ドッグスポーツ界のトップ選手であり、不動の人気者であるボーダー・コリー。今すでにボーダー・コリーと暮らしている方も、これからボーダー・コリーを家族に迎えようかと考えている方も、ボーダー・コリーの魅力を知り、楽しく快適な暮らし方を学んでいきましょう。
もくじ
運動神経抜群で、頭もよいボーダー・コリーは、とても魅力的な犬種です。まずはそんなボーダー・コリーの特徴や、性格について見ていきましょう。
ボーダー・コリーは、イギリス原産の牧羊犬で、作業能力が非常に高く、ドッグスポーツの大会では常に上位を独占している優秀な犬種です。
日本でも年々人気が高まってきているボーダー・コリーですが、元々は、羊飼いと一緒に、羊の群れを移動させたり、オオカミなどの敵から羊を守ったりする仕事していました。
広大な牧場の敷地の中で、休むことなく数百頭もの羊の群れの周りを走り回り、人の指示を聞きながら羊たちを誘導するその姿は、誰もが感動することでしょう。
ボーダー・コリーの大きさは、体高53cm前後、体重14~22kg前後です。がっしりとした力強い体つきが特徴で、個体によっては、30kgを超える体格のいいボーダー・コリーもいます。
オス・メスともに標準体高・体重はほとんど変わりませんが、メスの方が比較的コンパクトに成長する傾向にあります。
※体高…四つ足をついて立ったときの、地面から背中までの高さ
ボーダー・コリーの被毛のタイプはロング、ショート、ミディアム、スムースとさまざまで、いずれもダブルコートです。
毛色は、3つの色が混じり合ったトライカラー、ブラック、ホワイト、そして青みがかかったシルバーの毛色が特徴的なブルーマールなどカラーバリエーションが豊富です。日本では、ブラック&ホワイトのボーダー・コリーを見かける機会が多々あります。
ボーダー・コリーはとても賢く、活発な犬種です。忍耐強く、従順な一面も持ち合わせているため、きちんとしつけをすることで、聞き分けのよい子に育ってくれることでしょう。
また、ボーダー・コリーは、注意深く、周囲の状況を観察する力にも優れています。頭がよく自分で判断して適切な行動をとることができるため、頼もしい番犬としても期待ができます。
家族にはとても愛情深い一方、ほかの犬や人にはあまり関心を持たない傾向にあるため、社会化期には積極的に外に連れ出し、さまざまな人や物に触れさせてあげることが大切です。
ボーダー・コリーの歴史は、8世紀後半から11世紀にかけてバイキングがボーダー・コリーの先祖に当たる犬を英国に持ち込んだことが始まりといわれています。
トナカイ用の牧畜犬だったボーダー・コリーの先祖犬を他の牧羊犬たちと交配して、19世紀末ごろに現在のボーダー・コリーの姿となりました。
今でこそ有名なボーダー・コリーですが、実はつい最近まで、牧場関係者や郊外居住者しか知らないような牧場の作業犬でした。近年、ドッグショーでも作業能力の評価が行われるようになり、ボーダー・コリーの性能が見直されたことで、初めて犬種として公認されたのです。
作業性を高める交配を追求し続けて、生み出されたボーダー・コリーという犬種は、バランスがよく耐久性のある体を持ち、重労働にも耐えうる精神を兼ね備えた、素晴らしい牧羊犬なのです。
ずば抜けた運動神経と、可愛らしいチャーミングな顔つきが魅力のボーダー・コリー。日本でも街中で見かけることが増えた人気犬種ですが、飼育にはどのような注意点があるのでしょうか。ここで基本的な飼育のポイントを押さえておきましょう。
体を動かすのが好きな人や、愛犬と一緒にさまざまな場所に出掛けたいという人にはボーダー・コリーはピッタリな犬種だといえるでしょう。日々の散歩は、動きやすい運動靴と、雨でも平気なウインドブレーカー、両手が空く肩掛けバッグを準備して、クールでアクティブなエクササイズを一緒に楽しむのがおすすめ。
あなたの、「共に遊びたい、冒険をしたい」といった欲求を叶えてくれる最高のパートナーとなってくれるはずです。
ボーダー・コリーは、人と一緒に遊ぶことが大好きで、元気いっぱいの犬種であることから、1日2回、各1時間の散歩に加えて室内でもたくさん遊んであげることが求められます。
散歩の際には、問題行動を防ぐためにも、ただ歩くだけの散歩ではなく、脳トレをしたり、外のいろいろな刺激で、頭と心を満たしたりするようにしましょう。
また、室内では、引っ張りあいっこや、持ってきて遊びのほか、知育玩具を使った脳トレなどを組み入れることで、ボーダー・コリーの遊び欲求を満たしてあげることができますよ。
ボーダー・コリーは屋外飼育ではなく、室内で人と一緒に生活します。日中はお庭で過ごすことを好む子もいますが、夜から朝は安心して睡眠を取るためにも室内で過ごさせるようにしましょう。
気温は高くても25℃くらいで、湿度は60%以下が快適です。年齢や、体調によっても、適した環境は変わりますが、夏と冬はエアコンや暖房などで温度調整が必要です。
また、涼しい場所や暖かい場所をボーダー・コリー自身で選べるように、家の中の環境設定に工夫することも忘れてはなりません。
ボーダー・コリーの毛は「ダブルコート」と呼ばれる、下毛と上毛の2重構造になっており、温度や季節に合わせて毛が生え変わります。
定期的にトリミングサロンでカットをする必要はありませんが、とても多くの毛が抜け落ちるため、毎日のブラッシングや月1回~2回程度のシャンプーは欠かせません。
ブラッシングには、抜け毛を処理するだけでなく、ホコリなどの汚れを落としたり、肌の新陳代謝を高めたりする役割もあるため、散歩から帰ってきた後や就寝前には丁寧にブラッシングを行いましょう。
ボーダー・コリーの平均寿命は12歳前後で、最高年齢は27歳といわれています。
獣医学の発展や、良質なフードにより、犬の平均寿命が伸びていくことが予想されています。日頃から病気にならないよう健康状態に留意し、早期発見・早期治療に努めることで、さらに長生きしてくれることでしょう。
ボーダー・コリーと幸せに暮らすために、起こりやすい代表的な病気のことを知っておきましょう。
コリー眼異常、原発性水晶体脱臼などの目の病気との関係が深い犬種です。目の疾患は気づきにくく、軽度の場合は症状も出づらい場合があります。少しでも異変を感じたら動物病院に行き、早めの対処をしましょう。
現在では、眼科専門医など動物病院にも専門性が出てきています。必要であればそういった病院も検討しましょう。
股関節の形が正常でなく、歩行困難などで生活に影響が出ます。痛みや症状が出る子もいれば、無症状の子もいます。股関節の成長が完成する2歳くらいまでの間に、一度はレントゲン検査を受けておくことが推奨されます。
関節に負担をかけないための大切なことの1つが体重管理。肥満は、人生にとって百害あって一利なし。犬は自分で食事の制御は出来ないため、飼い主さんが食事制限をする以外にダイエットをする方法はありません。
年齢を重ねるにつれて関節に問題が出る子も多いため、家の中の床にカーペットを敷き、滑らないようにしましょう。
脳内の老廃物がうまく排泄されないために、中枢神経異常が起き、死に至る病気です。1歳を過ぎたころに発症することが多く、運動や知的障害が起こり、3歳ころに死に至る病気です。
治療法のない遺伝疾患のため、唯一のこの病気を防ぐ方法は、ブリーダーに親犬が遺伝子検査で異常がないかを確認した上で、子犬を迎えることしかありません。
グレーコリー症候群とは、毛の色が灰色系のコリーに発症する遺伝性の血液の病気です。白血球のひとつである好中球が減少することが原因で、発症後には「発熱」「食欲減退」「下痢」「呼吸不全」などの症状がみられます。
病気はボーダー・コリーにとっても、家族にとっても苦痛です。勝手によくなることはありません。少しでも異常を感じたら、早めに動物病院に行き、相談をしましょう。
見た目で気づけない病気を見つけるためにも、若い頃は年に1回、4歳を過ぎたら年に1~2回のドッグドックを受診することが勧められています。
小型犬と違って、ボーダー・コリーは体が大きい分、薬の量も多く、医療行為の金額も高額になってきます。治療費に備えてペット保険に加入しておくこともおすすめです。
ただし、補償対象となる病気や補償割合などは保険会社によって異なるため、補償内容を保険会社・保険約款などで確認し、比較検討して加入しましょう。
ボーダー・コリーの生体価格は30万円〜50万円ほど(2022年2月時点)です。ここからは、ボーダー・コリーを迎える方法、費用について具体的に紹介していきます。
ペット初心者でも迎えやすいのがペットショップです。ボーダー・コリーが欲しい時、しつけで困った時にお店に行けば相談に応じてもらえるため、ペット初心者におすすめです。
月齢がある程度いった子犬ならばワクチン接種、簡単なしつけが済んでいるケースもあります。
ブリーダーは、全国各地に存在する犬の繁殖を専門とする人のこと。犬種の知識、飼育経験が豊富なブリーダーから犬を譲り受けることができるため、事前に飼い方、注意点を教わることができます。犬の飼い方がわからないペット初心者でも安心して迎え入れることができるでしょう。
また、実際に親犬の様子を事前に確認することができるため、成犬時のサイズ感などを予測する助けになります。飼育環境などの質問にもきちんと答えてくれる、信頼できるブリーダーを見つけましょう。
里親制度は、保護団体、保健所など引き取り手のいない犬、飼い主さんがいない犬を迎え入れて里親になる制度です。ペットショップ、ブリーダーと比べると費用が掛からないメリットがあります。
ただし、里親募集によっては譲渡、引取後も必要に応じて飼育状況の確認しなければならないケースもあります。
ボーダー・コリーの子犬を家族に迎えるときは、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
ボーダー・コリーは小型犬と違い、あっという間に大きくなります。4ヶ月齢頃にもなると、活発に動きまわります。いたずらをしたり、寝たり、起きたりを繰り返しながら、家族や社会のことを学びます。
ボーダー・コリーを迎えた家族は、休む間もなく、元気いっぱいの子犬のお世話とトレーニングに時間を使うことになるでしょう。
ボーダー・コリーだけでなく、全ての犬種にいえることですが、子犬を迎えてから少なくとも3~8ヶ月間は、人の都合は通じません。全面的に子犬のペースに合わせられるように、時間に余裕を持った生活を整えましょう。
子犬に4時間以上の留守番は長いため、トイレの失敗や、問題行動につながりやすいといわれています。子犬の保育園や、ペットシッターなども検討するのがよいでしょう。
生後6ヶ月から1歳くらいまでの間は、子犬の頃とは比べ物にならないほど、体力がついてきます。甘噛みや家具の破壊、お散歩での跳びつきや引っ張りなどの悩みと向き合うことになるでしょう。健康な犬なら、当たり前の正常な成長です。
2歳くらいまでかけて、家族全員でコツコツ気長にトレーニングをしながら、子犬と一緒に成長していきましょう。
小型犬を「軽自動車」と例えるなら、ボーダー・コリーは「フェラーリ」のようなもの。運動能力や判断能力が高すぎて、何頭も犬を飼ったことのある人ですら、頭の回転が速いボーダー・コリーについていくことが難しいと感じるほどです。
自身でしつけが難しいと感じた場合ドックトレーナーを利用するのもひとつの方法です。子犬を迎えて早いうちに、トレーニングの方法を一緒に学びましょう。
中型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり1万5,000~3万円になります。
フードやおやつといった食費。価格はピンキリですが、平均すると1カ月で5,000~6,000円ほどかかります。
トイレシーツなどの日用品が1カ月で2,000~5,000円前後。
シャンプーなどのお手入れをトリミングサロンにお願いする場合は、中型犬の場合1回3,000~1万円程度をみておきましょう。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要でしょう。1カ月にすると3,000円程度です。
初めて犬を飼う方の盲点となるのが、ペットの医療事情です。ペットには公的な健康保険がなく、治療費は全額自己負担となります。自由診療のため病院によって料金が異なる点が、人とは違います。
子犬は、骨折や異物誤飲が多いです。
ただし、どちらも場合によっては20万円を越えるケースもあるため、住環境を整えるなど事前の予防が大切です。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので体調の変化にも気を付けてあげましょう。
ペットの年齢によって保険料は変わりますが、中型犬の1ヶ月の保険料は1,500~3,000円*ほど。0~3歳の間に加入するケースが多いです。
ペット保険は、健康でないと加入できず、加入可能年齢が「満7歳まで」のように制限のある場合がほとんど。人と同じように犬も年齢が上がれば病気のリスクも上がるため、早めに加入したいものです。
ペット保険はたくさんの種類があり、どれも同じように見えるかもしれませんが、各保険商品によって補償内容は大きく異なります。
保険料だけではなく、以下の補償内容をよく理解し、最もご自身に適した保険を選ぶようにしましょう。
*参照:慢性疾患にも、高額治療にも対応したペット保険!ペット&ファミリー損害保険「げんきナンバーわんスリム プラン50」
*犬の加入タイプ(小型犬・中型犬・大型犬・特大犬)は、ご加入時・ご継続時の体重で 決まります。ただし、1歳未満の幼犬の場合1歳時のおおよその体重で加入タイプが決まります。
家族になる前からたくさんのことを学ぶことで、快適な暮らしをスタートすることができます。お迎えする犬の特徴や費用などをよく知ってよきパートナーとして信頼関係を築いていってくださいね。