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病気のサイン、対策、応急処置を知っておこう
2018.07.31

熱中症は愛犬の命を瞬時にうばう!
病気のサイン、対策、応急処置を知っておこう

「熱中症」は、高温多湿環境下における高体温、脱水によって生じる全身性の疾患です。
熱中症にかかると、一瞬にして命をうばわれてしまうほど怖い疾患。
熱中症のサインや、対策、応急処置などを知っておくことで迅速な対応を取ることができ、愛犬の命を守ってあげられます。
(執筆:獣医師・堀江志麻)

熱中症の原因

(joke50e/shutterstock)

気温の高い場所、過度な運動などにより発症します。犬はもともと汗腺がなく汗をかかないので、ハァハァと荒い呼吸をすることで体温を下げようとします。

しかしこれは、人間にとって炎天下で小さなうちわを使ってあおぐレベル。ほとんど効果はありません。夏場のお散歩や室温管理など、十分な注意が必要です。

また、夏場に限らず、トリミング時のドライヤーの熱によって引き起こされたり、冬場、暖房の効いた部屋で過剰に興奮することで熱中症が引き起こされることもあります。

また、「多湿」の場合も注意が必要です。お散歩前は、気温だけでなく湿度もチェックしてから行くように心がけましょう。

症状

(Yuttana Jaowattana/shutterstock)

熱中症は、41度を超える体温の上昇や体が脱水することで、体を構成する細胞がダメージを受け、様々な臓器障害が起こることによる全身性の疾患です

心臓や血管などの循環器系に障害を発することで、低血圧やショック、不整脈などが起こります。

呼吸器系に障害を発すると、過呼吸に伴い低酸素、肺水腫などを引き起こします。

泌尿器系に障害を発すると、急性腎不全を起こし、脳や神経が障害されると、脳浮腫、脳出血、意識障害、発作、昏睡を引き起こします。

胃腸などの消化器系に障害を発すると、嘔吐、下痢、消化管出血を引き起こします。

また、血を止める「血液凝固系」というシステムに障害を発することで全身性の出血傾向が引き起こされ、非常に危険な状態になります。

  • 症状レベル1:呼吸音が非常に速くなる。
    この時点で散歩やドッグランを中断し、日陰に移動してください。水を飲ませるなど、呼吸が落ちつくまで休ませるようにしましょう。
  • 症状レベル2:元気がなくなる
    危険度が高い状態です。すぐに涼しい場所へ移動し、水で濡らしたタオルで全身を包んだり、ワキや首を保冷剤で冷やすようにしましょう。
  • 症状レベル3:舌や歯ぐきが青くなる(チアノーゼ)
    舌や歯ぐきが青くなっている場合(チアノーゼ)は、極めて危険です。命にかかわるので体を冷やしつつすぐに病院で受診してください。

予防

(Rin Seiko/shutterstock)

熱中症の予防は、飼い主様にしかできません。

  • 夏場のお散歩は控える

    夏場は日中のお散歩は控え、長時間歩き続けることもできる限り控えてください。私たちが思っている以上に犬たちへのダメージは大きいものです。

    散歩時は水分補給をこまめに行いクールネックや、水をかけられる霧吹きなどを用意するとより安心です。

    太陽が出ているときのお散歩はNGですが、それでもどうしても出す必要がある場合、薄手の白いシャツを一枚着せるのも有効です。

    私たちも、夏に直射日光が当たるよりも、日傘や1枚シャツを羽織ると少し涼しく感じますよね!特に毛色が濃い子はぜひ1枚シャツを着てお出かけしてくださいね。濡らしたシャツを着せるのも効果的です。

  • 夏だけでなく冬も危険!

    クリスマスやお正月、お友達をよんで自宅でパーティーなんて方もいらっしゃるかもしれません。

    お家の中は暖房をつけ、たくさんの人たちで賑わっていると、知らず知らずにお部屋の温度は上昇!

    せっかく楽しんでいたパーティー、気づいたら愛犬がぐったり!なんてことも。
    1年を通して熱中症は気にしてあげてくださいね!

  • 自宅では冷房を24時間つけっぱなしがマスト

    熱中症は、室内にいればならないわけではありません。自宅の室温管理も重要です。真夏は冷房は24時間つけっぱなしがマスト。室温設定は、ご自宅の広さに応じて対応するようにしてください。

    (Athiporn Phumnicom/shutterstock)

  • 車に乗るときは、事前に車内を冷やしておく

    車に乗るときは、先に車内を冷やしてから乗せるようにしましょう。車の中で置き去りにするのは絶対にNG。夏場の車内は50度以上になります。

    5分〜10分で死亡するケースもありますので、短時間でも絶対に留守番をさせてはいけません。

    ワクチンなどで病院に行く際、車内が熱いまま車に乗せ、エアコンが効いてくる10分の間に熱中症でぐったり…なんてことも。

  • 出かけるときは、タオルや保冷剤を持つように

    もしも熱中症の症状があらわれたときのために、タオルや保冷剤を用意しておくと応急処置が可能になります。

    タオルを濡らして全身をくるんだり、ワキや首元、内股を保冷剤で冷やすと効果的です。

    このように、熱中症は飼い主様が予防できるもの。「やりすぎかな」くらいがちょうど良いのです。

治療

(Beetroot Studio/shutterstock)

熱中症の場合、飼い主様による応急処置が最も重要となります。病院では、犬の体温を下げる処置をしたあと、ショック状態を防ぐために点滴や薬剤投与がほどこされます。

熱中症の応急処置

  • 外の場合

    お散歩中やドッグランで熱中症の症状があらわれた場合は、すぐに日陰に移動してください。水をひたしたタオルで全身を巻き、保冷剤でワキや首、内股を冷やして体温を下げます。

    ここで一つ覚えておきたいこと!それは、冷やしすぎたり、もしくは冷たい水に体を浸けるなどは、実は逆効果!

    シバリングや末梢血管の収縮が起こり冷却効果が減少します。
    *シバリング(shivering):私たちも熱の出始めなどで体が震えたり、寒い時にがたがた震えたりすることがありますよね。
    シバリングは、体温が下がった時に筋肉を動かすことで熱を発生させ、体温を保とうとする生理現象です。

    夏場のお散歩には、タオル・保冷剤・いつもより多めに水を用意しておきましょう。

    (SasaStock/shutterstock)

  • 室内の場合

    室内で熱中症の症状があらわれた場合は、可能な限り冷房の温度を下げるようにしてください。また、外同様、ぬらしたタオルで全身をまく、保冷剤でワキや首、内股を冷やしてあげましょう。

    応急処置をしても症状が緩和しない、ぐったりする、嘔吐や下痢になる、オレンジ色の尿をするなどの場合はとても危険な状態です。緊急を要しますので、すぐに病院へ連れていきましょう。

おわりに

熱中症が原因で病院を緊急に受診する犬の死亡率は約50%といわれています。
様々な臓器障害に対する迅速な治療が求められますので、できる限り早急に病院を受診なさってくださいね。
それ以前に熱中症にさせない心構えがとっても大切です。

プロフィール

堀江志麻

堀江志麻

往診専門動物病院「しまペットCLINIC」院長

1979年 山口県宇部市に生まれる
1986年~1992年 ドイツ・デュッセルドルフに滞在
1998年 北里大学 獣医畜産学部・獣医学科に入学
2004年 獣医師国家資格取得
2004年~2007年 神奈川県 横浜市の動物病院に勤務
2008年~2010年 同動物病院の分院(東京都大田区)の分院長を務める
2010年 子供を出産し、一時お休み
2011年 千葉県と東京都の2つの動物病院で勤務
2011年11月11日 往診専門動物病院、しまペットCLINIC 開院
現在、東京都内を中心に千葉県、神奈川県にて往診をおこなっている。
  • 日本小動物歯科研究会 (レベル1認定講習・実習 終了)
  • 日本メディカルアロマテラピー協会(JMAACV日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会認定ペットアロマセラピスト)
  • 日本ホリスティックケア協会(日本ホリスティック協会認定ホリスティックケア・カウンセラー)