昔から現在まで、私たちの人間の人気者であり続ける、ラブラドール・レトリーバー。 今すでにラブラドール・レトリーバーと暮らしている方も、これからラブラドール・レトリーバーを家族に迎えようかと考えている方も、ラブラドール・レトリーバーの魅力を知り、楽しく快適な暮らし方を学んでいきましょう。
もくじ
Tom Meaker/shutterstock
ラブラドール・レトリーバーは、社交性が高く、遊びが大好きな犬だとよく言われます。温和で優しい家族の顔を持つイメージの彼らですが、実は歴史をたどると、池や河辺での人間の狩りのお手伝いをする犬種だったのです。
ラブラドール・レトリーバーをはじめ、ゴールデン・レトリーバー、フラットコーテッド・レトリーバーなど、「レトリーバー」が付いている犬種の名前の意味は、「Retrieve(リトリーブ)」。日本語で「回収する」という意味です。人間が銃で撃ち落とした鳥を口にくわえて持ってくる、「獲物を回収する」お仕事をする犬種なのです。その仕事内容からも、ラブラドール・レトリーバーの頭の良さや、人と一緒に作業をすることへの高い意欲が想像できますね。特にラブラドール・レトリーバーは水辺での回収作業を得意としていたので、水場に行くと飛び込みたくなってしまう子も多いことでしょう。
盲導犬や警察犬のイメージから、「お利口な犬種だから、大人しいだろう」なんて思ったら大間違い! 大人しいことと、お利口なことは別問題です。要は、頭が良くて、働き者… という事は、頭を使ったり運動をさせたりしないと、すぐに暇になってしまい、欲求不満になるという事なのです。1日2回各1時間の散歩でも、満足できない子が多いことでしょう。
人と一緒に遊ぶことが大好きな犬種です。元気いっぱいの犬種ですから、問題行動を防ぐためにも、ただ歩くだけの散歩ではなく、脳トレをしたり、お外のいろいろな刺激で、頭と心を満たすようにしましょう。引っ張りっこや、持ってきて遊びなど、オーナーさんと一緒に遊ぶ、遊び方のレパートリーも増やしましょう。
Alan Gonzalez Vazquez /shutterstock
ラブラドール・レトリーバーは屋外飼育ではなく、室内で人と一緒に生活します。体力があるので、お散歩も欠かせません。適切な気温は高くても25℃くらいで、湿度は60%以下が快適です。年齢や、体調によっても、設定する環境は変わりますが、夏と冬はエアコンや暖房などで温度調整が必要です。また、1カ所に閉じ込めるのではなく、涼しい場所や暖かい場所をラブラドール・レトリーバー自身で選べるように、家の中の環境設定をしてあげましょう。
Dario Vitellini/shutterstock
ラブラドール・レトリーバーは毎日のブラッシングが欠かせません。ラブラドール・レトリーバーの毛は一見すると短く、抜けても気にならないように思えます。しかし、ラブラドール・レトリーバーの毛は「ダブルコート」と呼ばれる、下毛と上毛の2重構造になっており、温度や季節に合わせて毛が生え変わります。毛が伸び続けるプードルなどの犬種と違い、トリミングサロンでカットをする必要はありませんが、とても多くの毛が抜け落ちるので、毎日のブラッシングや月1回~2回のシャンプーをする必要があります。
さらに、ラブラドール・レトリーバーは食べることが大好きで、太りやすい犬種です。犬自身で食事の管理は一切出来ません。オーナーさんがカロリー制限をするようにしましょう。さらに、股関節に問題が出る子も多いため、家の中の床にカーペットを敷き、滑らないような環境設定をしましょう。
Jaromir Chalabala/shutterstock
ラブラドール・レトリーバーと幸せに暮らすために、起こりやすい代表的な病気のことを知っておきましょう。
・胃捻転: 胃がねじれて、胃の中にガスが溜まったり、血流が滞ってしまう病気。体内で起きることのため、外見で判断が難しい。嘔吐しようとしても、胃がねじれているため上手く吐けず、苦しそうに吐く動作を繰り返したり、ガスのたまったお腹あたりが膨らんで見えることもある。苦しさから、倒れたり、気絶してしまうこともある。数時間以内に病院で緊急手術をしないと、死亡してしまう大変怖い病気である。自然に胃のねじれが戻って、勝手に治ることは無いため、様子がおかしいと感じたら急いで病院に連絡をして、連れて行くこと。
・悪性腫瘍(癌): ラブラドール・レトリーバーは腫瘍に悩まされる可能性が非常に高い犬種。急激に体重が減ったり、ふらついたり、食欲がなくなるなどの、目で見てわかる不調が起こってからだとかなり進行している場合が多い。体表や口腔内に出来る癌は、日頃のお手入れや生活の中で見つけられることもあるが、体内に出来る癌を外見から見つけることは出来ないため、定期的な健康診断は欠かせない。小型犬に比べて、シニア期に入るのが早いため、4~6歳になったら、1年に1~2回のドッグドックを受診することが勧められている。
・股関節形成不全: 股関節の形が正常でなく、歩行困難などで生活に影響が出る。痛みや症状が出る子もいれば、無症状の子もいる。股関節の成長が完成する2歳くらいまでの間に、一度はレントゲン検査を受けておくことが推奨される。関節に負担をかけないための大切な事の1つが体重管理。肥満は、人生にとって百害あって一利なし。犬は自分で食事の制御は出来ないため、オーナーが食事制限をする以外にダイエットをする方法はない。
・皮膚炎: 乾燥したヨーロッパの犬種のため、皮脂が多い。湿度の高い日本では、皮膚トラブルになることが多い。シャンプーやドライヤーをする際に、よく毛をかき分けながら、体のすみずみまで地肌を見て、赤味や湿疹などがないかを確認すること。
・外耳炎: たれ耳で風通しが悪く、耳の毛も、皮脂も多いため、雑菌がわいて炎症が起きやすい。耳垢が耳をめくって見える範囲についている場合には、病院に行って診てもらうことが大切。ラブラドール・レトリーバーに限らず、犬の耳を綿棒でこすって掃除をすることは、耳を傷つけて悪化させる危険があるので厳禁。
・誤飲: 食いしん坊で、遊びながら口に物を入れることも大好きなため、誤飲のリスクがとても高い。口に入る大きさの物は、ラブラドール・レトリーバーの届かないところに片付けておくこと。ストレスによって、誤飲や家具の破壊が増加することもあるため、しっかりと運動や一緒に遊ぶことでストレス発散をさせること。
病気はラブラドール・レトリーバーにとっても、家族にとっても苦痛です。勝手に良くなることはありません。少しでも異常を感じたら、早めに動物病院に行き、相談をしましょう。
小型犬と違って、ラブラドール・レトリーバーは体が大きい分、薬の量が多くなったり、医療行為の金額も高額になってきます。治療費に備えてペット保険に加入しておくこともおすすめです。ただし、補償対象となる病気や補償割合などは保険会社によって異なるため、補償内容を保険会社・保険約款などで確認し、比較検討して加入しましょう。
Vitalinka/shutterstock
ラブラドール・レトリーバーを迎えるときは、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。
子犬の場合、ラブラドール・レトリーバーは小型犬と違い、あっという間に大きくなります。4か月齢頃にもなると、柴犬くらいの大きさに育ち、活発に動きまわります。いたずらをしたり、寝たり、起きたりを繰り返しながら、家族や社会の事を学びます。ラブラドール・レトリーバーを迎えた家族は、休む間もなく、元気いっぱいの子犬のお世話とトレーニングに時間を使うことになるでしょう。
ラブラドール・レトリーバーだけでなく、全ての犬種に言えることですが、子犬を迎えてから少なくとも3~8カ月間は、人間の都合は通じません。全面的に子犬のペースに合わせられるように、時間に余裕を持った生活を整えましょう。子犬に4時間以上の留守番は長いため、トイレの失敗や、問題行動につながりやすいと言われています。子犬の保育園や、ペットシッターなども検討しましょう。
生後6か月から1歳くらいまでの間は、子犬の頃とは比べ物にならないほど、体力がついてきます。甘噛みや家具の破壊、お散歩での跳びつきや引っ張りなどの悩みと向き合うことになるでしょう。健康な犬なら、当たり前の正常な成長です。2歳くらいまでかけて、家族全員でコツコツ気長にトレーニングをしながら、子犬と一緒に成長していきましょう。
小型犬を「軽自動車」と例えるなら、ラブラドール・レトリーバーは「トラック」のようなもの。車の運転に練習が必要なように、オーナーさんもラブラドール・レトリーバーの運転技術を身に着ける必要があります。子犬を迎えて少しでも早いうちに、オーナーさんが信頼できるドッグトレーナーを呼んで、トレーニングの方法を一緒に学びましょう。
sanjagrujic/shutterstock
ラブラドール・レトリーバーと楽しく暮らすためのヒントはありましたか? ラブラドール・レトリーバーを迎える前からたくさんのことを学ぶことで、より快適に暮らしをスタートすることが出来ます。日本中のラブラドール・レトリーバーと、オーナーさんたちが笑顔で楽しく過ごせますように、心から応援しています。