皆さんは、自転車に乗りながら犬を散歩させている人を見たことがありますか?犬をたくさん歩かせるために、昔はよく見かけた風景かもしれませんが、その自転車に乗りながらの犬の散歩は、道路交通法違反の違反となります。
もくじ
(Annette Shaff/shutterstock)
覚えておくべき2つのポイント
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と書かれています。
→ 自転車には免許はありませんが道路交通法では車両にあたり、安全運転の義務があります。ペットのリード(引き綱)を持ったままの自転車走行も、違反の対象となります。
近年、自転車と歩行者の死亡事故が多発している中で、従来よりも安全に運転することが求められています。
「自転車に乗ったままで、雨の日に傘を指したり、リード(ひも)を持って愛犬を散歩させたり、携帯電話で通話することは違反である」と書かれています。(参照:警視庁)
→ 「道路交通法の第70条」より細かな内容は、各都道府県の条例で定められています。警視庁のホームページでは、東京都の条例に従って「犬の散歩をしながらの自転車運転は違反」と定められています。
そもそも、公道での自転車を使ったお散歩はおすすめできません。いざというときにすぐに対処できる状態ではないため、リードを片手に持ちながらの運転は大変危険です。リードが自転車や愛犬に絡まって、思わぬ事故につながることも考えられます。
犬にとってもいいことはありません。敏捷で筋肉隆々な犬種だったとしても、自転車という不安定な乗り物に繋がれて疾走することは、かなりの負担になります。
愛犬が止まりたいときに止まることもできず、心身ともにストレスを与えてしまうことでしょう。
(Bobex-73/shutterstock)
現代では犬に関するトラブルの訴訟がとても増えています。賠償額も数百万円になるケースが多々あります。
自転車で犬のお散歩をして、もしも他人を巻き込む事故を起こしてしまったら…賠償責任もさることながら、確実に愛犬に危険が及ぶことになります。
勢いよく転んで自転車が愛犬の上に倒れたら、無事では済まないのは考えなくてもわかるでしょう。
愛犬と楽しい時間を過ごそうとしている、優しい飼い主さんたちが、大きな事故に巻き込まれてしまうのは、とても悲しいことです。まずは家族の安全を第一に、愛犬との幸せな時間を過ごしていきましょう。
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他にも、愛犬とのお散歩で、トラブルになりやすい事例を、いくつか紹介します。
リードは、自宅以外の場所では、常時着けたままでいなくてはいけません。外でリードを外せる場所は、ドッグランなどの決められた範囲でのみと決められています。犬が近づいてくるだけで、恐怖を感じる人はたくさんいるのです。うちの子はお利口だからと思っていても、ノーリードは、絶対にやめましょう。
伸び縮みするリードは、便利な道具ですが、伸縮のロックをしないままで歩かせることでの事故が絶えません。本来、伸縮リードで推奨されている使用方法は、「通常は、短いまま使う」、「見通しの良い公園などに入ってから、伸ばす」というもの。一般の道で、伸縮をロックせず、伸び縮みさせているのは、大変危険です。
ほとんどの飼い主さんは、きちんと排泄物の処理をされています。しかし、ほんの少数でも排泄物をそのままにして立ち去る飼い主さんがいるために、犬を禁止するエリアや住民とのトラブルが起きています。犬は自分で排泄物の処理はできませんから、飼い主さんが処理をしましょう。
飼い犬のウンチを拾う。オシッコの後には水を掛ける…というマナーを守ったとしても、近隣住民が不快だと感じれば、問題になってしまいます。どんなにオシッコに水をかけても、自分の家の前で広がった犬のオシッコを見た人は、良い気持ちはしないものです。他人の家やその近く、迷惑になる場所での排泄は控えましょう。
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お散歩ルールの話をしていると、どうしても「○○は、やっちゃダメ!」という話が多くなっていまい、堅苦しく感じる方もいるかもしれません。
しかし、人間社会は犬が優先される世界ではなく、人間が優先される世界です。もし、住民たちが「犬と暮らす人たちが迷惑だ!」と感じる機会が増えれば、ルールが厳しくなっていってしまうでしょう。
実は、「世の中の3人に1人は、ペットが苦手」だと答えています。思ったよりも多いですね。
「ペットは嫌いではなかったけれど、外で出会った犬の印象が悪かった」とか、「不衛生な路上の排泄物を見かけることで、だんだんペット(とペットを飼っている人)を嫌いになった」と言う人が多いのです。
犬を嫌いだと思う人が増えれば、それだけ犬と一緒に入れる場所や使える施設も減ってしまいます。それはとても残念なことですよね。愛犬家の皆さんには、犬と楽しく暮らせる社会を維持していくためにも、犬のお散歩のルールを頭の片隅に残しておいてくださいね。