2017.09.04

一番オナラがくさい犬種とは

あなたのワンちゃんは、オナラがにおいますか?腸内に「悪玉菌」が多い子は、オナラや便がにおいやすいと考えられます。今回は、オナラがにおう原因や、中でもにおいがキツくなりやすい犬種についてお話しをしましょう。これらを知っておくことで、腸内環境をととのえ健康を維持することにつながります。

そもそも、オナラとは何か

一番オナラがくさい犬種を考える前に、そもそも「オナラ」とは何か?を考えてみましょう。
オナラの成分のうち、7割は口から入った空気。2割が血液中のガスが腸内に出てきたもの。残りの1割が、腸内で食べものが分解されるときに発生するガスといわれています。

オナラの回数が多い子

Africa Studio/shutterstock

オナラの成分の7割は、口から入った空気だとお話ししました。したがって、フードを一気に早食いする子などはフードといっしょに空気をたくさん飲みこんでいる可能性があるので、オナラの回数も多くなると考えられます。
また、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種も空気を吸いこみやすいため、胃内がガスでパンパンになることも。さらに、興奮しやすい子、消化しにくいものを食べている子はオナラの回数が多いかもしれません。
ただ、その場合は「空気」なのでオナラのにおいはそこまでキツくないはずです。

腸内細菌について

Javier Brosch/shutterstock

オナラがくさいのは、腸内で食べものが分解されるときに発生するガスが原因です。肉類などのたんぱく質が消化されて発生するガスは、とてもくさいのです。一方、サツマイモなどのデンプン類が消化されて発生するガスは、ほぼ無臭です。
そして、オナラのにおいに深くかかわるのが「腸内細菌」です。腸内細菌とは、腸内に住む細菌叢(細菌の集合体)のこと。
腸内細菌は、人では約100〜1,000種の菌が存在することがわかっています。さらに、からだにとって良い菌・悪い菌にわかれるのです。
ビフィズス菌や乳酸菌などは、からだに良いはたらきをする善玉菌群。ウェルシュ菌や病原性大腸菌などは、からだに悪いはたらきをする悪玉菌群となります。
そのほか、体調の変化により善玉菌・悪玉菌のどちらにもなり得るバクテロイデスなどの日和見(ひよりみ)菌群もあり、成人ではバクテロイデスが便中の菌の8割を占めているともいわれています。

悪玉菌が多い子は、オナラや便がにおう

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善玉菌は消化吸収を助けたり、各種ビタミンや酵素の産生、免疫細胞の活性化、感染の防御などに役立ちます。
腸内細菌叢の構成は犬では個体差も大きく、家庭犬と実験モデル犬でも腸内環境は異なりますし、食事内容や生活環境でも大きく異なります。しかし一般的には、人と同様バクテロイデスが便中に最も多いとの報告があります。
これらの細菌叢に善玉菌が多く、悪玉菌が少ないときは下痢もせず、腸内環境は良い状態で保たれていると考えられますが、ストレス・食事の急な変更・体調の変化・老化・腸炎などにより悪玉菌が増加したり、善玉菌が減少することで腸内細菌叢が乱れます。
また、悪玉菌は発ガン性物質を産生したり、悪臭ガスを発生させますので、悪玉菌が増殖することにより、いつもよりオナラや便のにおいもキツくなると考えられます。
これらのことを踏まえると、オナラのにおいがキツいというのは、犬種というより個体の状態が関係していることがわかります。
したがって、下痢や嘔吐といった消化器症状を出しやすい子は腸内環境が乱れ悪玉菌が優勢になっているケースが多いと考えられます。

一番オナラが臭い犬種は

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さて、いよいよ本題です。以上をふまえると、オナラがくさい犬種は「遺伝的に消化器疾患を起こしやすい」犬種だと考えられます。以下にあげた犬種は、悪玉菌が増殖しやすい点で、オナラがくさくなりやすいと考えることができます。

キャバリア 膵外分泌不全、慢性膵炎
コリー 膵外分泌不全
ジャーマンシェパード 好酸球性胃腸炎、膵外分泌不全、SIBO(小腸内細菌過剰増殖)
ダックス 出血性胃腸炎
チャウチャウ 膵外分泌不全
トイプードル 出血性胃腸炎
フレンチブルドッグ 組織球性潰瘍性結腸炎
ペキニーズ 出血性胃腸炎
ボーダーコリー コバラミン(B12)選択的吸収不良(まれ)
ミニチュアシュナウザー 出血性胃腸炎、膵炎
ヨークシャテリア 出血性胃腸炎、リンパ管拡張症

これらの犬種は他の犬種と比較して、遺伝的に消化器疾患を発症しやすい犬種。上記のような炎症から悪玉菌が増殖し、においのキツいオナラをすることがあるかもしれません。
しかし、これまでお話ししてきたとおり、どの犬種でも下痢や嘔吐などの消化器症状をおこしている子や、腸に腫瘍やポリープが存在して炎症を起こしている子も、通常よりも臭いオナラや便をすることがあります。そういった意味では、オナラがくさいかどうかは、診断のひとつの手がかかりになるかもしれませんね。

善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすには

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さて、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすにはどのようにしたら良いのでしょうか。
しっかり運動をし、腸の蠕動運動を刺激することで悪玉菌は減少します。また、過度なストレスを取り除くことも重要です。
その他、「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」といったサプリメントも有効だと考えられます。
プロバイオティクスとは、腸内細菌叢のバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物のことです。例えば、乳酸菌物質やヨーグルトなどの善玉菌(プロバイオティクス)を直接摂取することで効果が期待できます。
ただ、最近の研究では後から投与した菌はなかなかその動物のからだに定着しないことから、善玉菌の栄養源となるようなものを投与することも推奨されています。
それがプレバイオティクスといわれるものであり、乳酸菌・ビフィズス菌などの増殖作用、腸内細菌叢のバランスの改善、整腸作用、疾病の予防・回復、老化制御に作用するものとされ、芋類、こんにゃく、海藻などの食物繊維やオリゴ糖などが、プレバイオティクスにあたります。

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また、新しい概念としてバイオジェニックスという言葉があります。これは、生体に直接作用し、免疫機能の促進、抗酸化作用、ガンや老化を予防、コレステロールや血圧、血糖を低下させる成分であり、乳酸菌生成物質、乳酸菌菌体成分、植物フラボノイド、ビタミン類などがそれに当たります。
プレバイオティクスとプロバイオティクスは腸内細菌叢のバランスを改善することにより体に良い効果を期待するものに対し、バイオジェニックスはそうした働きに加え、直接生体に働いて機能を果たすものと言えます。
動物でも、バイオジェニックスを投与することで、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌が有意に増加し、有害菌であるウェルシュ菌は減少、また、便中のスカトールや硫化水素といったクサい臭いの成分も有意に減少することが分かっています。
現在ではプロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスを手軽に体内に取り入れることのできるサプリメントもありますので、上手に取り入れることで、腸内環境が改善し、結果オナラの臭いの質も変わり、健康に良いはたらきを期待できると考えられます。
先ほど挙げた犬種に限らず、愛犬のオナラがくさいと感じられた方は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスを取り入れてみることをオススメします。

プロフィール

堀江志麻

往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

1979年 山口県宇部市に生まれる
1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
2004年 獣医師国家資格取得
2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
2010年 子供を出産し、一時お休み
2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院
現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。
  • 日本小動物歯科研究会 (レベル1認定講習・実習 終了)
  • 日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
  • 日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)