2022.01.06 作成

犬猫の長寿化で、介護が必要な犬猫が増えている?愛犬・愛猫の将来を考える

PNS編集部

PNS編集部

犬・猫の寿命が延びることはうれしいこと! その一方で新たに発生した「ペットの介護」、という問題。ペットの将来について真剣に向き合い、考えてみましょう。

もくじ

    人間の15歳、犬や猫に換算すると…?

    性別によっても差がありますが、日本人の平均寿命は85歳程といわれています。一方、犬の平均寿命は14.65歳、猫の平均寿命は15.66歳※1となっており、犬・猫の長寿化が進んでいるとはいえ、人間の5.6分の1ほどの寿命です。

    人間の15歳といえば中学生や高校生の年齢です。多くの人にとって活発的な年齢でしょう。では平均寿命の短い犬や猫はどうでしょうか。人と同じように若くて元気な年齢、というわけではなく、その短い寿命の中で、人間よりずっと早いスピードで老いていきます。15歳になるころにはすっかりおじいちゃん・おばあちゃんになってしまっているのです。

    年齢対照表※2

    小型犬・中型犬・猫大型犬
    1ヵ月1歳1歳
    6ヵ月9歳7歳
    1歳15歳12歳
    3歳28歳26歳
    5歳36歳40歳
    7歳44歳54歳
    10歳56歳75歳
    12歳64歳89歳
    15歳76歳110歳

    ペットの介護という現実

    「犬や猫も人間と一緒」

    老犬・老猫ホーム「あにまるケアハウス」を運営するジャペル株式会社の川崎さんはそう言います。

    人間は、高齢になるにつれて徐々に体力の衰えや判断能力の低下、記憶障害などの症状を発症することが多く見られ、場合によっては、ほかの人の手を借りないと生活ができない「介護」が必要な状態となる方もいらっしゃいます。

    犬や猫も人間と同じです。高齢になるにつれて、よく吠える(夜鳴き)ようになったり、徘徊や粗相をしてしまったり、視力が落ちたり足が不自由になって歩けなくなってしまったり…。

    15歳以上の猫で約50%※3、14歳以上の犬は約70%※4でこういった認知障害の症状が見られます。認知障害が出始めると、飼育の仕方を変えなければなりません。飼い主の負担もこれまでと比較して非常に大きなものとなります。

    「あにまるケアハウス」にいる犬の中には、認知症を患い、円を描くように徘徊している子や、完全に歩けなくなってしまい床ずれを防ぐため、スタッフによって定期的に動かしてもらっている子など、重度の介護を必要としている子もいます。
    自力でまだ歩くことができる子でも、若いころよりもずっとずっとゆっくり散歩をしていたり、途中で座り込んだまま長時間動かない子など、ご自宅での飼育となった場合、飼い主さまにとってとても大きな負担になると考えれらます。

    そうなってしまった愛犬・愛猫に対して、飼い主の皆さまはこれまでと同様に自宅で飼育を続けることができるのでしょうか?これまで以上にたくさんの時間をかけてあげることはできるのでしょうか?飼い主さま自身がご高齢の場合、ペットの介護はますます難しくなることも想定されます。

    約340坪もの広大なドッグランをもつ老犬・老猫ホーム「あにまるケアハウス」

    これらを解決する環境整備として「老犬・老猫ホーム」を選択肢のひとつにくわえてみてはいかがでしょうか。老犬・老猫ホームでは、徘徊によるケガの予防のためにクッション性のサークルを用意されたり、若い頃ほど活発に歩けない子が少しでも筋力を維持できるよう、段差の少ない空間や個々のペースで運動できる場所や時間を備えているなど、人間の「老人ホーム」と同様、介護が必要になった犬・猫がゆっくりとした時間の中で余生を過ごすことができるように、専門のスタッフと専門の設備が整っています。

    今回、老犬・老猫ホームの「あにまるケアハウス」さんにお伺いさせて頂きました。

    「あにまるケアハウス」は埼玉県加須市、東北道・加須インター近く都心からでも車で1時間圏内という好立地にあり、関東一円から介護が必要な子、飼い主さんが高齢となり飼育が難しくなった子などが集まっています。

    まず目を引くのは約340坪もの広大なドッグラン。昼間はこの広い空間で各々が思い思いに過ごしています。まだ元気に走れる子も、走ることはできず寝ている子もそれぞれいらっしゃいますが、どの子もとても気持ちよさそうに、ストレスなく伸び伸びしているように感じました。

    犬舎と猫舎は1頭あたりに対して十分なスペースがとられており、ゲージも大型のものが用意されていました。

    衛生的な状況を維持するために、トリミングも施設の中で行います。なるべくストレスを感じないように短時間でカット、ドライヤーも通常のものではなくボックスドライヤーという中にいるだけで乾燥させることができる装置を利用します。医療行為に関しては、近隣の動物病院と連携して対応しています。

    また、各箇所にはカメラが設置してあり、24時間確認ができる体制となっていて、職員が宿泊して見守ることができるように宿泊棟も用意されています。

    施設に預けているペットの様子は、LINEでスタッフの方が飼い主様に随時報告しており、離れて暮らしていても日々の状況を知ることができます。

    「あにまるケアハウス」スタッフインタビュー

    ペットたちのストレスを最小限に、伸び伸びと安心して過ごすことができるように様々な工夫をしている「あにまるケアハウス」。老犬・老猫ホームを始めるきっかけやここで暮らす犬・猫のこと、シニア犬・シニア猫を飼育されている方へのアドバイスをスタッフの方にお伺いさせて頂きました。

    右から川崎さん、斉藤さん

    -老犬・老猫ホームを始めたきっかけを教えてください

    川崎さん

    ペットの寿命は今と比べると昔は短く、介護が必要な状態になる前に、一生を終えることがほとんどでした。長い期間苦労された飼い主さまもほとんどいらっしゃらなかったと思います。
    現在はフードの良質化や獣医学の発展があり寿命が延びた結果、介護が必要な状態の犬・猫が増えています。自立歩行ができないといった状態になってしまうと、とても手がかかり、飼い主さまは苦労することになります。幸せになるためにペットを飼育することを決めたのに、それがネガティブなイメージに変わってしまうのです。人もペットも最後まで幸せであってほしい、苦労した・大変だったという経験で終わってほしくないという想いからこの施設の開設を決めました。

    -どんな方が働かれていますか。

    川崎さん

    施設を開所する際に、社内公募で立候補した社員がここで働いています。

    -斉藤さんも立候補をされたのですか。

    斉藤さん

    はい、私はペットショップのフランチャイズ運営をする会社におりまして、直営店の店長やフランチャイズ店の管理を行っておりました。店頭でお客さまとお話しをする機会もたくさんあり、自分がもし飼えない状態になってしまったら、という不安の声をよく耳にしておりました。今回会社が施設を立ち上げるという話があり、そういったお客さまの力になれるんじゃないかと思いまして立候補させて頂きました。

    -ドッグランで走っている子・寝ている子、それぞれいらっしゃいましたが、歩行の訓練などはされていらっしゃるのでしょうか。

    川崎さん

    腰が曲がってしまっているトイプードルの子がおります。施設で預かる前は半身不随・寝たきりの状態でした。硬直している部位をマッサージしてあげたり、屈伸運動をさせてあげたり、補助をしながら立ち上がる練習をしたり、預かった日から毎日のようにやっております。そうしたら、少し前から補助なしでもちょっと立てるようになり、それから継続してマッサージなどを続けていくとちょこちょこ歩けるようになるまでになりました。飼い主さまは二度と歩く姿は見られないものと思っていらっしゃったみたいで、先日実際に会いにこられて歩いている姿をみて「本当によかった!」と感動されていらっしゃいました。私たちも力になれて本当によかったと思っております。

    年齢によって筋力が低下していって、歩けていたものが歩けなくなってしまうことがあります。立たせて歩かせる運動、歩行器を使ってマッサージをするように心掛けております。

    -ペットを預けていらっしゃる飼い主さんからどういったお話しを頂きますか。

    斉藤さん

    当施設に預けることによって、「食事や水分補給の回数をはじめ、飼育に使える時間やきめ細やかさが家庭とは圧倒的に違う」というお話しを頂きます。私たちの施設では定期的な水分補給や、食いが悪ければ2回3回に分けて食事をあげるなど細かなフォローができます。また、皮膚に影響が出る可能性がある、オムツを変える頻度や回数なども高めることができます。

    -施設に預けることを検討されている方にアドバイスをお願い致します。

    川崎さん

    介護が必要な状態になっている子と一緒に暮らしていくのは大変だけれども、まったく別々になってしまうのは寂しいとおっしゃる飼い主さまが多いです。まず3泊や1週間といった短期プランをご利用頂き、長期プランを視野に入れて、飼い主さまとペットがお互いに一度体験頂くのが良いかと思います。苦しい状態からお互いが解放されたときにどう感じるのかということを知って頂くことが大事だと考えております。まず施設を見て頂ければと思います。ご覧いただいた多くの方から、不安に感じていらっしゃったことはほとんど解消されたと伺っております。

    -シニア犬・シニア猫をご自宅で飼育されていらっしゃる方へのメッセージはございますか。

    川崎さん

    10歳を過ぎたころから、何らかの症状が出ることが多いです。自宅で飼えないほどではないけれども、年を重ねるごとに症状が進行していくというプロセスがあります。「若いころとちょっと違ってきた」「手間がかかるようになってきた」という段階でご相談頂ける窓口になりたいと思っております。違いの変化を感じた時が一番大事なタイミングです。ここでしっかりとサポートしてあげれば、そんなにひどくならずに済んだかもしれないと感じることが多くあります。預ける状態なのか預けなくても大丈夫なのかといった段階でもご連絡頂ければ、お電話でもお答えできますし、まだ先のこととしてゆくゆくは環境の整った施設が必要だという状態でも、お気軽に見学頂ければと思っております。

    -施設を運営していく上で大切にしていきたいことを教えてください。

    川崎さん

    あくまでも、ペットの所有者は飼い主さまになります。飼い主さまとペットの絆は離れ離れになっても続くものです、その絆を途切れないようにサポートするのが私たちにとって一番大切なことと考えております。

    愛犬・愛猫の将来を考える

    ペットも人間と同じです。年を取り、老いていきます。そのスピードは人間よりもずっと早いものです。あなたの愛犬・愛猫が高齢になった時、または高齢になられている今、これから先どのような一生を迎えさせてあげるのか、飼い主としてなにができるのか、この機会に考えてみてください。

    幸せに暮らしてほしいから、「老犬・老猫ホーム」という選択肢|あにまるケアハウス

    出典:
    ※1 「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」, 一般社団法人ペットフード協会, 2021年発表
    ※2 「捨てず増やさず飼うなら一生」の年齢換算データを加工して作成, 環境省自然環境局総務課動物愛護管理室, 2013年発行
    ※3  壱岐田鶴子 著,「ネコの老いじたく いつまでも元気で長生きしてほしいから知っておきたい」,SBクリエイティブ(サイエンス・アイ新書),2017年刊行
    ※4  臼杵新 著,「イヌの老いじたく 年を重ねた愛犬を守るために本当に大切なこと」,SBクリエイティブ(サイエンス・アイ新書),2018年刊行

    著者・監修者

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