
猫白血病は、一度発症すると治すことが難しい病気です。そのため、重要なことは感染させないことになります。白血病の感染経路や予防方法、診断されたらどうすればよいかについて、飼い主さんが知っておくべき情報を解説します。
もくじ

猫白血病は、猫白血病ウイルス(FeLV)の感染によって引き起こされる病気です。猫白血病ウイルスは、レトロウイルス科ガンマレトロウイルス属に分類されます。
猫白血病は身近な病気で、感染している猫と接触することで感染が広がります(1。
猫白血病に感染すると、発熱、下痢、リンパ節の腫れ、貧血などの症状を示します。進行すると、免疫不全や血液の病気、腫瘍などを発症することがあります。
感染初期であれば症状に気が付かなかったり、ウイルスが排除されて治ったりするケースもあります。

白血病と聞くと怖いイメージをもつ飼い主さんもいることでしょう。実際、ウイルスが定着して進行すると予後が悪いと言わざるを得ません。しかし、猫白血病に感染したからといって必ずしも寿命が短くなるとは限りません。
猫白血病に感染した猫のうち、進行性ステージまで進むのは約30%といわれています。つまり、70%前後は発症せず、寿命を全うする猫もいるのです。

猫白血病の感染は、猫同士の接触(喧嘩などによる咬み傷、グルーミング、交尾などの体液の接触)によって感染します。そのほかにも、輸血などの医療行為や、胎盤や母乳を通して親子間でも感染することがあります。
猫白血病は日本でも広く蔓延しており、全国平均では日常的に外に出る猫のうち12.1%が感染していました。
しかし地域差もあり、特に南の地域で多い傾向があります。九州(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)では20%以上、四国(愛媛県、徳島県、高知県)では15%以上が感染しているという報告があります(1。
また、猫が屋外に出る日数と感染率に明確な相関関係はみられないため、「短時間であれば外に出ても大丈夫」とはいえません(1。
外を自由に散歩させることは控え、猫白血病に感染している猫との接触を避けましょう。

猫白血病はワクチンが開発されており、一定の効果があることが確認されています。ただし、ワクチンで猫白血病への感染が100%防げるわけでありません。
また、野良猫から直接感染する病気には猫エイズウイルスもあり、そちらはワクチンでの予防が難しいです。
猫白血病も猫エイズも感染猫との直接接触により感染が成立するので、感染猫との接触の機会を断つほうが確実です。愛猫を守るためにも基本的に室内飼いとし、外を自由に歩かせることは控えてください。

猫白血病は大きく3つのステージを辿ります。
体の中で猫白血病ウイルスが急激に増殖します。発熱、下痢、リンパ節の腫れ、貧血などの症状を示すことがあります。
このときにウイルスを排除できれば治ることもありますが、排除されなければこのまま潜伏感染状態となります。
基本的に症状は出ず、普通の猫と同じように生活しています。しかし、ストレスや免疫の低下が起こるとウイルスが再度活性化することがあります。
数か月から数年で貧血、免疫不全、腫瘍などのFeLV関連疾患を発症し、命に関わる状態になる可能性があります。
しかし、すべての猫が進行性のステージに至るわけでなく、そこまで進む猫は全体の30%くらいと考えられています。
猫白血病は免疫細胞(リンパ球)や骨髄に感染し、進行性のステージに入るとそこでさまざまな病気を引き起こします。代表的な病気としては、以下が挙げられます。
免疫力が低下するため病気に感染しやすくなり、口内炎、皮膚病、上気道症状(鼻炎、咽頭/喉頭炎など)、胃腸炎などに罹りやすくなります。
猫白血病が血液の細胞を作る骨髄に感染し、血液の細胞(赤血球、白血球、血小板)が減ってしまうことがあります。
赤血球が減ると貧血がおこり、白血球が減ると免疫力が低下します。血小板が減ると出血したときに血が止まりにくくなります。
猫白血病がリンパ球に感染し、それが腫瘍化するとリンパ腫と呼ばれる病気になります。これは血液のガンといわれることもある、悪性度が非常に高い病気です。
名前の由来にもなっている白血病も、猫白血病によって引き起こされることがあります。
リンパ腫と白血病は、病態自体は非常に近くどちらも白血球の癌化ですが、リンパ節から発生すればリンパ腫、骨髄から発生すれば白血病となります。

猫白血病は血液検査で診断が可能です。検査キットのある病院であれば院内で検査できるため、当日〜数日以内に結果を知ることができます。
検査キットがない、より正確に知りたい場合(特にキット検査で陽性になった場合)は、外部の検査センターに依頼するため、結果が出るまで時間がかかることがあります。
猫白血病は自然に治ることもあり、検査で陽性がでてもしばらく経つと陰性になることがあります。
感染した可能性のある時期(野良猫との接触した、外に脱走したなど)から4か月以上経って再検査しても陽性のままであれば、感染している可能性が高いといえるでしょう。

猫白血病はウイルスが一度定着してしまうと、治すことは難しいです。できるだけ進行を抑え、ほかの猫にうつさないよう対策することが大切です。
猫白血病は猫にのみ感染するもので、猫から人間に感染することはありません。愛猫が猫白血病に感染したからといって、過剰な消毒や人間から遠ざけるなどの対策は必要ないでしょう。
ストレスを強く感じると免疫力が低下し、病態を悪化させることがあります。なるべくストレスを感じにくい環境を整えてあげることも重要です。
愛猫が感染してしまったら、ほかの猫と直接触れる機会をなくし、外に出すことも控えてください。ほかの猫との接触さえ防げれば、発症しない限り普段通りの生活をしていても問題ないでしょう。
同居猫がいる場合は、少し話が変わってきます。猫白血病と診断された愛猫はすぐに隔離し、ほかの同居猫に血液検査を受けさせます。
感染している猫としていない猫の直接接触は避け、トイレ、食器はすべて別のものを使用してください。
猫白血病ウイルス単体での生存率は低く、一般的に使用される塩素やアルコールなどでも消毒が可能です。
感染している猫の体液(排泄物、唾液、鼻汁、血液など)に、ほかの猫が触れると感染する可能性があるため、こまめに消毒を行いましょう。
飼い主さんが感染している猫に触れた後や排泄物などの処理をしたあとは、ほかの猫に触れる前に手を洗い消毒をしましょう。
特に鼻汁などは飛び散りやすいので、しっかり拭いて消毒してください。消毒は一般的な消毒薬(アルコール、塩素など)で問題ありません。
猫白血病は、一度ウイルスが定着すれば完治は難しく、進行すると命に関わる病気を発症することがあります。
しかし、感染している猫との接触を防げれば予防は可能で、感染をしたからといって、必ず発症するとは限りません。
過度に恐れず、正しい知識をもって予防・対策していきましょう。
参考文献
1)Watanabe S, Kawamura M, Odahara Y et al (2013): Phylogenetic and Structural Diversity in the Feline Leukemia Virus Env Gene