
咳をしている愛犬を見て、「風邪かな?」と思ったことはありませんか。犬は、子犬の時期を除くと感染症による呼吸器の病気は比較的少なく、特に中高齢になってから咳が続く場合は、心臓や呼吸器の病気が隠れていることがあります。今回は、小型犬でよくみられる咳の原因のひとつ「気管虚脱(きかんきょだつ)」について解説します。
もくじ

犬の気管虚脱は、主に中高齢の小型犬に多くみられる、進行性の呼吸器の病気です。
空気の通り道である「気管」は、軟骨によって筒状の形が保たれています。しかし、この軟骨が弱くなることが原因で、気管が押しつぶされるように変形し、空気の通り道が狭くなってしまいます。その結果、呼吸がしづらくなり、咳などの症状が現れます。

気管虚脱でもっとも多くみられる症状は、乾いた慢性的な咳です。ガチョウの鳴き声のような「ガーガー」という特徴的な音がすることから、飼い主さんが異変に気づくケースも少なくありません。
病気が進行すると、以下のような重い症状が出ることもあります。
気管虚脱はゆっくり進行する慢性疾患で、多くの場合、数か月から数年かけて咳が徐々に悪化します。犬によって進行のスピードは異なり、高齢になるまでほとんど症状が出ない子もいます。
しかしまれに、重い呼吸困難を起こし命に関わることもあるため、症状が現れた場合は早めの対応が重要です。
この咳は、以下のようなときに悪化しやすい傾向があります。
まずは興奮させないことが重要です。症状があらわれたら呼吸が楽になるように、首を圧迫しない姿勢にしてあげましょう。

気管虚脱の診断は、身体検査や画像検査などを組み合わせて総合的に行われます。
気管の中を直接観察できる検査で、気管虚脱の状態を正確に評価できます。炎症や感染の有無を調べることも可能ですが、全身麻酔が必要になるため、犬の状態によっては慎重な判断が必要です。
また、気管虚脱は心臓病や慢性気管支炎などと同時に起こることが多いため、これらの病気がないかもあわせて調べます。

気管虚脱は完全に治すことが難しい病気ですが、症状をコントロールし、生活の質(QOL)を保つことが治療の大きな目標になります。
軽度から中等度の場合、まずは生活管理と内科治療が中心になります。生活環境として改善すべきことは以下のとおりです。
症状に応じて、以下の薬を組み合わせて使用します。
内科治療で改善しない重症例では、手術やステント治療が検討されることもあります。合併症のリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

気管虚脱は、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、トイ・プードル、チワワ、マルチーズ、パグ、シーズー、ペキニーズなどの小型犬に多くみられます。
また、心臓病などの病気を併発していることも多いため、定期的な健康チェックが大切です。
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犬の気管虚脱は、慢性的な咳を引き起こす代表的な病気です。愛犬の咳が続いている場合は、「歳のせい」と判断せず、早めに動物病院を受診しましょう。
適切な管理と治療によって、愛犬が快適に過ごせる時間を延ばすことができます。
画像素材:PIXTA