があります。「いつものことだから」と放置せず、早めに動物病院を受診しましょう。

猫は病院へ行くと、緊張や興奮によって診察室では咳を出さないことがほとんどです。「どのような姿勢で」「どのような音の咳を」「どれくらいの時間」しているかを動画で記録し、獣医師に見せることが重要です。
「夜寝ているときに多い」「運動した後に必ず出る」「1日に10回以上している」など、発生するタイミングや頻度をメモしておきましょう。
「芳香剤を変えた」「タバコを室内で吸い始めた」「大掃除をした」など、猫の咳が始まるきっかけになりそうな変化がなかったかを確認してください。

乾燥は喉の粘膜を傷つけます。加湿器や空気清浄機を活用し、適切な湿度(40〜60%程度)を保つようにしましょう。
猫の呼吸器は非常に敏感です。タバコの煙はもちろん、アロマオイル、香水、消臭スプレー、お香などは咳を誘発する原因となるため、猫のいる室内での使用は控えましょう。
咳が出る頃には病気が進行していることも多いです。半年に一度、少なくとも一年に一度は健康診断を受けましょう。
猫風邪は混合ワクチンで重症化を防げ、フィラリア症は毎月の薬で予防することができます。適切な予防接種で病気を防ぎ、飼い主さんの手でリスクを最小限に抑えてあげましょう。
猫の咳は、人によくある「喉のイガイガ」では済まされない重篤な病気が隠れていることが多いです。
特に、吐き戻しとの区別がつかない場合や、呼吸が苦しそうな様子が見られたら、動画を撮影し、迷わず動物病院を受診してください。
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