私たち人間は、毎日7〜8時間程度の睡眠が必要な生き物です。人間に比べて、頻繁にうたた寝やお昼寝をしているイメージのあるワンちゃん。スヤスヤと気持ちよさそうに、脱力して眠る姿を見ていると、こちらまで気持ちよくなってきますよね。今回のコラムでは、「ワンちゃんが1日にどれくらい睡眠が必要なのか」「気持ちよく眠ってもらう工夫」を学んでいきましょう。
もくじ
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犬の睡眠は、人間とは異なります。人間は、一度にまとめて8時間程度の睡眠を取ります。それに対して犬は、分割して睡眠を取り、1日で合計12−14時間ほど眠ると言われています。
「12時間以上も寝るなんて、寝過ぎじゃないの?」と思われるかも知れません。しかし、犬は、人間とは違って、一度に深く寝てはいません。浅い睡眠を、小分けに取っていると言われています。
愛犬を観察してみると、夜に飼い主さんと一緒に寝る時間以外にも、ご飯を食べた後、遊んだ後など、ふとした瞬間にウトウトしながら横になっていることに気づくでしょう。これば分割して浅く眠ることで、周囲を警戒しながら睡眠をとっているのです。
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人間に比べて、浅く、小分けに寝ている犬。きっと皆さんのおうちの愛犬も、こまめにお昼寝をしているのではないでしょうか。しかし、全ての犬が12時間程度の睡眠を取ればいいのかというと、そうともいえません。私たちの睡眠時間も、毎日きっちり同じでは、ありませんよね。犬もその日の疲れ具合で、必要な睡眠時間は違います。さらに、年齢、健康状態、犬種などでも、必要な睡眠時間は異なります。
子犬や老犬は、16時間以上寝る場合もあります。ほかにも、冬の時季だと、あたたかい布団からなかなか出てこずに、お寝坊さんの犬もいますし、病気の治療中であったり、旅行から戻ってきた後などで疲れていれば、いつもより多く寝ることだってあるでしょう。
覚えておくべきことは、「犬には夜の睡眠だけではなく、日中のお昼寝も必要」「必要睡眠時間は、犬それぞれ」ということです。
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犬は、たくさん寝る必要があることがわかりました。ただ、なにも刺激もない日々を過ごしていては、気持ちの良い睡眠は取れません。愛犬に気持ち良く眠ってもらうには、どうしたら良いのでしょうか?
しっかり体を動かして、適度に疲れているからこそ、快適な眠りが増えるというもの。運動不足だと、夜になってもベッドで走り回ったり、寝ようとする飼い主さんを起こして、「もっと遊ぼうよー! 」と犬も夜ふかしをしたくなってしまいます。
一緒に遊んだり、コミュニケーションを取る時間が短いと、犬が得る刺激が不足します。例えば、留守が長い家は、犬が何も刺激を得られずに、ずっと家で昼寝を繰り返すため、夜になってもなかなか眠れません。さらに、刺激不足は、神経過敏の原因になり、安眠できないだけでなく、生活の中の刺激に反応して過剰に吠えたり、興奮したりと、問題行動にも発展します。
犬は寝場所をコロコロ変えて、うたた寝をします。家の中に3ヶ所くらい、気持ちよく眠れる場所を用意しましょう。ふかふかのベッド、涼しい硬めのフロア、壁で囲まれていて中にこもれるクレートなど、その時の愛犬の好みで寝場所を選べたらベストです。
24時間ずっと明るい場所、人の出入りのある場所、騒々しい場所、ずっと寒い暑いなどの、不快な環境だと、安眠できません。寝場所は暗く、人の動線にならず、気持ち良い温度で、安心できる寝床を用意するようにしましょう。
体の調子が悪ければ、気持ちの良い睡眠は取れません。関節が痛かったら、寝る姿勢でいることも辛いでしょうし、内臓に疾患があれば、不快感で目覚めてしまうでしょう。愛犬が気持ちよく眠れていないかなと感じたら、動物病院に相談しましょう。
寝ている姿を見ていると、体をなでたり、毛布をかけてあげたくなるかも知れません。しかし、睡眠中の愛犬に触るのは、安眠妨害になります。海外でも、「食べている犬、寝ている犬には、近づくな」と言われています。動物の生命維持行動を妨害すると、嫌われたり、事故の原因になってしまいます。
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人間に比べると、睡眠時間が長い犬。やることがない時は、ウトウトしながら過ごすことでしょう。とはいえ、最近は、留守番の時間が長過ぎる子が増えています。留守番中の様子をWEBカメラなどで見てみると、のんびりお昼寝をして過ごしているように見えるかも知れません。しかし、なんの刺激もない室内に一匹でいると、犬は寝るしかないでしょう。
「寝ている=気持ちいい」ではなく、「寝ている=暇すぎて苦痛」のこともあるのです。6時間を超えるような長い留守番を、寝たり起きたりして過ごした犬は、飼い主さんが帰ってきた時には、パワーがフル充電のはずです。飼い主さんは、帰ってきたら、まず、長い留守番を耐えてくれた愛犬と散歩に行き、一緒に遊んであげるようにしましょう。
仕事が忙しいなど留守が多くなる場合には、犬のデイケア施設や、ペットシッターサービスを活用しましょう。昔に比べて、お店の選択肢も充実しています。自分だけで無理をせずにプロの力も借りて、愛犬と飼い主さん自身の、笑顔と健康を守っていきましょう。
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愛犬の快適な睡眠場所の作り方がわからない時、気持ちよく眠れているのか不安を感じたら、気兼ねなく専門家に相談しましょう。「たかが睡眠で相談なんて…」と言うことはありません。寝ることは、犬の人生でもとても大切なことです。
睡眠に関係して、うなったり、攻撃的な行動が出たなら、自己判断で先に進めようとせずに、必ず獣医さんやプロのドッグトレーナーに相談しましょう。ドッグトレーナーに依頼をする場合は、そのトレーナーが行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、確認をするようにしましょう。
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いかがだったでしょうか。人間と同じところも、違うところもある犬。大好きな愛犬だからこそ、快適に眠って欲しいですし、少しでも長生きして欲しいですよね。日本には四季があります。季節ごとに、ベッドの素材や、室内の温度設定など様々なことをアレンジをする必要があるでしょう。
睡眠は、毎日のことですから、日々愛犬を観察しながら、どうしたらもっと気持ちよく寝られるかを研究を続けていきましょう。
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