【獣医師監修】犬の気管虚脱に注意!症状や原因、治療法を解説
2026.06.24 作成

【獣医師監修】犬の気管虚脱に注意!症状や原因、治療法を解説

獣医師

小林巧

小林巧

咳をしている愛犬を見て、「風邪かな?」と思ったことはありませんか。犬は、子犬の時期を除くと感染症による呼吸器の病気は比較的少なく、特に中高齢になってから咳が続く場合は、心臓や呼吸器の病気が隠れていることがあります。今回は、小型犬でよくみられる咳の原因のひとつ「気管虚脱(きかんきょだつ)」について解説します。

もくじ

    犬の気管虚脱とは?

    【獣医師監修】犬の気管虚脱に注意!症状や原因、治療法を解説

    犬の気管虚脱は、主に中高齢の小型犬に多くみられる、進行性の呼吸器の病気です。

    空気の通り道である「気管」は、軟骨によって筒状の形が保たれています。しかし、この軟骨が弱くなることが原因で、気管が押しつぶされるように変形し、空気の通り道が狭くなってしまいます。その結果、呼吸がしづらくなり、咳などの症状が現れます。

    犬の気管虚脱の症状 

    犬の気管虚脱の症状

    気管虚脱でもっとも多くみられる症状は、乾いた慢性的な咳です。ガチョウの鳴き声のような「ガーガー」という特徴的な音がすることから、飼い主さんが異変に気づくケースも少なくありません。

    病気が進行すると、以下のような重い症状が出ることもあります。

    • すぐに疲れてしまう
    • 呼吸が苦しそうになる
    • 舌や歯茎が紫色になる(チアノーゼ)
    • 失神する

    気管虚脱はゆっくり進行する慢性疾患で、多くの場合、数か月から数年かけて咳が徐々に悪化します。犬によって進行のスピードは異なり、高齢になるまでほとんど症状が出ない子もいます。

    しかしまれに、重い呼吸困難を起こし命に関わることもあるため、症状が現れた場合は早めの対応が重要です。

    気管虚脱とみられる症状があらわれたら

    この咳は、以下のようなときに悪化しやすい傾向があります。

    • 興奮したとき
    • 夜間から早朝
    • 食事や水を飲んだあと

    まずは興奮させないことが重要です。症状があらわれたら呼吸が楽になるように、首を圧迫しない姿勢にしてあげましょう。

    犬の気管虚脱の診断

    犬の気管虚脱の診断

    気管虚脱の診断は、身体検査や画像検査などを組み合わせて総合的に行われます。

    内視鏡検査(気管支鏡検査)

    気管の中を直接観察できる検査で、気管虚脱の状態を正確に評価できます。炎症や感染の有無を調べることも可能ですが、全身麻酔が必要になるため、犬の状態によっては慎重な判断が必要です。

    画像検査

    • X線透視検査:呼吸や咳をしている最中の気管の動きをリアルタイムで確認でき、とても有用な検査です。
    • レントゲン検査:一般的な検査方法ですが、軽度の虚脱は見逃されることがあります。
    • CT検査:気管の構造を詳しく調べることができ、手術やステント治療を検討する際に役立ちます。

    その他の検査

    • 超音波検査:体への負担が少なく、補助的な診断に用いられます。
    • 身体検査:特徴的な咳の確認や、首を軽く触れて咳が出るかを確認します。

    また、気管虚脱は心臓病や慢性気管支炎などと同時に起こることが多いため、これらの病気がないかもあわせて調べます。

    気管虚脱の治療 

    気管虚脱の治療

    気管虚脱は完全に治すことが難しい病気ですが、症状をコントロールし、生活の質(QOL)を保つことが治療の大きな目標になります。

    内科的・生活環境の管理

    軽度から中等度の場合、まずは生活管理と内科治療が中心になります。生活環境として改善すべきことは以下のとおりです。

    • 体重管理:肥満は症状を悪化させる大きな原因です。減量だけで咳が大きく改善することもあります。
    • ハーネスの使用:首輪は気管を圧迫するため避け、胴輪タイプのハーネスを使いましょう。
    • 環境の工夫:タバコの煙や芳香剤など、気道を刺激するものを避け、涼しく快適な環境を保ちます。

    薬物療法

    症状に応じて、以下の薬を組み合わせて使用します。

    • 咳を抑える薬
    • 炎症を抑える薬
    • 興奮を抑える薬

    外科的・介入治療

    内科治療で改善しない重症例では、手術やステント治療が検討されることもあります。合併症のリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

    気管虚脱になりやすい犬種と日常の注意点

    気管虚脱になりやすい犬種と日常の注意点

    気管虚脱は、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、トイ・プードル、チワワ、マルチーズ、パグ、シーズー、ペキニーズなどの小型犬に多くみられます。

    気管虚脱の予防方法や日常ケア

    • 体重管理を心がける
    • 首に負担をかけない(ハーネス使用)
    • 刺激の少ない環境を整える
    • 興奮やストレスを減らす
    • 食事や水を飲んだ後の様子を観察する

    また、心臓病などの病気を併発していることも多いため、定期的な健康チェックが大切です。

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    まとめ

    犬の気管虚脱は、慢性的な咳を引き起こす代表的な病気です。愛犬の咳が続いている場合は、「歳のせい」と判断せず、早めに動物病院を受診しましょう。

    適切な管理と治療によって、愛犬が快適に過ごせる時間を延ばすことができます。

    画像素材:PIXTA

    著者・監修者

    小林巧

    獣医師

    小林巧

    プロフィール詳細

    所属 しょう動物病院(Sho Animal Clinic)
    日本獣医麻酔外科学会
    日本獣医がん学会

    略歴 1989年 静岡県浜松市に生まれる
    2008年 宮崎大学農学部獣医学科に入学
    2014年 獣医師国家資格取得
    2014年 東京都内の動物病院に勤務
    2018年 埼玉県内の動物病院に勤務
    2022年 しょう動物病院(Sho Animal Clinic)に勤務

    資格 獣医師免許

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