【獣医師監修】トッピング時に知っておきたい!犬猫の炭水化物源となる食材の特徴と選び方|連載「獣医さんが教える愛犬・愛猫のごはんのキホン」vol.16
2023.01.18 作成

【獣医師監修】トッピング時に知っておきたい!犬猫の炭水化物源となる食材の特徴と選び方|連載「獣医さんが教える愛犬・愛猫のごはんのキホン」vol.16

獣医師

成田有輝

成田有輝

DC one dish獣医師の成田です。ご飯やイモ類などが好きな犬や猫も多いことでしょう。これらの炭水化物源をトッピングとして選ぶ際は、愛犬、愛猫の好みに合わせて選ぶのが基本ですが、与える食材によって注意しなければならない点があります。愛犬・愛猫に必要な栄養を満たすために、炭水化物源になる食材の種類やその特徴、与え方などを学びましょう。

前回の記事:【獣医師監修】トッピング時に知っておきたい!タンパク質源となる食材の特徴と選び方|vol.15

もくじ

    【連載】飼い主さん必見!獣医さんが教える愛犬・愛猫のごはんのキホン

    トッピングのメリットと注意点

    トッピングのメリットと注意点
    (Ermolaev Alexander/shutterstock)

    トッピングのメリット

    トッピングのメリットは、味を変えることで犬猫の食欲を増したり、食のバリエーションを増やすことで生活の質を高められたりすることです。また、トッピングをする食材によっては効率よく水分摂取ができたり、体に良い成分を摂取できたりするので、健康にもプラスに働くことがあります。

    トッピングの注意点

    一方で、犬や猫と人では必要な栄養素や量が異なるため、人の感覚で与えてしまうとカロリー過多になったり、栄養素の過不足が生じたりするリスクがあります。

    基本的には、犬や猫は総合栄養食やAAFCOといった基準に則したフードを食べることで健康を維持できます。しかし、人の食事に興味を示し、いつもペットフードにトッピングを加えた食事を与えられている犬や猫では、ペットフードだけだとあまり好んで食べてくれなかったり、場合によってはトッピングされるまでじっと我慢したりする子もいます。

    トッピングの量は1日の摂取カロリーの10%まで

    トッピングは人も動物も生活に彩を与えることができ、好んで食事を食べてくれるようにするための方法として、決して悪いことではありません。

    しかし、トッピングの量が多くなっていくと栄養バランスが乱れ、場合によっては病気になってしまうこともあります。そのため、トッピングは1日に摂取するカロリーの10%程度までに留めましょう。

    カロリー計算が大変な場合は、トッピングするものを食材ではなく、総合栄養食やAAFCOの基準に沿ったものにすれば、栄養基準から外れることがなく安心です。ただし、病気で食事制限のある子はこの限りでありません。必ずかかりつけ動物病院へ相談をしてからトッピングを行ってください。

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    そもそも愛犬・愛猫の手作り食に炭水化物は必要?

    そもそも愛犬・愛猫の手作り食に炭水化物は必要?
    (Chendongshan/shutterstock)

    「犬の祖先はオオカミだから炭水化物は必要ない」という情報を目にすることがありますが、人と長く一緒に暮らしてきた愛犬たちはオオカミではありません。環境省でも犬は雑食という情報を発信しています。

    猫は肉食動物ですが、まったく炭水化物を消化できない生き物ではありません。しかし、猫は炭水化物を大量に与えると消化不良を起こす可能性があるため、市販のペットフードに含まれる炭水化物は全体の40%程度までとしていることが多いです。

    猫のトッピングや手作り食をする際には、炭水化物の割合の計算を行うこと、そして給与後に便の状態を確認することが、犬以上に大切になってきます。

    【関連記事】
    【獣医師監修】犬猫の食事に欠かせない栄養素!知っておきたい炭水化物の基礎知識|連載vol.9

    この記事では主な炭水化物質源について解説していますが、もっと詳しく食材の栄養組成が知りたい場合は、文部科学省が運営している食品成分データベースを利用して確認してみてください。

    続いて、主な炭水化物源となる食材や与え方について解説していきます。

    炭水化物源その1・お米

    炭水化物源その1・お米
    (flyingv3/shutterstock)

    炭水化物源の代表格ともいえるお米。日本人の主食としてはもちろん、フードのトッピングや手作り食でも犬猫に与えやすい食材です。

    お米にはカリウムやマグネシウムが少ないため、腎臓病やマグネシウムが関連する尿石症をもつ子でも取り入れられる可能性があります。

    ぬるま湯をかけてお茶漬け状にすると、水分摂取量も確保でき、お米特有の粘りが苦手な子にとっては、さらさらと食べやすくなるでしょう。お米を原料とした米粉の麺、ビーフンも犬や猫に与えられます。

    炭水化物源その2・さつまいも

    炭水化物源その2・さつまいも
    (Piyaset/shutterstock)

    甘みがあり、香りも強いためさつまいもが好きな犬は多いです。重量当たり(g当たり)のカロリーが高いため、小食の子が必要なカロリーを摂取するための食材としても取り入れやすいでしょう。

    ただし、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類も豊富です。カロリーとともにこれらの栄養素の過剰摂取に注意してください。

    また、シュウ酸カルシウム尿石症の原因になるシュウ酸も多く含まれています。尿石症などのリスクがある子は、かかりつけ獣医師と相談をした上で与えるかどうか判断しましょう。

    炭水化物源その3・かぼちゃ

    炭水化物源その3・かぼちゃ
    (Mr.Nakorn/shutterstock)

    さつまいもと同様に甘みがあり、好きな子が多い食材です。種は消化できないため、必ず取り除いて与えましょう。さつまいもよりもカリウムやマグネシウムはやや少ないですが、柔らかく茹でた皮ごとあげれば、さつまいもよりも食物繊維が豊富です。

    かぼちゃには、日本かぼちゃと西洋かぼちゃがあり、一般的にスーパーで販売されているのは西洋かぼちゃです。種類によって栄養組成が異なるため注意してください。

    炭水化物源その4・じゃがいも

    炭水化物源その4・じゃがいも
    (mahirart/shutterstock)

    市販ペットフードの原材料としてもよく使用されるじゃがいもは、価格の安さが魅力です。重量当たり(g当たり)のカロリーが低いため、たくさん量を食べたい子にもおすすめの炭水化物源です。

    炭水化物源その5・果物

    炭水化物源その5・果物
    (Kovaleva_Ka/shutterstock)

    バナナやリンゴなどの果物も炭水化物源として活用できます。ただし、皮や種を取り除いてから与える必要があります。

    バナナ

    特にバナナは、かぼちゃやジャガイモよりも重量当たり(g当たり)のカロリーが高く、香りも強いため食が細い子には使いやすい食材です。しかし、カリウムが多いため注意してください。

    リンゴ

    リンゴなどの重量当たり(g当たり)のカロリーが低い果物は、比較的与えられる量が多いため、食欲がありたくさん食べたい子には有用な食材です。

    柑橘系

    柑橘系については、犬の場合、その子によって好き嫌いが激しいです。好きな子の場合は、種や皮などを除いて与えていただいても問題ありません。

    猫は柑橘類に含まれる成分が中毒になるといわれているため、与えるべきではありません。

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    炭水化物源その6・食パンやパスタ、うどんなど

    炭水化物源その5・食パンやパスタ、うどんなど
    (Walter Bilotta/shutterstock)

    食パンやパスタが好きな子は多いですが、食塩の量が多いため取り入れる場合は注意が必要です。トッピングの際は必ず塩分を計算して、取り入れるようにしましょう。

    食欲がない子には選択肢のひとつとなります。

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    炭水化物源その7・オートミール(クイックオーツ)

    炭水化物源その6・オートミール(クイックオーツ)
    (Nitr/shutterstock)

    オートミールは、炭水化物源でありながらタンパク質や必須脂肪酸のリノール酸も豊富。食物繊維はさつまいもよりも多い食材です。

    乾燥した状態で販売されているため、重量当たり(g当たり)のカロリーが他の炭水化物源より高いのも特徴です。水分量を調整しながら与えることができるため、小食な子のトッピングにおすすめです。

    オートミールにはさまざまな種類があり、加熱せずにそのまま食べられるクイックオーツを選択すれば、犬や猫に簡単に与えられます。なお、加熱タイプのものは加熱してから与えましょう。

    炭水化物にも選択肢はある!

    炭水化物にも選択肢はある!
    (smrm1977 shutterstock)

    一言で炭水化物といっても、種類はさまざまです。愛犬や愛猫の好みや食欲、体調に合わせて選択しましょう。

    上手にトッピングを選ぶことで、より食事を楽しめ、食事のレパートリーも増やせます。トッピングのルールを守りながら、正しく食事に取り入れましょう。

    次回連載

    著者・監修者

    成田有輝

    獣医師

    成田有輝

    プロフィール詳細

    所属 yourmother合同会社 代表
    (獣医によるオーダーメイドの手作り総合栄養食や療法食レシピをお届けする「DC one dish」の運営)
    (ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」の運営)

    獣医腎泌尿器学会
    日本獣医エキゾチック動物学会

    略歴 1988年 埼玉県に生まれる
    2007年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
    2011年~ ウサギの総合情報サイト「ウサギのハート」公開
    2013年 獣医師国家資格取得
    2013年~2019年 東京都内動物病院に勤務
    2018年~ DC one dish 設立
    2019年 フードメーカー勤務
    2020年~ yourmother合同会社 設立

    資格 獣医師免許

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