【獣医師監修】犬は桃を食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説
2025.09.16 作成

【獣医師監修】犬は桃を食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説

獣医師

成田有輝

成田有輝

スーパーで見かけることの多い桃ですが、犬が食べても問題ありません。では、どれくらいまでなら桃を与えられるのでしょうか。犬に桃を与える際に気を付けるべきポイントと、基礎知識を紹介します。

もくじ

    犬は桃を食べても大丈夫。与える時の注意点

    【獣医師監修】犬は桃を食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説
    (Juanita Layne/shutterstock)

    桃は犬に対して毒性のある食べ物ではないため、基本的には与えても問題ありません。しかし、与え方や量を間違えると、消化不良などの原因となります。犬に桃を与える際は、次の点に注意しましょう。

    外皮、種を取り除く

    外皮や種など消化が難しい部位は取り除いて果肉のみを与えましょう。外皮がついたまま食べると、消化不良で嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。

    また、種は大きく食道や消化管につまって閉塞する可能性があるため、盗み食いで丸かじりしてしまうことがないように置き場所には注意しましょう。

    小さく切り分ける

    犬は食べ物を噛まずに飲み込むことが多いため、大きいまま食べてしまうと食道でつまってしまうことがあります。細かく切り分けて与えましょう。

    子犬の消化不良に注意

    離乳したばかりの子犬は、お腹の調子が整っておらず、消化不良を起こしやすく、下痢や嘔吐を起こすと必要な栄養をとることができません。

    そのため、お腹の調子が整うまでは、総合栄養食のフードでバランスよく栄養を取ることが優先されます。

    桃には毒性はないため、子犬が食べても問題はないですが、消化不良や総合栄養食のフード以外でお腹がいっぱいになり栄養バランスが崩れる可能性を考えると、積極的に与える必要はないでしょう。

    与える際は、お腹の調子が安定しているタイミングで少量から与えるようにしましょう。

    未熟な桃に注意

    未熟な桃や種には青酸配糖体のアミグダリンが含まれており、摂取すると、呼吸困難、痙攣、嘔吐、下痢などの中毒症状を引き起こすことがあります。

    桃の品種や生育状態によって含まれるアミグダリンの量が異なるため、「これくらいなら食べても大丈夫」といった量を設定できません。誤って摂取することがないようにしましょう。

    また、桃の花にはプルナシンという青酸配糖体が含まれているため、注意が必要です。

    桃の木のおもちゃ

    桃の木を使った動物用のおもちゃもあります。桃の木にも毒性はないため、犬に与えても問題ありません。しかし、おもちゃをかじって先が鋭利な状態になっていたり、部品などが外れて飲み込んでしまったりすると大変危険です。飼い主さんが見ている間だけ、遊ばせるようにしましょう。

    桃の加工品には注意が必要

    アイスやジュース、ゼリー、ジャム、シロップ漬けの缶詰など、桃の加工品には多くの砂糖が使われています。犬に与えるのは避けましょう。

    桃の栄養組成

    桃の栄養組成
    (Anna Kucherova/shutterstock)

    桃にはカリウム、ビタミンC、食物繊維などの栄養素も含まれますが、ほとんどが水分と果糖などの糖類でできています。栄養組成の整った総合栄養食のドライフードを食べている状況で、栄養摂取のためにあえて桃を与える必要はありません。

    犬は体内でビタミンCを合成できるため、ビタミンC摂取のために桃を与える必要もないでしょう。何かの栄養を摂取する目的ではなく、嗜好品として与えるという意識が大切です。

    アレルギーに注意

    アレルギーに注意
    (Eric Isselee/shutterstock)

    初めて桃を与える際は、少量から始めて、愛犬の反応をよく観察することが重要です。 特に、桃以外にもアレルギーがある場合、交差反応が起こる可能性があるため、注意が必要です。

    犬のアレルギーには、大きく分けて、環境因子による犬アトピー性皮膚炎と、食物による食物アレルギーの2つがあります。

    一般的に、特定の物質に対して、過剰に反応してしまうことをアレルギーと呼び、たとえば、小麦アレルギーなら小麦を食べると症状(皮膚の赤み、かゆみや嘔吐、下痢など)を起こします。

    しかし中には、食べ物や環境因子の類似するタンパク質の構造に反応することがあり、これを「交差反応」と呼びます。

    犬の交差反応について詳しく調べられていないため明確なことはいえませんが、桃はバラ科の植物で、同じ科に属するリンゴなどの果物に類似するタンパク質が存在し、人の場合、それに反応することがあるといわれています。

    また、シラカバやハンノキなどの花粉と交差反応を示すことがあるため、注意が必要です。

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    犬に与えてよい桃の量

    犬に与えてよい桃の量

    桃の与えすぎで肥満になったり、総合栄養食のフードが食べられず栄養バランスが乱れたりしないように、カロリーや栄養を考えて与えましょう。

    1日に必要なカロリーの10%まで

    一般的に、1日に必要なカロリーの10%程度までにおやつをとどめるべきといわれています。体重1kgの犬が1日に必要なカロリーは約100kcal程度ですので、その10%だと10kcalです。

    桃(白肉種・生)のカロリーは100gあたり38kcal程度で、桃1個可食部は200gほど。体重1kgの犬に桃をおやつとして与える場合は、1日最大で一般的なサイズの1個の1/8程度(25g)にしましょう。

    (桃(白肉種・生)1個可食部200g。1個76kcalとして算出。参考:文部科学省の食品成分データベース

    1日に必要なカロリーは体重に比例しない点に注意

    犬が1日に必要とするカロリーと体重は比例していません。おやつとして桃のみを与えた場合の最大量の目安を計算してみましょう。

    体重3kgの犬の場合

    体重3kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約220kcal
    おやつとして与えられる桃の量は、1/4個程度

    体重5kgの犬の場合

    体重5kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約330kcal
    おやつとして与えられる桃の量は、2/5個程度

    体重8kgの犬の場合

    体重8kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約460kcal
    おやつとして与えられる桃の量は、3/5個程度

    実際は愛犬が摂取している食事のカロリー、桃以外に与えているトッピングやおやつのカロリーを引いた上で桃の最大摂取量を決定しなければなりません。

    1度に最大量をあたえないこと

    一度に最大量を与えると嘔吐や消化不良になったり、尿のpHがアルカリ性に傾いたりすることがあります。与えるにしても少量から始め、尿石症にかかったことがある場合は定期的な尿検査をおこないましょう。

    犬のおやつは適切な量をこころがけて

    犬のおやつは適切な量をこころがけて
    (Gorodenkoff/shutterstock)

    与え方の注意点や摂取カロリーを守っていれば、犬が桃を食べても問題ないでしょう。

    しかし、人の感覚だけでカロリーを正確に測るのは難しく、実際のカロリーとは大きくかけ離れていることが少なくありません。

    感覚で与えていると、消化器症状を引き起こしたり、長期的には栄養素の過剰や欠乏を引き起こしたりする可能性があります。

    犬の1日の摂取カロリーをしっかり計算しておやつを与えると安心です。

    著者・監修者

    成田有輝

    獣医師

    成田有輝

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社 代表
    (獣医によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)
    (ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」の運営)

    獣医腎泌尿器学会
    日本獣医エキゾチック動物学会

    略歴 1988年 埼玉県に生まれる
    2007年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
    2011年~ ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」公開
    2013年 獣医師国家資格取得
    2013年~2019年 東京都内動物病院に勤務
    2018年~ DC one dish 設立
    2019年 フードメーカー勤務
    2020年~ yourmother合同会社 設立

    資格 獣医師免許

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