【獣医師監修】猫の避妊手術についてもっと知ろう
2021.10.29 作成

【獣医師監修】猫の避妊手術についてもっと知ろう

獣医師

堀江志麻

堀江志麻

多くの方がメス猫を飼われた場合に、「避妊手術」を実施されていらっしゃると思います。猫の避妊手術は実際にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?また、手術はどのようなことをするのかについて解説します。

もくじ

    猫の避妊手術にはメリットがある

    【獣医師監修】猫の避妊手術についてもっと知ろう

    (ilikeyellow/shutterstock)

    猫の避妊手術は、卵巣と子宮、もしくは卵巣のみを手術で摘出することにより、メスの繁殖能力を取り除き、望まない妊娠を予防します。

    病気を予防する

    早期に避妊手術をすることにより、乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)の発生を抑えるメリットもあります。乳腺腫瘍とは、いわゆる「乳がん」のことです。

    望まない繁殖を防ぐ

    猫の繁殖能力は非常に高く、生後7ヶ月くらいで最初の発情期を迎えます。そこで、万が一オスと交尾をすると、2ヶ月後には5~6頭の子猫を産みます。

    その子猫たちもあっという間に成長し、避妊手術を行わないと次々と子猫が増えていってしまいます。

    昨今では、外に猫を出される方は少ないので、1頭飼いの場合は妊娠する可能性はまずありませんが、「去勢手術をしていないオスと避妊手術をしていないメスの多頭飼い」、「外に散歩に出るような猫」はいつでも妊娠の危険性がともないます。

    発情期の問題行動を防ぐ

    発情期が来ると、オスを求めてドアが開いたすきに外に出ていってしまい、妊娠して帰宅するというケースもありますし、その時期にメスはびっくりするほど大きな声で鳴いたりします。
    避妊手術をすればそういった行動を抑えることができます。

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    猫の避妊手術をしないデメリットを考える

    猫の避妊手術をしないデメリットを考える

    (Esin Deniz/shutterstock)

    避妊手術をせずにメス猫と暮らした場合、上述したような発情行動に、多くの飼い主さんが頭を悩まされることになるでしょう。

    発情期には通常とは異なる行動をしますので、一瞬の隙をついて外に出てしまい、外の猫と交尾をして妊娠してしまうという大変なリスクがあります。

    また、発情に関するこれらの行動はやめさせたくても、まず不可能です。

    もちろん個体差はあるので、メス猫の発情期もそこまで大変じゃないよという方もいるかもしれませんが、多くの飼い主さんは悩んで病院に相談に来られます。

    避妊手術のタイミング

    避妊手術のタイミング

    (Maria Sbytova/shutterstock)

    では、避妊手術はいつ頃するのが良いのでしょうか?

    メス猫は、生後1歳になる前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍(乳がん)の発生を抑制できることがわかっています。

    猫の乳腺腫瘍は全体の腫瘍うち17%を占めるとされ、その発生率はリンパ腫と皮膚腫瘍に次いで、3番目に多いとされています。

    そして、猫の乳腺腫瘍はその85~95%が悪性と言われています。

    大人になってからの手術もできないことはありませんが、発情を経験する前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生をほとんど抑えることができますし、その他の子宮の病気など病気も予防できますので、生後6ヶ月くらいで行うと良いでしょう。

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    猫という生き物を迎えたからには

    猫という生き物を迎えたからには

    (Kyryk Ivan/shutterstock)

    時々、「去勢や避妊をすると、本来の生き物としてかわいそうな気がする。」「この子がすごくかわいくて、いい子だからこの子の子供を残したい。」と思われる方もいます。

    大好きな大切な愛猫だからこそ、そのように思われる気持ちもとてもよくわかります。

    しかしながら、猫という生き物を、人間の暮らしに合うように家族として迎えたのも事実。

    犬よりも家畜化されて間もない猫たちは、本能も強く持ち合わせている動物。
    猫たちの過剰なストレスを減らし、互いに室内で穏やかに暮らすためには、去勢や避妊といった手術をしてあげることは、飼い主さんとしての大切な責任なのです。

    無計画に増えてしまった猫たち

    無計画に増えてしまった猫たち

    (Ashley Swanson/shutterstock)

    また、先ほども述べたように、猫の繁殖能力はとても高いです。オスとメスが交尾をすると2ヶ月後には5~6頭の子猫を産みます。その子猫も数ヶ月すると大人になり、あっという間に繁殖期を迎えます。

    本来、ペット、家族としての犬や猫は、健康、性格、血統、品種、様々なことを考慮して計画的にプロがブリーディングすべきもの。

    無計画に増えてしまった犬や猫たちは、結果とて悲しい結末を迎えることが多いのも事実です。

    猫の避妊手術は基本的には全身麻酔になります。前後の麻酔管理も含め約1時間~2時間もあれば麻酔から目覚めます。

    全身麻酔をかけるという点や、術後代謝が落ちて太りやすくなるといった点もありますが、病院でしっかりと相談することでより安心して手術を行うことができると思いますので、まずはかかかりつけ医で相談してくださいね。

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    著者・監修者

    堀江志麻

    獣医師

    堀江志麻

    プロフィール詳細

    所属 往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

    略歴 1979年 山口県宇部市に生まれる
    1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
    1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
    2004年 獣医師国家資格取得
    2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
    2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
    2010年 子供を出産し、一時お休み
    2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
    2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院 現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。

    資格 日本小動物歯科研究会(レベル1認定講習・実習 終了)
    日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
    日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)

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