【獣医師監修】犬の年齢、人間に換算すると何歳?平均寿命は?
2018.06.20 作成

【獣医師監修】犬の年齢、人間に換算すると何歳?平均寿命は?

獣医師

関口雄輝

関口雄輝

みなさんの愛犬は人間で考えると何歳でしょうか。飼い始めたころは小さかった愛犬も、あっという間に年を重ねていきます。愛犬の心はいつまでも子供のようですが、体は歳を重ねることで少しずつ老化していきます。すでにシニアに近づいてきた子も、まだまだ若い子も、シニア期の健康管理や注意点について知り、シニアになっても楽しく過ごせる環境を整えていきましょう。

もくじ

    犬はどのくらいのスピードで歳をとる?

    【獣医師監修】犬の年齢、人間に換算すると何歳?平均寿命は?
    (Billion Photos/shutterstock)

    犬を飼ったことがある人なら、「うちの犬は人間で考えればどのくらいの年なんだろう?」と疑問に思ったことがあるでしょう。

    犬種や飼育環境などによって差がありますが、犬は生後半年くらいまでに急激に成長し、1歳くらいで、だいたいの成長が止まります。

    小型犬や中型犬は6~7歳くらいでシニア期に入りますが、大型犬はもう少し早く、5~6歳くらいからシニア期となります。

    しかし、若くても寝てばかりいる犬もいれば、高齢でも元気に動き回っている犬もいるなど、犬の年齢はとてもわかりにくいのです。

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    愛犬は人間に換算すると何歳?犬の年齢換算表

    愛犬は人間に換算すると何歳?犬の年齢換算表
    (Ermolaev Alexander/shutterstock)

    犬と人間では歳をとるスピードが異なるため、単純に年齢を比較・換算することはできません。

    人間と犬の成長スピードを見てみましょう。

    人間の成長スピード

    • 生後半歳ほどで首がすわり、寝返りをうてるようになる
    • 1歳くらいでハイハイやつかまり立ちができるようになる
    • 3~4歳になるとほとんどの運動ができるようになる
    • その後も体の成長は続き、16~18歳で体が成熟する

    犬の成長スピード

    • 生後2週間ほどでハイハイのような姿勢をとることができる
    • 3週間経つと4本足で歩けるようになる
    • 生後半年くらいで体がかなり成熟してくる

    これを人間に換算すると下のような表になります。

    犬の年齢 人間
    1カ月1歳
    2カ月3歳
    3カ月5歳
    6カ月9歳
    9カ月13歳
    1歳16歳
    1歳半20歳
    2歳24歳
    3歳28歳
    4歳32歳
    5歳36歳
    6歳40歳
    7歳44歳
    8歳48歳
    9歳52歳
    10歳56歳
    11歳60歳
    12歳64歳
    13歳68歳
    14歳72歳
    15歳76歳
    16歳80歳
    文献:山根義久 監修、動物臨床医学研究所 編集(2012.11)「イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科:イヌ・ネコからフェレット・ウサギ・ハムスター・小鳥・カメまで」パイインターナショナル、P101

    ざっくりとした把握なら上の表で大丈夫ですが、犬種によって平均寿命は大きく異なるため、年齢換算も変わる点に注意が必要です。

    犬の年齢の計算方法

    犬の年齢の計算方法
    (Kristina Holovach/shutterstock)

    犬種ごとに年齢を把握したい場合は、ご自身が飼っている犬種の平均寿命から逆算して考えましょう。

    というのも、大体どの犬種でも生後1歳くらいで体が成熟することに差はありません。そこを基準として、平均寿命から計算していけば良いのです。

    犬が1年で年を取る年齢の計算方法

    例えば、ラブラドール・レトリバーの年齢換算表を見てみましょう。

    (計算をわかりやすくするため、数値に誤差があります)

    ラブラドール・レトリバー:人間         
    1ヶ月:1歳
    2ヶ月:3歳
    3ヶ月:5歳
    6ヶ月:9歳
    9ヶ月:13歳
     1年:16歳
    以降、1年毎に6.4歳
      (2年:22.4歳、5年:41.6歳、10年:73.6歳)
      11年:80歳

    一般的な犬の平均寿命を人間の80歳とし、犬の1歳を16歳と換算します。生後2年以降に、犬が一年で年を取る年齢は、次のように計算できます。

    (80歳-16歳)÷(調べたい犬種の平均寿命-1年)=犬が一年に年を取る年齢

    これを、ラブラドール・レトリーバーの平均寿命を11 歳として計算すると、1年に6.4歳年を取ることになります。

    今の愛犬の年齢を人間に換算する計算方法

    先ほど計算した1年に年を取る年齢を使って、現在の愛犬の年齢を人間に換算できます。

    16+(犬の年齢-1)×犬が1年で年を取る年齢=人間に換算した犬の年齢

    例えば、8歳のラブラドール・レトリバーの今の大体の年齢を知りたい場合は、

    16 + (8 – 1) × 6.4 = 60.8 歳

    つまり人間に換算すると、60歳くらいという結果になります。

    ただし、この数値はあくまで目安だということを知っておきましょう。

    もっと簡単に、ざっくり把握

    この計算式は、無理やり人間に当てはめたもののため、正確ではなく実用的でもありません。

    実際に、獣医師は次のように把握しています。

    • 半年くらいまでは急激に成長
    • 1歳くらいで成長が大体止まる
    • 中型犬以下は6~7歳くらいでシニア期に入る(大型犬は5~6歳くらい)
    • 平均寿命くらいまで生きる

    何歳という明確な数値にしなくても、成長期なのかシニア期なのか、そして平均寿命がわかれば、治療のプランや生活習慣の指導は十分に可能なためです。

    犬の平均寿命はどれくらい?

    犬の平均寿命はどれくらい?
    (Javier Brosch/shutterstock)

    サイズごとの平均寿命や、代表的な犬種の平均寿命をご紹介しましょう。

    小型・中型・大型犬の平均寿命※

    サイズ平均寿命
    小型犬15.8歳
    中型犬14.4歳
    大型・特大犬12.9歳

    犬種ごとの平均寿命※

    犬種平均寿命
    チワワ15.0歳
    トイ・プードル16.7歳
    ポメラニアン15.0歳
    ミニチュア・ダックスフンド15.9歳
    フレンチブルドッグ13.1歳
    柴犬15.6歳
    ※当社調べ。2021年1月~12月における死亡解約頭数および2021年の保有契約をもとに簡易的な生命表を作成し、0歳時点の平均余命を平均寿命とした。

    データの取り方や犬種、環境による個体差があるため若干の誤差があります。あくまで目安と考えて頂ければと思います。

    犬に長生きしてもらうには?

    犬に長生きしてもらうには?
    (Mariia Korneeva/shutterstock)

    「愛犬と少しでも長く一緒にいたい」というのは、犬を飼ったことがある人なら誰でも思うこと。少なくとも平均寿命までは生きてほしいですよね。

    この章では、愛犬に少しでも長生きしてもらうためのポイントをご紹介します。

    飼い主さんが自宅でできることはもちろん行いつつ、かかりつけの病院と連携して愛犬の細かな変化に気付けるようにしましょう。

    定期的な健康診断

    犬が平均寿命より早く亡くなってしまう原因は、ほとんどが事故か病気です。事故に関しては防げないことも多いですが、病気は早期に発見できるものもあるため、定期的に健康診断を受けましょう。

    ポイントは、血液検査や胸とお腹のレントゲン検査、お腹の超音波検査などで全身をくまなく検査してもらうことです。

    頻度としては、7歳未満が年1回、7歳以上なら半年に1回が推奨されます。

    定期的な体重チェック

    病気の早期の状態では、脱水や食欲低下が起こることがあります。すると、水分や栄養が体から抜けて体重が減少します。逆に、体重が増えると肥満になり、さまざまな病気を引き起こす可能性が高くなります。

    毎日体重を測定する必要はないですが、週1回くらい測定してあげると、思わぬ変化に気付けることがあります。

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    しこりチェック

    しこりは体のさまざまな所にできます。体内にできるしこりは触ってもわからないことが多いですが、体の表面(皮膚)にできるしこりは見つけられます。普段から体に触れ、しこりを見つけたら早めに病院で診てもらうようにしましょう。

    ライフステージにあった環境作り

    ライフステージにあった環境作り
    (Rita_Kochmarjova/shutterstock)

    ライフステージによって、愛犬への接し方や環境づくりのポイントが異なります。ライフステージごとの注意点をご紹介します。

    子犬(~生後8ヶ月)

    離乳完了後のこの時期は、外の世界に興味津々。いろんな所を探検したり、高い所に登ったりと、好奇心が旺盛です。

    体はまだまだ未熟なので、狭い所に入り込んだり、高い所から落ちてしまったりするなど、危険な目にあうこともあります。また、噛みたい欲求が強い時期のため、なんでも口に入れたがります。電気のコードを噛んで感電したり、物を飲み込んで窒息したりするなど、非常に危険です。

    • 部屋は綺麗にして、バリアフリーにする
    • 床に物を置かず、すぐに掃除をする
    • 電気のコードは取り除くか、近づけない

    などの対応を心がけましょう。

    事故やケガの具合によっては手術が必要になったり、命に関わったりするため注意が必要です。

    子犬に多い病気・ケガの治療費
    子犬期は、骨折や異物誤飲が多いです。

    ・異物誤飲の平均的な治療費
    1万5,000〜3万円 ほど
    ・骨折の平均的な治療費
    7万~15万円 ほど

    ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。

    お迎えしたばかりの頃は、環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気をつけてあげましょう。
    費用面で心配であれば、ペット保険を検討しましょう。なお、異物誤飲は命に関わりますので、すぐに動物病院に相談することが重要です。
    ※当社調べ

    成犬

    体ができてくると、怪我や病気の心配は減ってきます。しかし、病気にならないわけではないので、体重や食事の量、排便や排尿をチェックし、気になることがあれば病院を受診しましょう。

    拾い食いの癖が抜けていない場合は、そちらも注意してください。

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    シニア犬

    シニア期に入ると、筋肉や関節の衰えから体が思うように動かなくなり、病気のリスクが上がります。シニア犬への環境づくりは後ほど詳しく記載しますが、なるべくバリアフリーにして、体の負担を減らしましょう。

    また、体重、食事、排泄などの小さなサインを特に意識してください。

    生き物ですので絶対はありません。獣医師として普段診察をしている中で、平均寿命を待たずして亡くなってしまうことをたくさん経験しています。しかし、快適に長生きしてもらえるよう、ライフステージにあった環境づくりを心がけましょう。

    シニアを年齢だけで判断しないようにしよう

    シニアを年齢だけで判断しないようにしよう
    (Christin Lola/shutterstock)

    ここまで「シニア」という言葉を使ってきました。個人的には「老化が始まってきたらシニア」というように使っていますが、「シニア」には明確な定義はなく、人によって使い方が異なります。

    また、「何歳くらいからシニアなのか」というのも、個人差があるため一概には決められません。

    人間で置き換えてみるとわかりやすいかと思います。

    50代でも、マラソンや登山など、日々運動をしていて、若者より元気な方もいらっしゃいます。一方で同じ50代でも、腰痛などに悩まされて病院通いが多いという方もいるでしょう。

    このように、年齢だけで区切れるものではなく、個人差が非常に大きいです。年齢だけで判断せず、愛犬の現在の様子を考慮して、シニアかどうかを判断することが重要なのです。

    とは言え、目安があった方がわかりやすいですよね。それが先にご紹介した、大型犬は5~6歳、小型犬/中型犬は6~7歳なのです。あくまでも目安で、個人差が大きいものではありますが、全体的な傾向からすると、これくらいの年齢になると老化が始まります。

    年齢以外の判断ポイントもご紹介しましょう。

    シニア期に入ると起きる症状

    シニア期に入ると体の機能の衰えが始まります。その変化を捉え、適切に対処してあげてください。

    シニア期に起こる変化の例をあげてみましょう。

    1. 寝てばかりいる
    2. 階段を登らなくなる
    3. 口臭が強くなる
    4. 毛質が悪くなる、もしくは白髪が増えてくる
    5. 壁や物にぶつかるようになる
    6. お尻や目の上が痩せてきている
    7. 反応が鈍くなる
    8. 散歩に行かなくなる
    9. 眼の奥が白くなる・目ヤニの増加

    あなたの愛犬は、いくつ当てはまったでしょうか。当てはまる項目が多いほどシニア期に突入している可能性が高いです。

    しかし、これ以外にも老化のサインはたくさんあります。大切なのは「今までできていたことができなくなった」「今までとここが変化した」といった違いに気づけるかです。シニアの兆候が見られたら、過ごしやすい環境を作ってあげましょう。

    若い頃と同じようにはいきませんが、適切なケアをしてあげることで、愛犬もご家族も日々を快適に過ごすことができます。

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    シニア犬との暮らしと注意点

    シニア犬との暮らしと注意点
    (Iryna Kalamurza/shutterstock)

    シニア犬と暮らしていく中での注意点をチェックしてみましょう。

    半年に一度、健康診断に行く

    若い頃の健康診断は年に一度でもよいですが、シニア期は、少なくとも半年に一回の健康診断をおすすめします。血液検査、レントゲン検査、超音波検査は最低でも受けるようにしましょう。

    滑りにくい床にする

    筋肉が衰えたり反応が鈍くなったりすると、フローリングで滑ったり、段差で足を踏み外したりすることがあります。思わぬ事故につながるケースもあるため、床には滑り止めのマットを敷くほうが無難でしょう。

    また、段差には小さな階段やスロープを付けたり、そもそも階段を登らないようにしたりするなど、環境を整えると安心です。

    適度な散歩を心がける

    足腰が弱ってきた、散歩を嫌がるようになった、などの理由から散歩をやめてしまう飼い主さんもいらっしゃいます。無理矢理散歩に連れて行くのは良くありませんが全く体を動かさないと筋肉は弱り、ますます老化が進みます。できる範囲で運動をさせましょう。

    すぐに疲れるようなら歩行補助具を使用し、こまめな休息を取り入れます。どうしても外に出たがらないようなら家の中で運動させ、よく遊んであげると良いでしょう。

    食事の管理

    歳をとると食べる量が減ったり、好き嫌いが激しくなったりすることもあります。単なるワガママの場合もありますが、実は病気が隠れていることもあります。

    よくある原因は歯周病です。歯や歯肉に痛みが出ると、今まで食べていたドッグフードが食べづらくなることがあります。

    別の隠れた病気によって食欲が低下しているケースもあります。体重が徐々に減っている場合は、病気の可能性を考慮し、一度病院でしっかり診てもらいましょう。

    見て、触って健康管理

    高齢になると、小さなイボや脱毛、湿疹(しっしん)、関節や腰などの痛みなど、体に異変が出てくることがあります。しかし、犬は痛いとは言えず、被毛に隠れて異変に気付きにくいです。こまめに全身を「見て」「触って」チェックしてあげましょう。

    「見る」ときにはなるべく毛をかき分けながらチェックしてください。「触る」ときには、腰や関節を重点的に触ると良いでしょう。

    若いうちからペット保険へ加入をすると安心

    いくら気をつけていても病気になるときはなります。病気を早期発見できれば治療も楽にはなりますが、それなりに費用はかかります。

    せっかく病気を早期発見し、治療手段もあるのに、費用が気になって治療に集中できないということがないよう、元気なうちからペット保険への加入を検討してみてください。

    実際に犬を飼われていると実感されると思いますが、犬は病院に行く頻度が意外と多く、保険を使う機会もかなり多いです。

    ペット保険に加入していれば、実際に治療に入った時に費用を大幅に軽減することができます。若いうちからペット保険に加入して、老後の備えをしておくこともとても重要です。

    おわりに

    おわりに
    (ESB Professional/shutterstock)

    シニアになると病気になる可能性は上がり、どんなに気をつけていても防げないこともあります。また、「無理をさせたくない」「なるべくゆっくりさせてあげたい」と思う方も多いでしょう。

    しかし、シニアになっても愛犬自身の心は若いまま。いくつになっても、楽しいことが大好きです。

    シニアだからと、いろいろなことを制限してしまってはお互いにつらくなってしまいます。体に気を使いながらも、日々の楽しみを損なわないように、出来ることは楽しくやらせてあげられるような環境を作っていってあげましょう。

     

    著者・監修者

    関口雄輝

    獣医師

    関口雄輝

    プロフィール詳細

    所属 株式会社ハル犬猫病院
    JASMINE どうぶつ循環器病センター
    研修医
    日本小動物医療センター 動物夜間救急診療センター 非常勤獣医師

    日本獣医循環器学会
    日本獣医画像診断学会
    日本獣医救急集中治療学会

    略歴 1989年 神奈川県に生まれる
    2008年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
    2014年 獣医師国家資格取得
    2018年 JASMINE どうぶつ循環器病センター 研修医
    2021年 日本小動物医療センター 動物夜間救急診療センター 非常勤獣医師

    資格 獣医師免許
    The RECOVER Initiative hereby certifies

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