【獣医師監修】犬の白内障は怖い!そのメカニズムと対処法
2021.10.11 作成

【獣医師監修】犬の白内障は怖い!そのメカニズムと対処法

獣医師

堀江志麻

堀江志麻

白内障は、病的に水晶体の透明性が低下した状態を言います。一般的には「愛犬の目が白くなった!」「少し濁っているように感じる」「最近目があまり見えていないようだ」といった点で、気づくことが多いのかもしれません。
今回は犬の白内障についてお話していきましょう。

もくじ

    さまざまな要因がある犬の白内障

    【獣医師監修】犬の白内障は怖い!そのメカニズムと対処法

    (Susan Schmitz/shutterstock)

    老化に伴い発症する白内障は、加齢以外に白内障を起こす要因が見つからない高齢犬の白内障のことを指し、一般的に小型犬で10歳以上、大型犬で6歳以上が指標となります。そしてその進行は緩やかです。

    白内障の発症原因は先天性、遺伝性、代謝性、外傷性、薬物性などがあります。

    先天性の白内障とは?なりやすい犬は?

    先天性白内障は、生後2週目ほどで目が開いたときに白内障が認められるものを言います。水晶体や関連する組織の発生異常、栄養、感染などが原因で起こります。

    遺伝性の先天性白内障は、ボストンテリア、ジャーマンシェパード、ミニチュアシュナウザー、ウエスティーなどで報告されています。

    遺伝性の白内障とは?なりやすい犬は?

    シニアになるにつれて発症する白内障は遺伝性の可能性が高いです。

    遺伝的に白内障になりやすい犬は、ボストンテリア、フレンチブルドッグ、トイプードル、柴犬、アメリカンコッカースパニエルなどが挙げられます。

    代謝性の白内障とは?

    病気に伴って起こる白内障は、代謝性白内障とも言われ、代謝性白内障の代表的な疾患は糖尿病です。

    糖尿病は、高確率で白内障を発症します。糖尿病初診時に白内障と診断される確率は約60%と言われ、糖尿病発症から1年後には75%が白内障を発症しています。

    その他、低カルシウム血症でも白内障を引き起こします。

    外傷性の白内障とは?

    外傷性白内障は、水晶体に損傷が起きることにより引き起こされます。

    薬物性の白内障とは?

    薬物性白内障とは、特定の薬物の長期投与により白内障を引き起こすことです。また、腫瘍(しゅよう)に対する放射線治療によっても白内障が引き起こされます。

    白内障を起こしやすい目の病気は?

    他の眼科疾患から二次的に白内障を起こすものとしては、ぶどう膜炎、水晶体脱臼、緑内障、網膜変性などが挙げられます。

    白内障は老化によるもの以外に、上記に挙げた様々な疾患によって引き起こされている場合があります。

    もし愛犬の目が白く感じたら、まずは一度動物病院を受診することをお勧めします。

    白内障が引き起こす問題

    白内障が引き起こす問題

    (Masarik/shutterstock)

    白内障になると、どんな問題が生じるのでしょうか?
    白内障により生じる問題は大きく二つに分けられます。

    視覚障害、視覚喪失

    1つ目は、視覚障害、視覚喪失です。白内障が進行すると視覚障害が現れます。
    眼の水晶体が白くにごってくるので、見た目にもわかりやすいでしょう。

    しかし、片目の視覚障害では一般的な生活環境の中では、「ぶつかる」などの行動異常は示しません。また、慣れたお家、慣れた場所では、ほとんど問題なく過ごすことができます。

    とはいえ、気になる目のにごりを発見したときに動物病院へ行くのが一番いいタイミングです。

    さらに進行すると、歩行中になにかにぶつかる、階段でつまづくなどの異常が出てきます。放っておけば視覚喪失につながります。

    白内障による合併症

    2つ目は、白内障による合併症です。水晶体起因性ぶどう膜炎、水晶体脱臼(だっきゅう)、続発緑内障、網膜剥離(もうまくはくり)の4つが代表的です。

    水晶体起因性ぶどう膜炎・続発緑内障
    水晶体起因性ぶどう膜炎や続発緑内障は眼痛の原因となり、犬たちの目は常に充血し、痛みを引き起こすため、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が低くなりますので早めの対処が必要です。

    緑内障や網膜剥離
    緑内障や網膜剥離を発症すると、白内障の外科的治療を行っても視覚を回復できない状態となります。

    白内障は進行すればするほど、合併症が起こりやすくなり、その上、白内障の手術が困難になってしまいます。

    白内障の治療法

    白内障の治療法(Yekatseryna Netuk/shutterstock)

    白内障と診断された場合、治療法はあるのでしょうか。白内障の治療は、外科的治療と内科的治療があります。

    失明に最も効果的なのは、外科的治療

    白内障で失明した目に対して、再び視覚を取り戻すための最も効果的な治療法は外科手術です。しかし、実際にはシニアの犬で手術を選択する飼い主さんは10%にも満たないです。

    外科手術には麻酔や合併症のリスクがあるので、シニアになってその選択をすることをためらうのは当然かと思います。

    しかし、最近では犬の眼科専門の動物病院もありますので、一定の安全性の確保はできます。一度眼科を受診することも今後の選択肢に入れると良いでしょう。

    白内障の手術は、視覚の改善以外にも、「白内障が引き起こす問題」で挙げたような、白内障に起因する続発緑内障や網膜剥離を予防することができます。

    我が子の白内障は手術が可能なのかどうか、手術をしたらどんなメリット・デメリットがあるのか、そういったことを確認して今後の対策を講じていくのがよいかと思います。

    視覚がある場合は、内科的治療の選択肢も

    視覚がまだ失われていない場合には、進行を防止すると期待される点眼薬や内服薬があります。サプリメントは現時点では効果は証明されていませんが、使用することも可能です。

    一方で、水晶体全体が混濁(こんだく)した白内障そのものは、内科的治療で治癒(ちゆ)させることは不可能で、手術が推奨されます。

    ただし、白内障に対して外科的治療を実施しない場合でも、白内障によって生じる続発緑内障や網膜剥離を防ぐために、抗炎症療法は積極的に使用した方が良いとされています。

    白内障は早期発見、早期治療が肝心

    白内障は早期発見、早期治療が肝心

    ( Mary Swift/shutterstock)

    白内障は、誰もが聞いたことのある目の疾患でしょう。そして、どの犬もなり得る可能性のある疾患。

    早めに気付くことで、できる対処法はたくさんありますので、定期的に動物病院で検診を受けるようにしましょう。

    著者・監修者

    堀江志麻

    獣医師

    堀江志麻

    プロフィール詳細

    所属 往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

    略歴 1979年 山口県宇部市に生まれる
    1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
    1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
    2004年 獣医師国家資格取得
    2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
    2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
    2010年 子供を出産し、一時お休み
    2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
    2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院 現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。

    資格 日本小動物歯科研究会(レベル1認定講習・実習 終了)
    日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
    日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)

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