【獣医師監修】猫が蚊に刺されるとどうなる?症状や室内飼いの猫にも必要な予防策
2025.09.04 作成

【獣医師監修】猫が蚊に刺されるとどうなる?症状や室内飼いの猫にも必要な予防策

獣医師

濵口 美香

濵口 美香

愛猫の「蚊対策」を見落としていませんか?猫も蚊に刺されることがあり、蚊に刺されると皮膚に炎症が起こったり、厄介な感染症を引き起こしたりするリスクがあります。ノミ・マダニだけではなく、蚊への対策もしっかり考えましょう。

もくじ

    猫も蚊に刺される!どんな症状が出る?

    【獣医師監修】猫が蚊に刺されるとどうなる?症状や室内飼いの猫にも必要な予防策
    (Gustavo Aliaga/shutterstock)

    猫も蚊に刺されるのですが、毛におおわれているため刺された箇所が分かりづらく、刺された箇所だけが腫れてかゆくなったり、人のように明らかに蚊に刺されたと分かるような腫れ方をしたりすることは少ないです。

    また、愛猫がかゆそうにしていたり、腫れたりできものがあったりする場合、腫瘍などの病気が潜んでいる可能性もあります。

    念のため、動物病院を受診しましょう。原因が特定されなくとも、経過を獣医師に確認してもらうことが大切です。飼い主さんの自己判断で市販の薬を猫に塗布することはやめましょう。

    ちなみに猫は、蚊から体を守るために、またたびを付着させていた可能性もあるといわれています。「猫が大好きなもので蚊対策ができるなら」と考える飼い主さんもいるかもしれません。

    しかし、興奮しすぎたり、まるごと飲み込んで詰まらせてしまったりすることもあるため、与える際は粉末を少量のみにし、よく様子を見てあげるようにしましょう。

    猫が蚊に刺されることを予防するのは難しい

    猫が蚊に刺されることを予防するのは難しい
    (sophiecat/shutterstock)

    猫が蚊に刺されないよう対策していても、完全に防ぐことは難しいものです。網戸をしていても室内に蚊が侵入することもあるため、室内飼育の猫でも蚊に刺されるリスクがあることを覚えておきましょう。

    猫の虫よけアイテムと使用時の注意点

    虫よけスプレーや蚊取り線香

    猫が直接舐めなくても空間に漂っていたものが猫の体に付着し、全身を毛づくろいする際に舐めとってしまいます。

    飼い主さんが考える以上にさまざまな成分を摂取していることもあるため、猫がいる空間での使用は避けたほうがよいでしょう。

    蚊が多発していて、どうしても使用しなければいけない場合は犬猫用など「猫」の表記がされている虫よけスプレーや蚊取り線香を選びましょう。

    また、使用時や使用後に体調に変化が無いかしっかり様子を見てあげましょう。

    アロマオイル

    天然成分であってもアロマオイルを安易に利用することはとても危険です。

    猫は肝臓の機能が人や犬と異なるため、解毒できずに中毒症状を起こすことがあります。猫に触れる可能性があるときや、猫がいる空間でのアロマオイル利用は控えましょう。

    猫が蚊に刺された時に注意すべき病気

    猫が蚊に刺された時に注意すべき病気
    (Anna Shuliatieva/shutterstock)

    猫が蚊に刺されることで、次のような病気を引き起こす可能性があります。

    蚊刺咬性過敏症

    蚊に刺されることで猫の免疫が反応し、アレルギー性皮膚炎を起こします。

    猫の鼻すじや耳の外側に、プツプツと小さなできものが多数できるのが一般的ですが、点々と小さな脱毛がみられたり、目の周りに症状が出ているように見えたりする場合もあります。

    獣医師による診断のもと炎症を抑える治療を行うと同時に、蚊が多くいる環境を改善して蚊に刺される機会を減らします。

    フィラリア症

    フィラリアは「犬糸状虫」とも呼ばれます。フィラリアに感染している犬を吸血した蚊が、ほかの犬を吸血した際にフィラリアを感染させます。

    フィラリアは犬を終宿主とするため犬の体内で増えやすく、猫の体内では増えにくいです。そのため、猫のフィラリア対策は軽視されてきました。

    しかし、猫でもフィラリアが成長して肺や心臓に詰まったり、免疫反応による急性炎症で突然死の原因となったりすることもあります。猫の飼い主さんも、フィラリア対策について知っておくことはとても重要です。

    蚊に刺されはペット保険で補償される?

    猫が蚊に刺されて治療や診察を行う際、ペット保険に加入していれば、皮膚炎やアレルギーはペット保険で補償されるのが一般的です。

    しかし、フィラリア症は適切に予防をしていない場合補償の対象とはならないため、フィラリア予防をしっかり行い、蚊に刺された際は保険内容を確認しながらの対応が大切です。

    フィラリアは予防が大切

    フィラリアは予防が大切
    (tewpai dechpitak/shutterstock)

    猫のフィラリア症については、まだ解っていない部分も多いです。また、犬に比べて体内でフィラリアが増えにくいことから検出されにくく、検査で陰性と出ても本当に感染していないとはいえません。

    猫のフィラリア症診断は難しく、フィラリア症と診断されても治療が困難な場合が多いため、予防がとても重要です。

    滴下タイプの駆虫薬がおすすめ

    駆虫薬は成分によって効果が異なり、ノミ・マダニだけでなくフィラリアも一緒に予防できるものがあります。毎月一回のノミ・マダニ予防にあわせて、フィラリアも予防しておくことをおすすめします。かかりつけの動物病院で、フィラリアの予防もしたいと相談してみてください。

    はじめて駆虫薬を利用する際はかかりつけの動物病院の診療時間に気をつけ、滴下後に愛猫の体調変化があっても受診できるようにしておきましょう。

    駆虫薬を滴下した部分が脱毛する猫もいるため、愛猫の様子はよく観察してください。

    フィラリア症の症状

    フィラリア症の症状は、

    • 肺や心臓に負担がかかり咳などの呼吸器症状がでる
    • 嘔吐
    • 息切れ
    • 食欲が減る
    • 体重が減る
    • 神経に侵入すると痙攣などの神経症状が出る
    • フィラリアの詰まりや免疫反応による急性炎症で突然死につながる

    など多岐にわたり、診断が難しいです。

    しかし、フィラリア予防をしっかりしておけば、愛猫に体調不良があってもフィラリアを除外できます。飼い主さんの日頃からのケアで、何かあった際の治療の近道を作ることができるのです。

    愛猫の突然死のリスクをひとつでも減らせることは、とても重要です。

    【関連記事】
    【獣医師監修】猫もフィラリア予防が重要!予防方法について解説

    まとめ

    愛猫が蚊に刺されないよう対策する際は、愛猫にとって危険なものを利用していないか確認しましょう。また、愛猫が蚊に刺されたとしても、フィラリアからは守れるようにしっかり予防していきましょう。

    月に一回、動物病院で駆虫薬を滴下してもらったらオヤツを食べて帰ってくるなど、体調不良で受診する際の通院ストレスを軽減できるような工夫も大切です。

    飼い主さんとかかりつけの動物病院スタッフが日ごろからコミュニケーションをとることは、円滑な治療に繋がります。

    著者・監修者

    濵口 美香

    獣医師

    濵口 美香

    プロフィール詳細

    所属 猫の診療室モモ(東京都品川区) 勤務医

    略歴 1988年 鹿児島県に生まれる
    2007年 麻布大学獣医学部獣医学科入学
    2014年 獣医師国家資格取得
    2013年~2015年 千葉県の犬猫動物病院にて勤務
    2015年~2016年 ペット保険会社にて勤務。動物病院での診察業務・ペットショップの子犬子猫の往診・イベントでの健康相談業務・動物看護専門学校での講師を務める
    2016年~2017年 子育てに専念
    2018年~ 品川区の猫の診療室モモにて勤務

    資格 獣医師免許
    JSFM CATvocate認定プログラム修了

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