
愛猫に目ヤニが付いていると、何かの病気かと心配になる飼い主さんは多いでしょう。人と同様に、猫も体調によって目ヤニの量が増えたり、色や状態が変化します。
今回は、猫の目ヤニに関する症状や原因・治療法などを解説します。大切な愛猫のために猫の目の特徴を理解し、万が一のときに備えておきましょう。
もくじ

目ヤニは、生理現象によって目から出る分泌物です。目ヤニには、代謝によって出た古い細胞や目に付いたゴミなどが含まれています。
目ヤニが出る原因はさまざまですが、大きく分けると次の3つです。
以下では、これら3つの原因について解説します。
目ヤニに粘着性がなく、少量が目のふちなどに付く程度の場合、ほこりや老廃物が原因であると考えられます。通常の目ヤニは生理現象のため、特に理由もなく発生します。粘着性がなく少量であれば、ほこりや代謝による分泌物の可能性が高く、特に問題はないと考えられるでしょう。
ほこりが多く舞っている場所にいたときなどは通常よりも多く目ヤニが出ますが、ほこりを取り除けば元に戻るでしょう。
目が傷ついているときは、目ヤニが出やすくなります。猫があしで繰り返し目をこすったり、血がにじんでいたりする場合は、目に傷が付いているかもしれません。
特に猫はすぐに目をこするため、目が傷付きやすいとされています。また、多頭飼いをしている場合、じゃれ合ううちにケンカとなり、目にケガをすることもあるでしょう。
目の傷は、放っておくと深刻な病気につながります。いつもと様子が違うと感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
目の病気は目ヤニの原因になります。赤い目ヤニが出ていたら、目の病気にかかっている可能性があります。赤い目ヤニはもちろん、一緒に膿が出ていたらすぐに動物病院を受診しましょう。目以外の病気が考えられることもあります。
目の病気は放っておくと、失明したり視力が低下したりするおそれがあります。いつもと様子が違うと感じたら、すぐに動物病院を受診することが大切です。
目ヤニの量や状態によって病気を発見できる場合もあります。日頃から愛猫の体の状態を観察しておくと、変化にも気づきやすいでしょう。

「いつもと目ヤニが違う」「膿が出ている」といった場合、次のような病気の可能性があります。
ここからは、それぞれの病気について解説します。
角膜炎とは、何らかの原因で角膜が傷つき炎症を起こしている状態です。角膜には、網膜(もうまく)に光の強弱や色彩などの情報を正しく伝える機能があります。角膜が傷つき炎症を起こすと、それらを正しく伝えられなくなります。
角膜炎は最悪の場合、失明してしまう病気です。しかし、早期に治療を開始すれば重症化しにくいため、早期発見・早期治療が大切です。点眼薬による治療が一般的ですが、必要に応じて注射や内服薬を用いるケースもあります。
角膜の炎症で引き起こされる角膜炎は、目ヤニの異常によって受診し、発見されるケースの多い病気です。重症化させないためにも、異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
結膜炎とは、結膜に炎症が起こっている状態です。主にウイルス感染や目に異物が入った場合に起こります。
結膜とは、上下のまぶたの裏にある粘膜です。結膜が炎症を起こすと、目ヤニが増えたりまぶたが腫れたりします。生後間もない子猫の場合、腫れと目ヤニでまぶたがくっついたり、目が正常に成長しない可能性もあります。
ウイルスによる感染症は、ワクチンで予防が可能なものもあります。結膜炎は重症化すると失明に至る可能性もあるため、予防を徹底することが大切です。なお、ワクチン接種はペット保険の補償対象外である点に注意しましょう。
猫風邪にかかると目ヤニだけではなく、くしゃみや鼻水の症状が出ます。猫ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどの感染が主な原因です。
猫風邪は「室内で飼っている猫はかからない」と考えている飼い主さんも少なくありません。しかし、室内で飼育している猫であっても、飼い主さんがウイルスを持ち込めば感染する可能性があります。
猫風邪の症状がみられたら、なるべく早めに動物病院を受診し、薬が処方されたら用量や用法を守って服用させましょう。ウィルス感染症による猫風邪もワクチンで予防が可能です。
ブドウ膜炎は、眼の中間層であるぶどう膜に炎症が起きる病気です。猫同士のケンカで目が傷ついたり、感染性のウィルス、免疫異常など、様々な要因で目のブドウ膜に炎症が起こる病気です。なかには、原因がわからない特発性の場合があります。
目ヤニが増えてきた、充血、目が濁っている、視力の低下と思われる様子(歩いているときに物にぶつかるなど)を発見したら、早めに動物病院を受診しましょう。
ブドウ膜炎になると、原因の治療と並行して点眼薬や内服薬で目の炎症を抑える治療を行うのが一般的です。ブドウ膜炎は進行すると白内障や緑内障などの合併症や最悪の場合失明してしまうこともあるため早期治療が大切です。
流涙症とは、涙が止まらず常に目から涙があふれる状態です。涙が通常以上に作られていたり、うまく排泄されなくなることが原因といわれています。
正常であれば、作られた涙は涙点(るいてん)から鼻涙管(びるいかん)を通って排出されます。流涙症になると鼻涙管に炎症が起きたり異物が詰まったりして、うまく涙が流れません。原因によっては抗生剤治療などが行われます。

目ヤニの多くは生理現象です。生理現象の場合は治療の必要がないため、ペット保険の対象にはなりません。しかし、目ヤニをきっかけに何らかの病気が見つかり、それが保険の対象となる傷病だった場合には、その治療費に対して保険金が支払われます。 ここでは実際の支払い事例を紹介します。
ブドウ膜炎の治療のため、眼圧検査、感染症検査、点眼薬などの処方を行いました。
通院1日間
| 治療費総額 | 2万1,060円 |
ペット&ファミリー損保のペット保険、「げんきナンバーわんスリム プラン70」に加入していた場合、自己負担額例は以下の通りです。
| お支払い保険金 | 1万1,242円 |
| 自己負担額 | 9,818円 |