天真爛漫で、好奇心旺盛なビーグルは、「スヌーピー」のモデルとしても有名な犬種です。小柄ながらも、猟犬としての素晴らしい才能も持ち合わせたビーグルは、誰もがヤミツキになること間違いなしの犬種なのではないでしょうか。 今すでにビーグルと暮らしている方も、これからビーグルを家族に迎えようかと考えている方も、ビーグルの魅力を知り、楽しく快適な暮らし方を学んでいきましょう。
もくじ
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日本でのビーグルの飼育頭数は、全犬種の中で第22位(JKC2018年度犬種別犬籍登録頭数参照)で2,630頭と言われています。
ビーグルの原産国はイギリス。英国で一番の小型獣猟犬として、16世紀ごろからエリザベス女王のウサギ狩りのパートナーとしても活躍してきました。ビーグルのその狩猟の才能は、彼らの「嗅覚」の素晴らしさにあります。
ビーグルは、匂いで獲物を詮索する「嗅覚(セント)ハウンド」に分類されます。彼らの最高の嗅覚は、現代では、空港内の荷物から密輸品や麻薬を見つける仕事で活躍しています。手荷物受取所でパトロールをする精悍で働き者のビーグルたちを、見たことのある方も多いのではないでしょうか。
ビーグルはその吠え声も特徴的です。獲物を追跡中に出す声や、遠吠えなど様々ですが、とても大きく通る鳴き声をしています。人口密集地での飼育の場合には、鳴き声のコントロールが出来ないと、重大な問題につながってしまう可能性もあります。
ビーグルの愛嬌溢れる笑顔と、仕事犬としてのプロフェッショナリティは、現代でも多くの人を支えているのです。
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ビーグルは、獣猟犬の中では小柄とはいえ、愛玩犬や超小型犬が多い日本の中では、少し大きく感じられることでしょう。ビーグルは、猟犬としての役割を果たせるように、頑丈な体躯と、働き続けられるタフなスタミナを持ち合わせています。その底抜けの元気さに、「想像していた以上に元気すぎる! 」と言うオーナーさんの悲鳴もよく聞きます。
頭もよく、学習意欲も人一倍あります。そのため、1日数回ものお散歩で、外の刺激に触れさせないと、ストレスがかかってしまいます。外の匂いを嗅がせたり、一緒に遊んだりして、家の中では得られない刺激を受けることで、素敵な気分転換になります。大ぶりの雨の中でも、レインコートを着て、楽しく歩いてくれることでしょう。
仕事熱心なビーグルたちを運動不足、刺激不足にして、不満が溜まってしまうと、吠え始めたり、家の物を破壊し始めたりすることでしょう。可愛い天使が、悪魔に変貌しないように、ビーグルの欲求を満たすようにしましょう。
ビーグルは、お散歩中に匂い嗅ぎをしながら、匂いの方向に熱心に進んでいきます。その時に不意に首が締まらないように、お散歩では、首輪ではなく、胴輪(ハーネス)を使用するようにしましょう。
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ビーグルの全身の毛は短いですが、体に抜け毛が残っていると皮膚炎の原因になるので、毎日のブラッシングは欠かせません。短毛のため、長毛犬種よりは短いブラッシング時間で済みます。柔らかいラバーブラシなどで、マッサージをするようにブラッシングをしましょう。短毛のため、一見すると抜け毛の掃除が楽に思えますが、細かい毛が抜け落ちて服や床に残ります。日々のお部屋のお掃除は覚悟しましょう。
お散歩から帰った後は、排気ガスや汚れを落とすために人肌に濡らしたタオルなどで体を拭くこともおすすめです。シャンプーは月1~2回程度。体のケアをした後には、乾燥を防ぐために、必ず皮膚の保湿もするようにしましょう。
犬は3日で歯石が出来ると言われています。そのため、ビーグルだけでなく、犬の歯みがきは毎日する必要があります。
ビーグルは垂れ耳のため、耳の中の空気が循環しづらく、感染症になりやすいです。1日1回以上は、お耳を持ち上げて、見た目と匂いのチェックをしましょう。汚れていても、綿棒の使用は耳を傷つけるためNGです。かゆそうにしていたり、頭を振る動作が多くなったと感じたら、早めに病院に行きましょう。
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日本の夏と冬はどんな犬種にも厳し過ぎます。気候的にも、心のケアの面でも、ビーグルの屋外での飼育は不適切。室内で人間と一緒に生活するようにしましょう。
適切な気温は高くても25℃ くらいで、湿度は60% よりも低い方が快適でしょう。春先から秋の始まり頃までは、日々のエアコン管理が欠かせません。お散歩でも、人間よりも地面に近い高さで暮らす犬たちは、コンクリートの反射熱を受けて熱中症のリスクが高まります。冬は、体が冷え過ぎて体調を崩すこともあるため、暖房が必要です。
室内では、転倒防止のために、犬が歩く場所には、マットやカーペットを敷くようにしましょう。
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ビーグルと楽しく暮らすために、病気のことを知っておきましょう。
・膝蓋骨脱臼(通称:パテラ): 足の膝のお皿がずれやすく、歩くときに足を浮かしたり、跳ねたりする症状が出ます。痛みや不快感を伴う場合があります。
・悪性腫瘍(癌): 急激に体重が減ったり、ふらついたり、食欲がなくなるなどの、目で見てわかる不調が起こってからだと、悪性腫瘍がかなり進行している場合があります。体の表面や口腔内に出来る癌は、日頃のお手入れや生活の中で見つけられることもありますが、体内の癌を外見から見つけることは難しいため、定期的な健康診断は欠かせません。
・外耳炎: たれ耳で風通しが悪く、耳の毛も、皮脂も多いため、雑菌がわいて炎症が起きます。耳垢が耳をめくって見える範囲についている場合には、病院に行って診てもらうことが大切です。犬の耳を綿棒でこすって掃除をすることは、耳を傷つけて悪化させる危険があるので厳禁。
・誤飲: 食いしん坊で、食べ物探しも大得意。そのため、誤飲のリスクがとても高い犬種です。口に入る大きさの物は、ビーグルの届かないところに片付けておくこと。ストレスによって、誤飲や家具の破壊が増加することもあるため、しっかりと運動や一緒に遊ぶことでストレス発散をさせましょう。
・椎間板ヘルニア: 椎間板ヘルニアも起きる犬種です。体重管理で体への負荷がかからないように気を付けましょう。
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群): ホルモン異常で多飲多尿や、脱毛などが現れることがあります。
・歯周病: 人間と違い、犬は3日程度で歯垢が歯石に変わっていきます。歯周病菌は顎の骨を溶かして、体内に細菌が回ります。毎日の歯磨きは欠かせません。口臭がするのは、正常ではなく異常です。早めに獣医さんに相談しましょう。
・肥満: ビーグルに限らず、現代の犬は肥満が増えています。肥満は人生にとって百害あって一利なし。体重管理は、第一に食事制限、第二に運動。しかし、食事制限はワンちゃん自身では出来ません。適正体重にすることが愛情だと思って、カロリーコントロールをしましょう。
ビーグルの健康を日頃からチェックしているつもりでも、見ただけでは症状がわかりづらいことも多いでしょう。若いうちは年1回以上、6歳以上なら半年に1回以上、動物病院で健康診断をしましょう。犬は人間よりも病気の進行が早いので、日常でも、少しでも異常を感じたら、早めに動物病院に行くようにしましょう。
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ビーグルを家族に迎えるときは、どんなことに気を付けたらいいでしょうか。
ビーグルだけでなく、全ての犬種に言えることですが、子犬を迎えてから少なくとも3~8カ月間は、人間の都合は通じません。全面的に子犬のペースに合わせられるように、時間に余裕を持った生活を整えましょう。子犬に4時間以上の留守番は長いため、トイレの失敗や、問題行動につながりやすいと言われています。子犬の保育園や、ペットシッターなども検討しましょう。
生後6か月から1歳くらいまでの間は、子犬の頃とは比べ物にならないほど、体力がついてきます。強すぎる甘噛みや家具の破壊に悩む方も多いことでしょう。噛んで良い物(オモチャなど)と、ダメな物(手や服など)を学ばせるレーニングは必須です。
小柄ながらもとても力があるので、お散歩での跳びつきや引っ張りなどの悩みと向き合うことになるでしょう。健康な犬なら、当たり前の正常な成長です。
ドッグトレーナーに相談しながら、2歳くらいまではたくさんの教育の時間をかけることを覚悟して、家族全員で成長していきましょう。
ビーグルと楽しく暮らすためのヒントはありましたか? ビーグルを迎える前からたくさんのことを学ぶことで、より快適に暮らしをスタートすることが出来ます。日本中のビーグルと、オーナーさんたちが笑顔で楽しく過ごせることを、心から応援しています。