【獣医師監修】犬はパイナップルを食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説
2025.10.14 作成

【獣医師監修】犬はパイナップルを食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説

獣医師

成田有輝

成田有輝

スーパーで見かけることの多いパイナップルですが、犬が食べても問題ありません。どれくらいまでならパイナップルを与えられるのでしょうか。犬にパイナップルを与える際に気を付けるべきポイントと、基礎知識をご紹介します。

もくじ

    犬はパイナップルを食べても大丈夫。与える時の注意点

    【獣医師監修】犬はパイナップルを食べても大丈夫!与え方や食べてもいい量を解説
    (OlesyaNickolaeva/shutterstock)

    パイナップルは犬に対して毒性のある食べ物ではないため、基本的には与えても問題ありません。しかし、与え方や量を間違えると、消化不良などの原因とります。犬にパイナップルを与える際は、次の点に注意しましょう。

    外皮、芯を取り除く

    外皮が付いた状態で与えると、口腔内を怪我したり消化不良で嘔吐や下痢を引き起こしたりする可能性があります。また、芯は硬く、食道や消化管につまって閉塞することもあります。外皮や芯は必ず取り除いてから与えるようにしましょう。

    小さく切り分ける

    犬に食べ物を大きいまま与えると、噛まずに飲み込んでしまい食道でつまることがあります。細かく切り分けて与えましょう。

    子犬の消化不良に注意

    離乳したばかりの子犬は、お腹の調子が整っておらず、消化不良を起こしやすく、下痢や嘔吐を起こすと必要な栄養をとることができません。そのため、お腹の調子が整うまでは、総合栄養食のフードでバランスよく栄養を取ることが優先されます。

    パイナップルには毒性はないため、子犬が食べても問題はないですが、消化不良や総合栄養食のフード以外でお腹がいっぱいになり栄養バランスが崩れる可能性を考えると、積極的に与える必要はないでしょう。

    与える際はお腹の調子が安定しているタイミングで、少量から与えましょう。

    ブロメラインという消化酵素が含まれる

    パイナップルにはタンパク質を分解する働きのあるブロメラインという消化酵素が含まれます。

    消化を助けるブロメラインですが、粘膜を刺激し胃のむかつきや下痢を引き起こすといわれているため、胃腸の状態が優れないときに生の状態で与えるのを避けたほうがよいでしょう。

    また、口周りにパイナップルの汁をつけたままにすると、ピリピリと感じたりかゆがったりすることもあります。食べた後は口周りを拭いてあげるようにしましょう。

    パイナップルの加工品には注意が必要

    ジュースやジャム、シロップ漬けの缶詰などの加工品には多くの砂糖が使われています。パイナップルの加工品を与えるのは避けましょう。

    パイナップルの栄養組成

    パイナップルの栄養組成
    (Bowonpat Sakaew/shutterstock)

    パイナップルにはカリウム、ビタミンC、食物繊維などの栄養素も含まれますが、ほとんどが水分としょ糖などの糖類です。栄養組成の整った総合栄養食のドライフードを食べている状況で、栄養摂取のためにあえてパイナップルを与える必要はありません。

    犬はビタミンCを体内で合成できるため、ビタミンCを摂取するためにパイナップルを与える必要もないでしょう。

    何かの栄養を摂取する目的ではなく、嗜好品として与えるという意識が大切です。

    アレルギーに注意

    アレルギーに注意
    (Prostock-studio/shutterstock)

    初めてパイナップルを与える際は、少量から始めて、愛犬の反応をよく観察することが重要です。 特に、パイナップル以外にもアレルギーがある場合、交差反応が起こる可能性があるため、注意が必要です。

    犬のアレルギーは大きく分けて、環境因子による犬アトピー性皮膚炎と、食物による食物アレルギーの2つがあります。

    一般的に、特定の物質に対して、過剰に反応してしまうことをアレルギーと呼び、例えば、小麦アレルギーならば、小麦を食べると症状(皮膚の赤み、かゆみや嘔吐、下痢など)を起こします。

    しかし、中には、食べ物や環境因子の類似する構造に反応してしまうことがあり、このことを「交差反応」と呼びます。

    犬の交差反応について詳しく調べられていないため、明確なことはいえませんが、人ではパイナップルは、輪ゴムや風船、ゴム手袋などの天然ゴムの製品に反応することがあるといわれています。

    これを「ラテックス-フルーツ症候群」といい、バナナやアボカド、栗、キウイフルーツなどとラテックスも交差反応を起こすことがあると言われています。

    犬に与えてよいパイナップルの量

    犬に与えてよいパイナップルの量
    (Masarik/shutterstock)

    1日に必要なカロリーの10%まで

    一般的に、犬のおやつは1日に必要なカロリーの10%程度までにとどめるべきといわれています。体重1kgの犬が1日に必要なカロリーは約100kcal程度なので、その10%だと10kcalです。

    パイナップルのカロリーは100gあたり54kcal程度。体重1kgの犬にパイナップルをおやつとして与える場合は、市販のカットパイナップル1切れ15g程度を目安にしましょう。

    (参考:文部科学省の食品成分データベース

    1日に必要なカロリーは体重に比例しない点に注意

     1日に必要なカロリーは体重に比例しない点に注意
    (Pau Novell Aran/shutterstock)

    1日に必要なカロリーと体重は比例していないため要注意。おやつとしてパイナップルのみを与えた場合の最大量の目安を計算してみましょう。

    体重3kgの犬の場合

    体重3kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約220kcal
    おやつとして与えられるパイナップルの量は、2.5切れ程度

    体重5kgの犬の場合

    体重5kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約330kcal
    おやつとして与えられるパイナップルの量は、4切れ程度

    体重8kgの犬の場合

    体重8kgの犬の標準的な1日の摂取カロリー:約460kcal
    おやつとして与えられるパイナップルの量は、5.5切れ程度

    実際は、現在摂取している食事のカロリー、パイナップル以外に与えているトッピングやおやつのカロリーを引いた上で、パイナップルの最大摂取量を決定しなければなりません。

    また、一度に最大量を与えると嘔吐や消化不良になったり、尿のpHがアルカリ性に傾いたりすることがあります。与えるにしても少量から始め、尿石症に過去にかかったことがある場合は定期的な尿検査をおこないましょう。

    犬のおやつは適切な量をこころがけて

    犬のおやつは適切な量をこころがけて
    (sergey kolesnikov/shutterstock)

    与え方の注意点や摂取カロリーを守っていれば、犬がパイナップルを食べても問題ないでしょう。

    しかし、人の感覚だけでカロリーを正確に測るのは難しく、実際のカロリーとは大きくかけ離れていることが少なくありません。感覚で与えていると、消化器症状を引き起こしたり、長期的には栄養素の過剰や欠乏を引き起こしたりする可能性があります。

    犬の1日の摂取カロリーをしっかり計算しておやつを与えると安心です。

    著者・監修者

    成田有輝

    獣医師

    成田有輝

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社 代表
    (獣医によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)
    (ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」の運営)

    獣医腎泌尿器学会
    日本獣医エキゾチック動物学会

    略歴 1988年 埼玉県に生まれる
    2007年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
    2011年~ ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」公開
    2013年 獣医師国家資格取得
    2013年~2019年 東京都内動物病院に勤務
    2018年~ DC one dish 設立
    2019年 フードメーカー勤務
    2020年~ yourmother合同会社 設立

    資格 獣医師免許

    ページトップに戻る