犬の去勢手術は必要?費用や健康へのメリットを解説!
2023.07.27 作成

犬の去勢手術は必要?費用や健康へのメリットを解説!

PNS編集部

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「動物病院などで愛犬の去勢手術をすすめられたが、どうしようか迷っている」…そんな飼い主さんに、犬の去勢手術の必要性について解説します。去勢手術の目的や費用、健康へのメリットや注意点を確認し、愛犬にとってベストな選択肢を考えてみましょう。

もくじ

    犬の去勢手術とは?

    犬の去勢手術は必要?費用や健康へのメリットを解説!
    (SeventyFour/shutterstock)

    犬の去勢手術とは、オス犬の精巣を摘出する手術のことです。陰嚢(いんのう)と呼ばれる袋を数センチほど切開し、中から精巣を取り出します。

    陰嚢ではなく腹腔内などに精巣がとどまる停留睾丸(ていりゅうこうがん)の場合は、お腹を開いて手術することもあります。

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    犬の去勢手術のメリットと注意点

    犬の去勢手術のメリットと注意点
    (Beatriz Vera/shutterstock)

    犬の去勢手術にはさまざまなメリットがあり、愛犬の健康増進も期待できます。

    犬の去勢手術のメリット

    前立腺肥大などの病気の予防になる

    去勢手術は、前立腺肥大、精巣腫瘍(しゅよう)、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど未去勢の犬がなりやすい病気の予防につながります。

    これらの病気は去勢手術などによって治療できますが、高齢期に発症するケースが多く手術の体への負担が懸念されます。若い時期に去勢手術をしておけば、将来の治療のリスクを最小限にとどめられるでしょう。

    発情期のストレスを軽減

    オスは発情したメスを見つけると、追跡する欲求を抑えることが困難です。メスの姿が見えなくても、匂いで存在を嗅ぎ取ることができ、メスを探して自宅を脱走してしまうこともあります。

    しかし、ペットとして飼われているオスは、四六時中メスを探し回ることはできず、生殖本能のままに行動できずストレスを抱えることになります。

    去勢手術で発情期が起きない状態になれば、こうした精神的負担は軽減できる可能性があります。

    マーキング・マウンティングを抑制できる

    オスは、発情したメスを求めるとさまざま問題行動をとることもあります。たとえば、そばにいるメスに接近し、背後から体を密着させて腰をふるような行動を見せる「マウンティング」が一例です。

    ときにはほかの犬に対する優位性を示すために行う場合もありますが、陰部の不快感からメス以外のモノや人に対して同様の行動をとることもあります。

    また、オス犬が片足をあげ壁や電柱などに少量ずつ頻繁に尿をかける行動をマーキングといいます。

    マーキングは自分の縄張りを示し、メスに対して自分の存在をアピールするために行う行動ですが、場合によっては室内でもマーキングをしてしまう事があります。

    個体差はありますが、マウンティングやマーキングの習慣が刷り込まれる前に去勢手術をすることで、こうした問題行動を抑制できる可能性があります。

    性格が落ち着く

    オスは発情したメスを意識し始めると、ほかのオスに対して神経質になり威嚇や警戒心を見せることもあります。ときにはオス同士のケンカに発展することも。

    去勢手術を行ったオスは、こうした攻撃性が緩和されるといわれています。ただし、性格への効果は個体差があるため、飼い主さんのしつけも必要になるでしょう。

    多頭飼いの場合、望まない妊娠を避けられる

    多頭飼いしている場合は、繁殖をコントロールできるメリットも挙げられます。1回の出産で5~10頭ほどの子犬が生まれ、飼育しきれずに手放す人も少なくありません。

    去勢手術は、犬の命を無駄にしないために必要な対策といえるでしょう。

    犬の去勢手術の注意点

    犬の去勢手術には注意点もあります。

    全身麻酔のリスクがある

    犬の去勢手術は全身麻酔をともないます。わずか0.12%ほどではありますが、年齢や健康状態などによっては全身麻酔で死亡するケースもあります。

    年齢や健康状態によってはリスクをともなう点からも、去勢手術を行うのであれば若く健康なうちに行うことをおすすめします。手術を受ける際は、麻酔の方法やリスクを動物病院で確認しておきましょう。

    肥満になりやすい

    去勢手術をした犬は、太りやすい傾向にあります。イギリスで実施された犬の肥満に関する研究によると、去勢手術をした犬が肥満になる割合は、去勢しない犬に比べて2倍になることが明らかになっています。

    肥満は糖尿病などのリスクにつながります。去勢手術後は、適度な運動と食事の管理を徹底することが求められるでしょう。

    犬の去勢手術はいつまでに行うべき?

    去勢手術を実施するベストなタイミングは、犬の健康状態や成長度合いによって異なりますが、ひとつの目安として性成熟が終わるまでの時期が挙げられます。

    性成熟とは、生殖機能が完成すること。性成熟を過ぎると、オスはマウンティングなどの行動を始めるため、性成熟までに手術を行うことを推奨している動物病院もあります。

    生後6〜9ヶ月ごろまでには性ホルモンが活発になるといわれているため、その時期より前に去勢手術を計画する飼い主さんは多くいます。

    成長過程には個体差があるため、まずはかかりつけの動物病院へ相談し、犬の健康状態や成長度合いをふまえて獣医師と手術のタイミングを決定しましょう。

    犬の去勢手術にかかる費用は?

    犬の去勢手術にかかる費用は?
    (Hryshchyshen Serhii/shutterstock)

    日本獣医師会が全国の動物病院を対象に行った診療料金実態調査によれば、犬の去勢手術の中央値は17,500円でした(10kgの中型犬の場合。麻酔料金は含まない)。

    地域別に見ると関東・東京の中央値は22,500円で、全国に比べやや高いようです。

    費用は犬の大きさによっても異なり、事前検査費や入院費などが別途かかることもあります。手術を受ける際は、あらかじめかかりつけ医に費用を確認しましょう。

    お住まいの地域によって、市区町村や地域の獣医師会の助成金制度もあります。助成額や助成対象の条件は地域によって異なり、去勢手術の半額を助成する例もあるようです。

    募集状況や申込方法などは、自治体や獣医師会のホームページから確認するとよいでしょう。

    去勢手術は病気やケガの治療に該当しないため、原則ペット保険の補償対象にはなりません。

    しかし、停留睾丸の腫瘍化やほかの病気の治療のために去勢手術が必要と認められた場合は、保険の対象となることがあります。ご加入中のペット保険の内容も確認しましょう。

    犬の去勢手術にかかる時間・入院日数

    犬の去勢手術にかかる時間・入院日数
    (Masarik/shutterstock)

    愛犬の状態や動物病院の対応などによりますが、去勢手術は1時間程度で終了します。全身麻酔を行う大きな手術ですが、それほど時間はかかりません。

    術後は経過観察などのため入院する場合と、日帰りできる場合があります。できるだけ安静に過ごし、切開・縫合した傷口を清潔に保つことが大切です。

    必要に応じてエリザベスカラーなどをつけ、犬が傷口に触れないよう注意しましょう。抜糸が終わるまで通院することもあり、手術から日常生活に戻るまでは少なくとも1週間前後はかかります。

    犬の去勢手術は受けるべき?

    犬の去勢手術は受けるべき?
    (Nestor Rizhniak/shutterstock)

    日本では、繁殖制限や病気予防などの観点から、国が去勢手術の実施を呼びかけています。動物病院も手術を推奨しており、公益社団法人日本獣医師会の調査(2014年〜2017年)によれば9割を超える病院が不妊・去勢を勧めています。

    一方で、犬の去勢手術をするかは飼い主さんによって判断が分かれます。

    同会が「犬への不妊又は去勢を推奨しても断られる理由」を調査した結果、手術を希望しない飼い主さんの約半数が「可愛そう」「痛そう」と考えていることがわかりました。

    国際的に見ても去勢手術の取り組み方は異なります。アメリカやイギリスでは去勢手術が奨励されていますが、去勢手術の実施に対して明確なエビデンスを求める国もあります。

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    まとめ

    犬の去勢手術は過剰な繁殖を防ぐだけでなく、愛犬の健康を守る効果が期待できます。

    保険が適応されず一定の費用がかかりますが、結果的に大きな病気を防ぎ将来の医療費・介護のコスト削減につながれば、メリットは大きいといえます。

    これまで一歩踏み出せなかった飼い主さんも、あらためて去勢手術を検討してみてはいかがでしょうか。

    参考資料:
    環境省 「動物愛護管理基本指針(仮称)の骨子案
    環境省 「ふやさないのも愛
    National Center for Biotechnology Information「英国の獣医診療所を訪れる犬の肥満に関する研究(Study of obesity in dogs visiting veterinary practices in the United Kingdom)
    小林豊和、大辻一也、加隈良枝、鯉絵洋、金山喜一、渡部敏「犬の去勢が脂質代謝関連物質に及ぼす影響に関する研究
    公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及びエチレンオキシド使用・排出実態把握に係るアンケート調査結果
    環境省「犬・猫の引取り等手数料及び不妊・去勢手術助成金
    鹿児島・与論町「犬・猫の避妊・去勢手術助成について
    環境省「公益社団法人日本獣医師会及び一般社団法人ペットフード協会による実態調査
    ※2023年6月30日閲覧

    著者・監修者

    PNS編集部

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