【獣医師監修】猫の便に血が混じるのは病気のサイン?血便の原因と対処法
2022.05.27 作成

【獣医師監修】猫の便に血が混じるのは病気のサイン?血便の原因と対処法

獣医師

高良直樹

高良直樹

猫のトイレを片付けようとしたとき、そこに赤い便が残っていると「血便かな…もしかしたら病気かも…」と、とても不安になりますよね。この記事では、猫が血便をしたときの原因や危険度、おうちでできる対処法などを解説しています。いくつかの注意点を意識しながら飼育することで、体に生じた異常をできるだけ早く見つけ、適切な治療につなげましょう。愛猫に、健康に過ごしてもらえるよう願います。

もくじ

    猫が血便した時に見るべきポイント

    【獣医師監修】猫の便に血が混じるのは病気のサイン?血便の原因と対処法
    (New Africa/shutterstock)

    血便とは消化管からの出血を反映するものですが、一口に血便といっても様々な種類があります。血便を発見したら、まずは便の様子をチェックしましょう。

    判断が簡単な血便

    • 硬さは普通だが、表面に赤い糊(のり)のような血液が付着している
    • 粘液のようにねばっとしていながら、全体が潰したイチゴのよう
    • 泥状でいかにも鮮血が混じっている

    といった便であれば、「便が赤い=血便である」と判断することは容易でしょう。

    黒色便にも注意

    血便が全て赤いとは限りません。食道や胃などのいわゆる上部消化管からの出血であれば、便の色は黒色に変化します。これは血液が消化管を通過するにつれて消化液などの影響を受けた結果です。すなわち、黒色便も血便であると考えることができます。

    このように、赤色あるいは黒色の便は消化管からの出血=血便であると考えたほうがよいでしょう。

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    血便を起こす可能性のある猫の病気

    血便を起こす可能性のある猫の病気
    (PRESSLAB/shutterstock)

    血便を起こす病気はその原因によっていくつかに分類されます。

    細菌やウイルス、寄生虫等による感染症

    中でも比較的多いのは、回虫や条虫(じょうちゅう/サナダムシ)などといった消化管寄生虫によるものです。これらは、虫そのものが肛門から出てくることもあります。通常は駆虫薬で治療でき、比較的予後のいい原因です。

    【関連記事】
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    猫コロナウイルスによる猫伝染性腹膜炎

    若齢の猫に発症し、その致死率はほぼ100%とされています。治療法も確立されておらず、とても恐ろしい病気です。

    ※猫コロナウイルスは人の新型コロナウイルスとは異なる病気で、人には感染しません。

    免疫介在性疾患

    消化管のリンパ腫などの腫瘍性疾患や炎症性腸疾患といった、高齢の猫に多い病気です。これらは治療が長期に及ぶこともしばしばあり、場合によっては予後に期待することができないこともあるでしょう。

    誤食や食中毒

    食べ物でないものの誤食や、中毒を起こすものの異食も血便の原因になることがあります。

    猫が血便をしたときの対処法

    猫が血便をしたときの対処法
    (Olena Yakobchuk /shutterstock)

    では猫が血便をしたときにすべきことは何でしょう。

    それはずばり、動物病院に行くことです。場合によっては命にも関わることがあるため、血便を発見したらできるだけ速やかに動物病院を受診してください。

    受診の際には血便を持参する

    動物病院を受診する際には、血便そのものも持参しましょう。便を持参すれば、動物病院で糞便検査ができ、診断が早まることがあります。

    ただし、半日以上放置した便は検査にあまりふさわしくない場合があります。持参する便は、できるだけ新しいものがよいでしょう。

    血便以外の症状も把握し伝える

    血便を起こす前の様子や、血便以外の症状をできるだけ詳細に獣医師に伝えてください。

    血便を発見する前に何を食べたのか、環境の変化などがあったのかといったことも、診断への重要なヒントになります。

    上で述べたように、血便を起こす可能性のある猫の病気の中には重症なものもいくつかあります。血便を発見したらできるだけ早く動物病院で診察を受けるようにしてください。

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    著者・監修者

    高良直樹

    獣医師

    高良直樹

    プロフィール詳細

    所属 アース動物病院(北海道北見市) 副院長

    日本獣医皮膚科学会
    日本獣医がん学会

    略歴 1984年 北海道に生まれる
    2005年 筑波大学 第二学群生物学類に入学
    2009年 酪農学園大学 獣医学部獣医学科に入学
    2015年 獣医師国家資格取得
    2015年~2017年 東京都の動物病院に勤務
    2017年~2018年 北海道の動物病院に勤務
    2018年~2021年 東京農工大学附属動物医療センター皮膚科研修医
    2021年~ 現職

    資格 獣医師免許

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