適切な温度管理を怠らないこと
2021.10.05 作成

【プロドッグトレーナー監修】犬にとっての「適温」とは?愛犬に快適に暮らして欲しいから

プロドッグトレーナー

大久保羽純

大久保羽純

皆さんの愛犬は、どのくらいの温度だと、気持ちよく過ごしてくれますか?私たち人間と違って、犬は、自分で温度管理をすることは出来ません。暑いときに、自分で毛皮のコートを脱ぐことも、エアコンのスイッチを入れることも、冷凍庫からキンキンに冷えたビールを出して飲むことも出来ません。

だからこそ、愛犬の温度管理は、すべて飼い主さんの手にかかっているのです。今回は、愛犬に気持ちよく過ごしてもらうための、温度管理について知っていきましょう。

もくじ

    犬は人よりも、温度変化に対応しづらい

    適切な温度管理を怠らないこと(Pixel-Shot/shutterstock)

    まずは、犬と人間の、体の違いを学んでいきましょう。

    犬と人間の違いその①:体温

    人間よりも、犬の方が、体温が高めです。人の体温は36〜37℃程度。犬は38〜39℃ほどだと言われています。犬を触ったときに、温かいと感じられるのは、体温の違いからでしょう。

    犬と人間の違いその②:体温調整の仕方(人は汗・犬は呼吸)

    人間は体中にある汗腺から汗をかいて、気化熱で体を冷やすことが出来ます。

    犬の場合、足裏の肉球のわずかな汗腺から汗をかくことが出来ますが、主な体温調整は、口をハアハアさせて、体内の空気を外気と入れ替えることによって、体温調節をします。

    犬と人間の違いその③:人間は服、犬は被毛を着ている

    人間は毛で覆われていない動物なので、自由に洋服を着替えて体温調整が出来ます。犬は、被毛が季節に合わせて生え変わり、温度変化に対応することもあります。元々、その犬種の原産国の気候に合わせた毛皮を着ているのです。

    気軽に脱ぎ着できる人間と違い、犬は、急な温度変化に合わせて、脱いだり着たりが出来ません。

    適切な温度管理を怠らないこと

    適切な温度管理を怠らないこと(Elena Shvetsova/shutterstock)

    犬と人間の体温調整の違いを見てみて、いかがでしょうか?

    人間と犬では、違う部分がありましたよね。実は人間の方が、全身に汗をかいたり、こまめに洋服で調整できるので、犬よりも温度変化に対応できる動物なのかもしれません。

    外飼いされていた昔のイメージなのか、犬は暑さや寒さに強いというのは間違いです。犬は、暑くても寒くても、文句を言えないだけ。

    人間も犬も同じ哺乳類ですから、不快な温度は、心にも、体にも負担がかかります。つまり、私たち人間以上に、犬の温度管理は、気をつける必要があるということなのです。

    適温はその犬しだい

    適温はその犬しだい(Fazekas Csaba/shutterstock)

    では、犬の適温は何度でしょうか?

    これは一概に「○℃」とは決められません。なぜなら、個体差があるからです。例えば、以下のようなことが影響してきます。

    • 体の大きさ:小型犬は小さい分、体温を失いやすい。
    • 年齢:子犬やシニア犬は、気温の影響を受けやすい。
    • 犬種:フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種は体内に熱がこもりやすい。グレート・ピレニーズやシベリアンハスキーなどの、寒さに強い犬種は暑さに弱い。
    • 持病の有無:呼吸器疾患や循環器疾患等を持つ犬は、健康な犬と比べると、より暑さや湿気に弱いので、病気の悪化につながることもあります。呼吸の変化等の体調には気を付けましょう。

    他にも、コート(体毛)の種類や、体格、体調など、その犬の体に適した温度というものは、その犬ごとに違って当然です。

    私たち人間も、家族のエアコンの温度設定で、もめることがありませんか?だからこそ、「絶対に、犬はこの温度設定にするべき!」という決め方は出来ないのです。

    犬の適温は「気温×湿度」で考えよう

    犬の適温は「気温×湿度」で考えよう(Firn/shutterstock)

    気温が20~25度を超えたらエアコンを検討する

    とはいえ、まったく温度設定の目安がないと困りますよね。

    あくまで、参考までの目安ですが、気温が20〜25℃を超えたなら、エアコンを付けるかどうかを検討しましょう。

    また、人間が半袖になりたくなったら、すでに犬たちは暑く感じている可能性があります。

    では、「温度」だけに気をつけていれば良いのかと言うと、そうではありません。温度だけではなく、「湿度」にも気を配りましょう。

    湿度が60%を超えたら

    気温が25℃以下で、飼い主さんは涼しいと感じていても、犬は、湿度が高いと体内の熱が発散できません。

    「湿度が60%を超える」場合には、気温と湿度のバランス を考えてエアコンの「除湿」モードを使用する等の対応をしましょう。

    大切なことは、犬の呼吸を見てパンティング(ハアハアする様子)がないかどうかや、ぐったりしていないか等の体調の変化をよく観察することです。

    気温・湿度の変化を見つつ、体調を見て、温度・湿度管理をしましょう。家に温度・湿度計を置いて管理するのも賢いやり方です。

    扇風機だけはNG。エアコンは必須

    扇風機だけはNG。エアコンは必須(Pacharawan/shutterstock)

    暑いときの扇風機はどうでしょうか?

    人間は体の表面に汗をかき、風が当たる事で冷えるので、扇風機でも良いのかもしれません。

    しかし、犬は口をハアハアさせて体内の空気と、外気を入れ替えて体温調節をします。

    もし、外気が暑かったら、犬の体の中も暑いままです。熱い空気を扇風機でかき回しても、犬の体温調節には役立ちません。

    暑いときには、扇風機だけではなく、エアコンで温度自体を下げるようにしましょう。

    犬のいる高さの温度管理を忘れずに

    犬のいる高さの温度管理を忘れずに(Jne Valokuvaus/shutterstock)

    犬のいる高さは、人間と違う

    さらに、温度調整で気をつけるポイントがあります。犬が過ごしているのは、人間の足元の高さです。

    足元に熱が溜まっていたり、足元が冷えているような環境だと、犬につらい思いをさせてしまいます。犬が生活している、低い位置の温度を気にするようにしましょう。

    夏であれば、まずは路面に直接手を当てて、その熱さを確認してください。

    夏場は、肉球をやけどする可能性も

    日射で熱せられたアスファルトは、表面温度が60℃にもなります。そんな路面に犬を立たせたら、当然肉球をやけどしてしまいます。

    暑い時期のお散歩は、時間を涼しい時間帯にしたり、状況によっては「お散歩に行かない」という選択をすることも大切です。

    こんなときは専門科に相談

    こんなときは専門科に相談(MALKO VOLHA/shutterstock)

    いつも一定の温度に保てれば良いですが、温度変化の大きい季節では、そうも行かないことがありますよね。人間も体調を壊しやすい、季節の変わり目、寒暖差のある日などは、特に温度管理に気を配りましょう。

    寒暖差のストレスで犬の体に大きな負担がかかり、下痢をしたり、体調不良が起きることがあります。

    さらに、年間通して(特に5〜10月)、熱中症は命の危険につながります。フラフラしたり、異常にハアハアしたり、様子がおかしいことがあれば、すぐに動物病院に行きましょう。

    たとえ、その後、元気なように見えても、体内に熱によるダメージが溜まっている可能性があります。

    外での温度管理や、自宅での温度管理で、どんな対策ができるのか、家族でよく話し合っておきましょう。もし迷うことがあれば、気兼ねなく専門家に相談しましょう。

    大好きな愛犬に、気持ちいい日々を!

    大好きな愛犬に、気持ちいい日々を!(Liukov/shutterstock)

    いかがだったでしょうか?人間と同じところも、違うところもある犬。大好きな愛犬だからこそ、気持ちよく過ごしてもらいたいですよね。

    日々の温度管理も、愛犬の心と体に影響してきます。日本では、激しく変化する四季に合わせて温度管理をする必要がありますし、愛犬の年齢や体調に合わせた日々の管理も欠かせません。

    大好きな愛犬に、少しでも笑顔で長生きして欲しいからこそ、愛犬の様子を観察しながら、愛犬の「適温」を探す研究を続けていきましょう。

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    著者・監修者

    大久保羽純

    プロドッグトレーナー

    大久保羽純

    プロフィール詳細

    所属 PERRO株式会社 代表取締役
    SUNNY Dog Training Partner 代表
    東京都動物愛護推進員
    健全なペットとの暮らしを目指す協会P-ALIVE 代表
    家庭動物共生教育支援フォーラム(FAES) 理事

    略歴 1985年 東京都江東区に生まれる。フェレット5匹、デグー12匹、亀3匹と暮らす。
    2003年~2007年 東海大学工学部卒業。
    2007年~2011年 某製薬会社MR(医薬品営業)勤務。
    2012年 ドッグトレーナー学校在学。
    2012年~2013年 海外留学でトレーニング修行。ニュージーランド動物保護施設「SPCA Auckland」で犬・猫のケアやトレーニングをボランティアスタッフとして学ぶ。
    2013年~現在 出張トレーニング・しつけ教室・講演などを行う「SUNNY Dog Training Partner」を設立。世界の保護施設、トレーニングを学ぶため10カ国以上を視察、滞在。外国人の夫と国際結婚。保護犬ジャックラッセルテリアと家族になる。
    2014年~2017年 関東の犬のトレーニング施設4カ所で勤務。関東の動物保護施設で勤務。
    2018年~2019年 都内専門学校でトレーニング実習講師として勤務。
    2018年~現在 「健全なペットとの暮らしを目指す協会P-ALIVE」を設立。「家庭動物共生教育支援フォーラム(FAES)」理事に就任。
    2017年~現在 犬に関するコンサルティング・トレーニングなどの総合相談業務を行う「PERRO株式会社」を設立、代表取締役に就任。世界中の犬と人との幸せな暮らしのサポートのため、日々邁進。

    資格 米国CCPDT認定国際ドッグトレーナー資格CPDT-KA所持
    PDTA認定ドッグトレーナー
    The Smart Dog Owner Academy Basic / Advance 修了
    SPCA Auckland Volunteer
    東京都動物愛護推進員
    愛玩動物飼育管理士1級
    日本ペットシッター協会公認ペットシッター士
    高等学校教諭第一種免許
    Advanced Open Water Diver
    P-ALIVEペット安全生活101講演認定講師

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