可愛い愛犬の耳の健康は、誰しも気になることですよね。しかし、人間とは少し違った犬の耳。自己流で耳そうじをすることは、危険です。せっかく耳を綺麗にしようとして、愛犬を傷つけてしまうことの無いように、犬の耳の健康について知っていきましょう。
もくじ
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耳そうじをする前に、人間と犬の耳の構造の違いについて知っておきましょう。人間と犬の耳の一番大きな違いは、耳の穴に角度があること。人間は耳の穴から鼓膜までがまっすぐにつながっています。
例えば、私たちは、耳かきを耳に差し込むと、耳かきがまっすぐ耳の奥に入っていきます。しかし、犬は、耳の穴から鼓膜がまっすぐではなく、L字の角度があります。
そのため、綿棒を入れたとしても、途中で止まってしまいますし、L字の壁に当たって耳の中を傷つけてしまいます。(補足:耳そうじで綿棒の使用はNGですよ!)
また、トイ・プードルなどのトリミングが必要な犬種には、耳の穴に密集した耳毛が生えます。その耳毛をそのままにしておくと、耳の穴をふさいでしまうため、耳毛の処理も必要になってきます。
さらに犬には、耳が垂れている犬種、耳の穴が狭い犬種、皮膚の弱い犬種、耳毛の多い犬種もいます。人間の耳よりも通気性が悪い犬の耳は、とてもデリケートな場所なのです。
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人間と同じように、犬も耳の病気にかかります。外耳炎、中耳炎、内耳炎、耳の中の腫瘍や、耳のダニなど、様々です。特に多いのが、外耳炎。耳の穴の中に炎症が起きてしまう状態です。
耳そうじの前に、知っておくべきことは、「耳に少しでも異変を感じたら、すぐに病院に行く」ことです。
炎症や、異常があるときは、治療が最優先。「耳そうじで治るかな~。」なんて耳をいじると悪化させてしまいます。感染症の治療や、炎症を抑えるには、動物病院で治療をしましょう。
犬は、私たち人間と似た部分があっても、別の動物です。身体の構造は、異なる所がたくさんあります。自己流の耳のそうじや、人間の薬を試したり、自己流の治療をするのは危険です。少しでも早く、動物のプロである獣医師に相談をするようにしましょう。
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こんなときは、犬が耳に不快感を感じているかも知れません。耳の異変に気付けるように、以下のようなことを知っておきましょう。
耳の病気に関わらず、犬はどこが痛いのかを、自分から教えてくれません。痛くても、寝ていたり、動かなかったりと耐えることも多いでしょう。だからこそ、一緒に暮らす家族が、犬の異変に気付く必要があります。
耳の異変を感じるような動きや症状があれば、時間や回数をメモしたり、その様子をスマートフォンで写真に撮って動物病院に見せてみるのもよいでしょう。
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人間でも、耳の病気になりやすい人もいれば、耳鼻咽喉科に縁のない人もいるでしょう。
犬も同じで、体質的に耳の病気になりやすい子(アレルギーの子など)もいれば、犬種的に耳の病気になりやすい子(ラブラドール・レトリーバーなど耳の垂れている犬種や、フレンチ・ブルドッグなどの皮膚の弱い犬種など)もいます。その犬ごとに、耳の環境が異なるのです。
健康診断の一環として、動物病院でも耳のチェックをしてもらうことを、忘れないようにしましょう。
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耳の構造、病気、異変への気づき方がわかってきたところで、耳そうじのお話に入りましょう。まず大前提として、重要なのは、毎日の耳チェックです。
<毎日の耳チェック> 犬の左右の耳の中を、飼い主さんが1日1回以上チェックしましょう。
<耳そうじの仕方> 耳そうじの仕方は、犬の耳の穴の中ではなく、耳の内側の面を、濡らした柔らかいコットンでふき取る程度が基本です。
健康であれば、耳の中の耳垢は、自然に出て来ると言われています。
耳そうじで綿棒を使ったり、穴の中を清潔にしようと過度な耳そうじは、逆効果です。デリケートな皮膚を傷つけてしまう原因になります。
耳に液体を入れる洗浄薬や点耳薬なども販売されていますが、耳の奥に異変がある場合、症状を悪化させてしまう可能性もあります。愛犬にあった耳のケアの方法をまずは動物病院に相談しましょう。
飼い主さんが愛犬に出来る耳のケアは、「毎日の耳チェック」と「愛犬に合う耳のケアを獣医さんに相談すること」です。犬ごとに個性と体質があります。耳そうじ1つとっても、どの子もみんな同じ方法でOKとは言えないのです。
今回は耳そうじについて紹介しました。犬の耳を自己流でお掃除することの危険性がお分かりいただけたのではないでしょうか。「毎日の耳チェック」を欠かさずに、もし少しでも異変を感じたら、動物病院に相談するようにしましょう。