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2019.05.30

【獣医師監修】 猫はよく寝る動物? 猫に適切な睡眠時間とは?

皆さまのおうちの猫ちゃんはどれくらい眠りますか?
「いつ見ても寝ている!」「騒いでいたと思ったらすぐに丸くなって寝ている」
そんな風に感じていらっしゃるのではないでしょうか?

猫はいまだに野生の本能を持つ動物

Dalibor Valek/shutterstock

そもそも、野生界では、猫科のライオンやトラなどの肉食動物は、牛や馬、キリンなどの草食動物と比較すると、圧倒的に睡眠時間が長いです。 確かに、動物園に行くと、ライオンやトラはいつ見ても寝ていることが多いですが、反対に草食動物はいつも草をムシャムシャ食べながら、周りに気を張りながら動いているイメージがあります。
牛や馬、キリンがライオンやトラたちのように横たわって、もしくは丸くなってスヤスヤ寝ている姿は見たことがありません。

一般的にライオンやトラは睡眠時間が13〜15時間と言われ、猫もそのくらいと言われています。牛や馬は3−4時間、キリンに至っては数十分から1〜2時間とも言われていますので、大きな差があることがわかります。

なぜ肉食動物と草食動物ではこんなにも睡眠時間に差があるのでしょうか?

まず第一に、草食動物は基本的には肉食動物に狙われる動物。ぐっすりと眠っていては、いつライオンに襲われるかわかりません。そのため、どうしても起きている時間が長くなりますし、体を完全に横たえて寝ていてはとっさの危険に対処することができません。

一方、肉食動物は狩りをする動物。獲物が動き出す時間帯までは狩りに備えて体をゆっくりと休め、エネルギーを温存します。
しかし寝ていると言っても、彼らはいつでも狩りの体勢に持っていけるよう浅い眠りが大半で、その合間合間に深い眠りをしています。

また、食事内容も睡眠時間に関係しており、高タンパク高カロリーのものを食す肉食動物の食事時間は短くて済み、それ以外を休息に当てています。反対に低カロリーの草を食す草食動物は長時間食べる必要があり、睡眠を取る代わりに食事の時間に当てていると言われています。

猫は、人間と暮らすようになってまだそんなに歴史はなく、犬ほどの品種改良も行われていません。
ゆえに、元来持っている野生の本能を強く持ち合わせています。
その名残が猫がご飯を食べるときとちょっと遊ぶとき以外は殆ど眠っているということにつながっています。
また、目の前に猫じゃらしをちらつかせると、思わず手が出てしまう子がほとんどなのではないでしょうか?
あれは、猫は遊んでいるのではなく、本能の部分で思わず「狩り」をしているのです。

猫は「薄明薄暮性」の動物

Alena Ozerova/shutterstock

しかしながら、家の中で暮らすようになった猫は、睡眠時間を十分にとってはいるのですが、いわゆる本来の狩りをすることがありません。 黙っていても定期的にご飯が出てきます。
また、おうちの猫ちゃんを外に出される方も最近ではあまりいらっしゃらないので、本当にひたすら寝て食べるという生活になり、実際にペットで飼われている猫の8割は肥満傾向にあります。

動物は、活発に行動する時間帯によって「夜行性」、「昼行性」、「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい:夕暮れや早朝など薄暗い時間帯に活動)」に分けられますが、猫は「薄明薄暮性」の動物です。そのため日中はおとなしく、早朝や夕暮れ時に活発に動きますが、人間と家の中だけでゆっくりと安全に暮らすようになり、以前よりも寝ている時間は増えたように感じますし、人間の睡眠サイクルに合わせて、夜は朝までぐっすり眠る猫も最近では多いように思います。

狩りの疑似体験!?

Valentin Valko/shutterstock

穏やかにゆっくりと眠ることは、体を休める上でとても大切で、健康にもつながりますので、今まで通りたっぷりと睡眠をとってもらって良いのですが、ここで一つご提案。
ぜひ、食事前にほんの数分で構いませんので猫に狩りの疑似体験をさせましょう。
おうちの猫ちゃんが好きな遊びがあるはずです。猫じゃらしの子もいれば、ポインターで光を追うのが好きな子、おもちゃを投げてもらうのが好きな子。これらは全て狩りの本能で動いています。
その狩りの本能を呼び起こした後に、すぐに食事を与えると、猫は狩が成功した!と頭で考え、食事をだらだらとではなく、あっとう間に食べるようになります。
だらだら食いの子や、肥満傾向の猫には特に効果があると言えそうです。

ただし、ごはんを出しても食べない場合には決してそのまま置きっ放しにはしないでくださいね。
すぐに皿を下げて、その狩りは失敗したという設定で良いと思います。

睡眠、そして運動することが大切

marinaks/shutterstock

野生界ではライオンやトラたちの狩りはめったに成功しません。
獲物を狙って思いっきり走って飛びかかって、それでも失敗に終わり、またエネルギーを貯蓄するために体を休める。

肥満猫ちゃんに起因する糖尿病や、慢性膵炎、骨関節炎が昨今問題となっていますので、ぜひこのように狩りの疑似体験をおうちでもやってあげてください。
狩りで仕留めた後の食事はいっそう美味しいですし、エネルギーを効率良く吸収し、良い筋肉を作ると言われています。
そして今以上に睡眠の質が向上すると思います。

寝ることはとても大切なことです。1日に1回でも、ほんの数分で構いませんので、思いっきり体を動かすことも習慣にいれてみてくださいね。
今まで以上に猫ちゃんが生き生きすると思います。

プロフィール

堀江志麻

堀江志麻

往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

1979年 山口県宇部市に生まれる
1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
2004年 獣医師国家資格取得
2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
2010年 子供を出産し、一時お休み
2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院 現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。
  • 日本小動物歯科研究会 (レベル1認定講習・実習 終了)
  • 日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
  • 日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)